全国高校バスケットボール選手権大会 女子 最後までかみ合わなかった明豊、涙の集大成 【大分県】
第77回全国高校バスケットボール選手権大会
12月23日 東京体育館
1回戦
明豊 50(12-25、9-25、15-19、14-16)85 山形中央
満身創痍(そうい)の明豊は、最後まで本来の勢いを取り戻すことができなかった。高さで優位に立つ相手とのリバウンド争いで劣勢になり、ファウルも重なる厳しい展開。攻撃パターンは少なく、シュート成功率も低調に終わった。第1クオーター(Q)で13点差をつけられ、第2Qではさらに点差が広がる苦しい戦いとなった。
ハーフタイムに杉山真裕実監督の檄(げき)が飛ぶ。「後半に29点差をひっくり返すのは簡単ではないが、不可能ではない。中途半端が一番カッコ悪い。覚悟を持たなければ何も成し遂げられない」。その言葉に、エースの末永瑠奈(3年)は「自分の得点でチームに勢いをもたらしたい」と奮起した。チーム最多となる17点を決め、全力でコートを駆け回った。しかし、点差を埋めるには至らなかった。
大会に向けた準備段階での苦難が続いた。大会の2週間前、ポイントガードの原田美優(同)が練習中に捻挫を負ったことで、不安の影がチームに差し込んだ。その後、インフルエンザがチーム内で流行し、複数の選手が体調不良に陥る。さらには、試合前夜に羽田さくら(同)が39度を超える発熱に見舞われ、試合ではわずか3分の出場に終わった。
末永は「万全の準備ができていなかった」と悔しさをにじませた。昨年から固定された先発メンバーで成熟度を高めてきたチームが、直前のアクシデントに翻弄(ほんろう)された。主力選手の穴埋めに奔走する中、新たな体調不良者が出るという悪循環に陥り、チームの歯車は最後までかみ合わなかった。
それでも選手たちは、全力で戦う姿勢を貫いた。守備を得意とする選手たちで構成したチームは、オールコートプレスを仕掛け、相手にプレッシャーを与え続けた。「相手はウチのディフェンスを嫌がっていた。ここから勢いに乗りたかったが、攻撃が末永に頼る形になり苦しかった」と杉山監督は振り返る。攻守がかみ合わず、最後まで反撃の糸口をつかめなかったものの、下級生たちは全国舞台で貴重な経験を積むことができた。
試合後、涙に暮れる末永は「自分がもっと点を決めて、チームを勝たせたかった」と声を詰まらせた。原田も「自分たちのスピードを生かし、前からのディフェンスで高さのある相手に対抗する平面勝負を挑みたかったが、細かなミスが積み重なった」と振り返り、「苦しいときも悲しいときも一緒に戦った同級生に感謝したい」と目を赤くした。杉山監督は「この敗北を教訓に、明豊らしいバスケで常勝チームを目指していきたい」と語る。悔しさの中で得た経験を糧に、新たな一歩を踏み出していくはずだ。
強度の高い守備は機能した
(柚野真也)