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下北沢さんぽのおすすめ10スポット。再開発で日々変化する街の未来はどこへ?

さんたつ

【散歩の達人】シモキタさんぽ

再開発で日々変化する下北沢。消えゆく景色を恋しく思うが、新たな魅力も生まれているし、お隣の世田谷代田や池ノ上の穏やかな空気には、ホッと和む。今日歩く街には、どんな景色が見えるだろう。

喧騒(けんそう)から離れ「まちの縁側」で小休止『くらうま しもきた』

繁華街と住宅地の境界に潜む癒やしスポット。グリーンショップ兼雑貨店兼カフェで緑に囲まれながらまったりお茶を楽しめる。米粉パウンドケーキと『しもきた茶苑大山』の茶葉を使った日本茶のセット700円。観葉植物やハーブ、花の苗も購入でき、育て方のコツなど相談事はグリーンショップデザイナーの山口吾子さんへ。

11:00~17:00、月・火・祝休(第2・3火は営業)。
☎03-6673-6350

毎日使いたくなる愛用品を求めて『DESK LABO』

丈夫なEVA素材のポーチ。ポケット付きで収納力抜群。880円~。
2025年は巳年! マトリョーシカハッピーニュースネーク3960円。

2021年、小田急線の線路跡地にオープンした商業施設「reload」。その中の一軒に足を踏み入れれば、店内にずらりと並べられた文具や雑貨にトキメキが止まらない。文具は普遍的で実用的なデザインのものを、国内外から厳選しているという。「日本製のハサミをおみやげとして選ぶ外国人観光客も多いです」と店長の金井彩子さん。

11:00~19:00、月休(祝の場合は火休)。
☎03-6804-9270

針と糸を手放し、今はたい焼き器が相棒『池ノ上 かきのき』

長年、池ノ上で洋服のお直し工房を営んでいた古宇田(こうだ)弘さん。後進に道を譲り、2020年に自宅の1階を改装して始めたのは、なんとたい焼き屋さん! 開業前には京都に通い、和菓子屋の社長から直接あんこ作りを学んだ。前日から仕込み、釜で炊き上げた潰(つぶ)しあんからアズキの滋味がじわり。たい焼き1匹200円。

11:00~18:00(売り切れ次第終了)、月~木休(祝は営業)。
☎非公開

地元のコーヒー好きが足しげく通う『tasse coffee(タス コーヒー)』

コーヒーを「足す」ことで日々を豊かに。店主の藤中さんは自ら焙煎も手掛け、豆売りを中心に「休憩中や仕事中など、何かのお供として最適なコーヒー」を提案する。果実味を生かした浅煎りもコクのある深煎りも、ふわっと穏やかな味わい。ハンドドリップコーヒー600円~を飲みながら、今日はどの豆にしようか考えるひとときもまた醍醐味(だいごみ)。

9:00~18:00、水~土休。
☎非公開

朝日を受けて卵がキラリと光る『おともさん by ダイタデシカ』

各地のうまいものが揃うセレクトショップ。手作りのおにぎりも人気だが、毎月第2&4土曜の朝市(7~11時)に登場する卵かけごはん定食500円もぜひ。上品な甘みの青森県産米「青天の霹靂」と、コクがありつつさっぱりとした茨城県ひたち野の平飼い卵「穂の香卵」がマッチ。味わって食べるうちに寝ぼけ頭が覚醒。

10:30~18:30、第1水休。
☎03-6805-2538

幸福度がアップする縁起のいい店『ふくもの堂』

『ふくもの堂』を運営している編集プロダクション・マイクロフィッシュが発行。1650円。
著者・青目海さんのトークショーを『ふくもの堂』で開催。2090円。

日本の暦やお守りに関する本など、スタッフが独自の視点で選んだ「縁起のいい本」。それから、郷土玩具のような「縁起のいいもの」。これら「ふくもの」を集めた店内は、いつも福々しい空気でいっぱいだ。店主の酒井さんが言うには「絵本は幅広い世代が手に取る」そうで、プレゼントにもぴったり。

13:00~18:00、水・木・金営業(土は不定休)。
☎03-6453-4782

ふらっと入った小劇場で推しを発見『ステージカフェ下北沢亭』

カフェバーを併設した、ドリンクを片手に観劇できる小劇場。演劇だけでなく朗読や落語、音楽ライブを楽しめる日もある(上演スケジュールは公式HPを参照)。取材当日はミュージカル集団「仮想定規」が、古い民話や言い伝えを絡めた「あの日足元に転がったあの空き缶を」を上演中だった。物語が佳境を迎える頃、若干酔いも回り始め、前のめりで世界に没入。

広いライブ会場にいるような臨場感『tonlist』

スピーカーはTANNOY EATONを使用。音の反射を抑えるように内装も工夫している。

鈴なり横丁で週末だけ開くジャズ喫茶。現代を中心に幅広い年代の音源をかけてくれる。録音された一音一音をなるべく正確に再生するため、音響機器にこだわる。臨場感がすさまじい。チリチーズのホットドッグとコールスローとハッシュドポテトのセット1080円。プリンとハンドドリップコーヒーのセット950円。

土は13:00~21:00・日は12:00~18:00、月~金休。
☎03-6416-8736

足を踏み入れやすい駅前ライブハウス『Flowers Loft』

ロフトプロジェクトが、下北沢の新ランドマーク「SHIMOKITA FRONT」に造ったライブハウス。ロフトといえばロックだが、ジャンルレスな企画で間口を広げる。カフェはチケットなしでも入れ(例外あり)、憩いの場に。ホットサンド800円、テキーラサンライズ600円。

18:00~22:00(土・日は12:00~翌5:00)、不定休(イベントスケジュールは公式HPを参照)。
☎03-6407-9520

ライブハウスとクラブの文化が合流『LIVE HAUS(リヴ ハウス)』

スガナミユウさん。

昼はライブハウス、夜はクラブの二毛作。下北沢『THREE』の元店長・スガナミユウさんと、渋谷『Organ bar』の元店長・宮川大仏さんの2人が店長を務める。「一般的にライブハウスとクラブの客層は異なることが多いけれど、ここにはその垣根がないんです」とスガナミさん。スガナミさんはローファイ~パワーポップのバンド・OCHA∞MEのギタリストとしてステージで演奏も。

変わっているようで、変わっていない

踏切も消えゆく風景だが、井の頭線沿いにはまだ残る。

今朝は早起きして、朝市へ。世田谷代田の『おともさん by ダイタデシカ』は、イベント時に屋上テラスを開放してくれるので、そこで朝定食を食べたいと思ったのだ。まだ少し眠いけれど、ご飯を噛(か)み締めるとじわじわ旨味が広がり、感覚が呼び起こされていく感じ。向こうに富士山の雪帽子が見える。ああ、おはよう! なんて清々しい朝。

世田谷代田駅から見た富士山。

ひと昔前の世田谷代田には店がほとんどなく、駅周辺もひっそりしたものだった。それが今では、小田急線の線路跡地に整備された遊歩道をたどって、たくさんの人が下北沢から流れてくる。スーツケースを引く観光客もいてすっかりにぎやかだが「下北沢ほど大きな変化はないんですよ。垢抜けきれないというか」と『tasse coffee』の藤中さん。「いつもの豆」を買いに来た常連客の普段着っぽさも、この街らしくてちょうどいい。

代田2丁目の味のある坂道。

再開発を免れた池ノ上には、昔ながらの景色を求めて足を延ばす人が多い。

「日本ならではのものを知りたいって、外国人観光客がうちのたい焼きを食べに来てくれるんです」

『池ノ上 かきのき』の古宇田さんは、御年81にしてYouTubeで英会話の勉強を始めた。「英語圏以外の国から来る人が多くて、お互いカタコト。レベルが近いから逆に会話が成り立ちます」と笑って、うれしそうに指差した先には、異国から送られてきた絵はがきと、店先で撮影した記念写真が飾られていた。

線路跡地のマルシェ。

下北沢では再開発が最終段階に入り、更地がますます目立つようになった。それを見て寂しくもなるけれど、逆に踏ん張りも感じられる。駅前には『Flowers LOFT』ができたし、ライブハウスとクラブの二役を担う『LIVE HAUS』では、年中無休で毎日何かしらイベントが開かれているし、音楽を楽しむハードルは確実に下がっているんじゃないかな。音響機器にとことんこだわった『tonlist』では、現代のジャズもどんどんかけてくれるし、新たな扉を開いてくれる。もしかしたら、これからこの街ではもっといろんな音楽を聴けるようになるのかも。

再開発が進む下北沢。写真左の更地部分には老舗ロック喫茶「TROUBLE PEACH」があった。

「観劇するつもりじゃなかった人がふらっと寄ってくれることが、下北沢だとあるんです。それで面白いと思ってもらえたら本当に光栄」と、ミュージカル集団「仮想定規」の青木さん。目的はなくても、とにかく下北沢に行けば何か面白いことがあるはず! そうやってアンテナを広げて「何か」を探し歩くことこそが、下北沢の醍醐味なんだ。

まだ新しい「reload」(左)と歴史ある『金子ボクシングジム』。

取材・文=信藤舞子 撮影=高野尚人
『散歩の達人』2025年1月号より

信藤舞子
ライター
北海道弟子屈町生まれ、札幌市育ち。現在は東京在住。雑誌、WEBメディアを中心に、街歩きや旅、日本の文化について執筆する。なかでもおやつには目がなく、近著は『東京おやつ図鑑 和菓子編』(交通新聞社)。レコードや着物も好き。

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