王子HDが人権や企業行動に関する苦情の通報窓口を設置 全てのステークホルダーを対象
王子ホールディングス(東京都中央区)は2月3日、企業の苦情処理の支援・推進を目的に設立された一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)に加盟したと発表した。また同日、JaCERが提供する「対話救済プラットフォーム」を活用し、全てのステークホルダーを対象とした通報窓口(グリーバンスメカニズム)を開設した。
問題の内容に応じて、対象範囲はサプライチェーンまで拡大
JaCER(ジェイサー)では、対話救済プラットフォーム通報受付窓口を通じて、正会員(加盟企業)に関連する人権侵害事案に関する苦情・通報を受け付け、企業への通知や企業による苦情処理の支援や推進を行っている。
苦情の対象は、ビジネスと人権課題に関係する国際人権章典などの国際行動規範や各国の国内規範などへの違反、違反が疑われる案件などで、日常的な不平・不満などの申し立ては対象外となる。
対象企業に関係する案件において、人権侵害を引き起こしている・助長している・直接関係している場合は、対象企業に加え、グループ企業やサプライチェーン、バリューチェーンなどでの事案も対象とする。
通報後のプロセスは以下の通り。
・通報案件の内容確認:通報案件の内容を確認し、苦情該当案件か否かを判断する。情報不足の場合は、通報者に確認する場合もある(記名の場合のみ)
・通報者への連絡:通報者(記名の場合のみ)に連絡し、苦情案件該当性の確認結果と今後の手続きに関する連絡を行う(原則、通報受理後15営業日以内)
・対象企業への連絡:対象企業(正会員企業の場合)に連絡し、対応を打診する(原則、通報受理後15営業日)
・対応の実施(申し立てを受けた正会員企業):事実の確認・調査、対応措置の検討・実施など案件に応じた対応を行う。(時間軸は案件によって異なる)
・進捗状況の情報更新:進捗状況は苦情処理案件リストで定期的に更新する(原則、2週間ごと)。なお、苦情処理案件リストで公開する情報は匿名性に配慮した形式で行われる
全ステークホルダー向け匿名通報窓口を設置
対話救済プラットフォームは、国連が定める「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠し、人権をはじめ、環境や自然に関する行動・倫理なども含む責任ある企業行動全般を対象としている。
今回、王子HDが設置する通報窓口においても、サプライヤーをはじめ、地域コミュニティや先住民、移民労働者など、国内外のあらゆるステークホルダーからの匿名による通報に対応する。
人権の尊重を重要課題に位置付け、取り組みを強化する王子グループ
王子グループは、人権の尊重をサステナビリティ重要課題と捉え、2020年には「王子グループ人権方針」を策定、2022年度からは人権デュー・ディリジェンスを実施している。
同社は今後、JaCERの専門的支援を受けながら、同プラットフォームにて苦情処理の公平性・公正性・透明性を担保し、人権の負の影響が特定された場合は救済措置を講じるなど、サプライチェーンにおける人権課題への対応強化をはかっていく。
最近の有名タレントの不祥事を巡る報道が注目を集める中、企業として、人権にどう向き合うべきかが問われている。当メディアでは、この「ビジネスと人権」に関連し、責任範囲などについて専門家が解説している。
発表の詳細は同社の公式リリースで確認できる。