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屋久島で世界最大種のコウイカ類<コブシメ>に出会う 春はコブシメも出会いの季節?

サカナト

コブシメ(撮影:shell)

ダイビングが好きな筆者は先日、「日本一魚の種類が多い」といわれている屋久島の海に潜ってきました。

黒潮大蛇行の影響もあったのか、水が濁っており見通しが悪く、水温も低かったのですが、そこはさすがの屋久島。大満足でダイビングを終えられるほど数々の出会いがありました。

中でも特に記憶に残ったのが、コウイカ類最大種のコブシメです。

ダイビングにも影響を与える黒潮大蛇行

まず、黒潮大蛇行について少し説明します。

「黒潮」は東シナ海を北上して日本の南岸に沿って流れ、房総半島沖を東に流れる海流です。

黒潮大蛇行とは、和歌山県、三重県などが面する本州南側の海域に冷水の塊(冷水渦、冷水塊)が居座ることで、黒潮がその部分を避けるように大きく蛇行して流れる現象のことを指します。

大蛇行が及ぼす影響は数多く、海水温や透視度の変化安定した漁業が難しくなるもともと生息していた生き物が減ってしまうといったさまざまな影響があります。近年の猛暑の原因だともいわれています。

ですが、悪いことばかりではなく、海況や通常はその海域でみることができない生きものの研究チャンスでもあります。

現在の黒潮大蛇行は約7年9ヶ月と過去最長の期間で続いていましたが、つい先日、「終息に向かっている」との報道もありました。今後再発する可能性もありますが、ひとまずは終息に向かっているようです。

コウイカ最大種<コブシメ>とは?

コブシメは最大50センチ以上、体重は12キロに達するといわれている世界最大級のコウイカ類です。

日本では主に屋久島以南の南西諸島に分布しています。

コブシメ(提供:PhotoAC)

特に沖縄ではとても身近な存在で、現地では「クブシミ」と呼ばれ、居酒屋でもよく見かけます。

大きな体と、色や模様を自由自在に変える姿はまさに圧巻。実際に海の中で出会ったところ、筆者の想像を上回るほど大きく、その迫力にびっくりしました。

ちなみにコウイカ類は、イカの胴体部分に貝の名残である甲をもつことが特徴のイカの仲間です。

自宅でコウイカを捌いたとき、硬い板のようなものを見つけたという人もいるかもしれません。それが「甲」と呼ばれるものです。

コブシメの交接

コブシメの繁殖期は、地域差があるものの基本的には3~6月頃までと言われています。

今回、筆者は5月中旬に屋久島を訪れたため、運よくコブシメの卵交接を見ることができました。

交接とは、生殖行為のこと。体内受精を行う動物において、生殖器を直接つなぎ合わせる生殖行為を交尾といい、それ以外の方法によるものを交接といいます。

イカ類は交接腕を使って繁殖するため、交接と表現されます。

コブシメの交接(撮影:shell)

現地のダイバーさんによると、「交接をみれるのは貴重」だといいます。

目を凝らして観察していると、1匹の体の大きなオスがどこからともなくやってきて、交接中のメスを奪おうとしました。ですが、メスは怒ったように逃げていってしまい、その後をオス2匹が追いかけるという、なんともいえないコブシメの恋愛事情が垣間見えたのです──。

最終的には、6匹ほどのコブシメと卵、さらには交接までも観察できて大満足の屋久島ダイビングとなりました。なお、ピーク時にはかなりの数のコブシメを観察できるようです。

屋久島での出会い

屋久島の海では、コブシメ以外にも数々の出会いがありました。

ヒレナガカンパチの群れが突然現れたり、綺麗なハナヒゲウツボ、大量のウメイロモドキ、大きなアカウミガメなど、さすがは日本一魚の種類が多いといわれている屋久島の海だなと感心しました。

屋久島の海の様子(提供:エバーブルー屋久島)

屋久島と言えば「山」をイメージする人も多いと思いますが、もし訪れる機会があれば、山のみならず、海も満喫してみてください。驚きの世界が広がっているはずです。

(サカナトライター:shell)

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