姫路駅前 旧市エリアで出会った、想いと縁を大切にする町のおにぎり屋さん『吉梅商店』 姫路市
かつて市場街として栄えていた姫路駅の北西エリア。現在は「しのくぼ」や「旧市エリア」の愛称で呼ばれており、市場時代から営業を続ける八百屋、魚屋などの小売店や、“昭和の残り香”に魅せられた若者たちが営む飲食店など、新旧のお店が共存する、あたたかくもディープな雰囲気が魅力的です。
今回訪れたのは、そんな旧市エリアの一角に店を構える「おにぎり」の専門店『吉梅商店』(姫路市)。
“街と人”、“人と人”のつながりや想いをきっかけに誕生した、同店の魅力を紹介します。
店主の赤松さんは、もともと旧市エリアでレザーショップ兼喫茶店『tomalier(トマリエ)』を営んでおり、現在もその営業を続けながら、今年2月に『吉梅商店』をオープンされました。
トマリエの隣にあったこんにゃく屋『吉梅商店』の建物と屋号を受け継ぎ、1階部分を店舗としてリノベーション。
カウンターだけのこぢんまりとした店内は、木の香りがふんわりと漂い、キレイだけど、どこか懐かしさを感じさせるあたたかな雰囲気が魅力的です。
そんな『吉梅商店』のおにぎりメニューがこちら。塩、ツナマヨ、鮭といった定番から、「サバしそ昆布」「梅ミョウガ」「明太マヨクリチ」などの変わり種まで、全9種類を取りそろえています。
今回は、好きなおにぎり2種とお味噌汁がセットになった「お気軽セット」を注文。おにぎりは「サバしそ昆布」と「べーかか」をチョイスしました。
おにぎりは、特注の木型を使って丁寧に作られます。
「店舗を受け継いだ時、卸売市場があったこの場所の歴史や地の利を生かして、“町の素材を、町で食べてもらえるような形”ができたらいいなと考えました」と話す赤松さん。その言葉通り、具材に使われる食材の多くは、親交のある旧市エリアのお店から仕入れているそうです。
お米は、地元・姫路産の「きぬむすめ」を使用。海苔は、イートインでは香り高く歯切れの良い熊本県産の海苔を、テイクアウトでは肉厚でくちどけの良い淡路島の海苔を使い分けています。
「サバしそ昆布」は、サバのほぐし身に塩昆布の塩味がほどよく効いた一品。しその葉の香りがふわりと立ち、食欲をそそります。ベーコンとおかかを組み合わせた「べーかか」は、こってりとした味わいが魅力的です。
ちなみに、具材は作り置きせず、毎朝仕込んでいるのだとか(すごい!)。
「お味噌汁」も毎朝、鰹節と昆布から出汁を取り、姫路城近くに店を構える老舗『橋屋』の味噌と合わせているそうです。
お漬物も最高で、自然栽培に取り組む姫路の農園『八方美米・八方美菜』が作るお漬物を仕入れて提供されています。
お漬物を楽しむなら、塩おにぎり+お味噌汁と一緒に味わう「こだわりセット」(500円・税込)がオススメとのこと(単品注文も可能です)。
営業は11時からで、お米がなくなり次第終了となります(イートインは15時まで)。
取材中、お店のオープンに至る経緯をうかがうと―、こんにゃく屋『吉梅商店』は、もともと「よっちゃん」というおじいさんがオーナーで、赤松さんが営む喫茶店トマリエの常連というご縁から、友人として仲良くしていたそうです。
そんなよっちゃんが、3年ほど前に逝去し、葬儀の際、ご家族から「よかったらこの店舗、使ってくれへんか」とお話をいただいた赤松さんは、「よっちゃんのために、何か残せたら」という思いから、お店を始めることを決意したそうです。
「よっちゃんは、自転車であちこちを回っては、駄菓子屋でアメちゃんを買って、子どもたちに配っていたような、気さくで優しい人でした。そのよっちゃんの想いを、少しでも引き継げたらいいなと思って。誰でも気軽に食べられる“おにぎり”を出そうと決めました」と笑顔で話す、赤松さん。
想いを受け継ぎ、地域とのつながりを大切にしながら営まれている『吉梅商店』。同店のおにぎりは、そんなあたたかな思いがこもった優しい逸品なのかもしれません。
場所
吉梅商店
(姫路市忍町21)
営業時間
11:00~お米がなくなり次第終了(イートインの利用は15:00まで)
定休日
火曜日、水曜日
駐車場
なし
オープン日
2025年2月2日(日)