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ゴボウがチョコの救世主に?カカオ代替素材の探求が進む

TBSラジオ

もうすぐクリスマス。街中はクリスマスムードですが、クリスマスケーキにも使われるチョコレートが高騰しているというニュースを今年はよく耳にしました。そしてこの「カカオ豆の高騰」、やはり大変なことになっているようです。

止まらないカカオ高騰

千葉県鎌ケ谷市で「ショコラティエ・ろまん亭」を営む多田 俊之さんに伺いました。

「ショコラティエ・ろまん亭」多田 俊之さん

加工用の「カカオバター」、「カカオマス」とかが特に上がっていて、「カカオバター」がだいたい9倍。「カカオマス」が3~4倍ぐらいですね、上がってますね。通常の「スイートチョコレート」っていうのがだいたい4割増~5割増で今のところは済んでるんですけど、この後まだまだ上がるっていう話にはなってますね。

今年に関してはうちの会社の商品に関しては、途中何回か値上げはあったんですけども、チョコレートは皆さん好きなんで、「チョコレートがない」っていう選択肢はないだろうなというところで、前年と同じ価格で据え置きでなんとかやらせてもらってます。

ただ、この価格この価格で出せるのも最後になるかもしれないので、今のうちにチョコレート商品、いっぱい食べてもらえればと思います。

ろまん亭では、直径15センチの5号サイズのホールクリスマスケーキが、およそ4500円。昨年と同じ価格で提供するため、企業努力を重ねているそうです。

ただ、今年は卵やイチゴ、電気代など、あらゆるコストが上昇する中、とりわけ深刻なのがチョコレートの原料となるカカオの高騰。

でも、なぜここまでカカオが高騰しているのか?

その背景には、カカオの一大産地であるガーナやコートジボワールでの異常気象や病害の発生があるようです。これによって収穫量が大幅に減少し、「日本のカカオ豆輸入量は昨年比で30%減少している」というデータも報告されています。

実際に、他の店舗ではカカオ豆のランクを下げたり、チョコレートケーキの販売を断念する例も少なくないようです。さらにカカオの木は実をつけるまでに4年~5年を要するため、状況がすぐに改善される見込みは薄いとされていて、このままでは来年のバレンタインはさらに大変な状況になりそうだと話していました。

大きなさやえんどう?カカオに似た甘みと風味「キャロブ」

こうした状況の中で、カカオに代わる「新しい原料」を探る動きも始まっています。日本で輸入卸販売を手掛けるアリサン有限会社のひとみさんに、お話を伺いました。

アリサン有限会社 ひとみさん

「キャロブ」というものがありまして、こちらはマメ科の植物なんですが、日本語の名前では「いなご豆」と呼ばれております。イメージとしては「さやえんどう」のすごく大きなもの。手のひらぐらい長い。

これをですね乾燥させて、さらに焙煎して使うことで、風味がカカオに似てくるのと、色もカカオのような色合いになりまして、さらに甘みがあるんですね。

そのまま食べられたり、粉状にしてココアドリンクのように使われています。「何でだろう?」って思いながらも、やはり皆さんびっくりされる。

<キャロブを乾燥させたもの。実際に嗅いでみると、サヤの部分からほのかにカカオのような香りがしました>

<アリサンが輸入販売する、キャロブを使った様々な商品>

「キャロブ」、聞き慣れない名前ですが、日本ではほとんど栽培されておらず、その大半が輸入品だそうです。オーストラリアやスペインなどの地中海沿岸、さらにはアメリカやメキシコなど、暖かい気候で育つ、マメ科の一種。高さ12メートルほどの木に実る、「さやえんどう」に似た見た目が特徴です。

面白いのは、中の「豆」ではなく「さや」の部分に、カカオに似た風味があるという点。このさやを乾燥させて、粉状にすると、カカオパウダーのように使えます。(カフェインを含まないため、アレルギーの方や妊娠中の方のお菓子作りに、活用されることも)

さらに、キャロブは流通が安定しているうえ、価格もお手頃で、カカオのおよそ「3分の2」の値段。カカオ豆の価格が上昇し続ける中、アリサン有限会社はキャロブがカカオの代替品として広く使われる可能性に期待を寄せていました。

ゴボウがチョコを救う?

とはいえ、日本でキャロブを育成している農家はほとんどおらず、実をつけるまでに12年かかるそうなので、現状では輸入に頼らざるを得ませんが、その一方で、国内にもカカオの代替となる可能性を秘めた、意外な食材もあるようです。株式会社あじかんの開発本部、平尾凌さんにお話を伺いました。

株式会社あじかん・開発本部 平尾凌さん

「ゴボウ」を主原料とした、チョコレート風のスイーツ素材。非常にシンプルな構成なんですけど、焙煎をしたゴボウと、油と砂糖。これを混ぜたものが今回の素材。

色合いは濃い茶色をしておりまして、だいたい体温ぐらいですね、30度ぐらいになるとトロっととろけて、ほぼチョコレートと同じ物性。

好みがきっぱりわかれるような味になっているかなと思います。やはりゴボウがしっかり入ってますんで、チョコレートを期待して食べていただくと、ちょっとゴボウが感じられすぎるっていうところでですね、「あ、好き」っていう方と、「僕は得意じゃないんだ」と言う方とすっぱり分かれるような。

バレンタインでも少し取り扱っていただけるっていうふうには聞いてますので、本命じゃない方に、「これ面白いぞ!」みたいなのが言える気の置けない仲の人に、どうかなと思ってます。

<その名も「ゴボーチェ」。今年から販売が開始されており、ナチュラルローソンや「あじかん」の通販サイトで購入可能です。1袋12枚入りでおよそ600円)>

カカオを使わず、「ゴボウ」でチョコレート風味を再現したお菓子が登場していました。

ゴボウを焙煎し、チョコレートのような口どけを実現。配合するミルクの割合を調整することで、ゴボウ風味を抑えることも可能。「カカオの代わりにこのゴボウが使えないか?」と問い合わせが殺到していて、来年のバレンタインでは、義理チョコレートとしてもおススメだということです。

企業が知恵を絞って、代わりの食材探しに奔走している状況ですが、ほかの食材でも同じようなことが、こうした流れは続きそうです。

(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』取材:田中ひとみ)

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