量子フルーツ(バナップル)を食べるとどうなるの?【眠れなくなるほど面白い 図解 量子の話】
量子フルーツを食べるとどうなるの?
ここでは、前項のバナナとアップルの性質が半分ずつ重ね合わさった量子フルーツの「バナップル」を1個食べるとどうなるかを考えてみます。ふつうなら2つのフルーツのミックスした味を予想しますが、量子フルーツではそうなりません。どういうわけか、食べた瞬間、バナナかアップルかのどちらかになってしまいます。バナナ、アップル、キウイのように、3つのフルーツを重ね合わせたとしても、食べた瞬間にどれか1つのフルーツになってしまうのです。
さて、そこで「バナップルをかじったとき、どれくらいの確率でバナナ、もしくはアップルになるのか」と疑問を持つかもしれません。その問いに答えるヒントが「混ぜ具合」です。「バナップル」はバナナとアップルが半分半分なので、100個食べると、ほぼ50回バナナ、50回アップルになります。ただし、100個のバナップルのどれがバナナやアップルになるのかは完全にくじ引きと一緒でランダムです。時には3回くらい連続でバナナやアップルになったりしますが、トータルすると半分半分なのです。また、「アップナ」(アップル7割+バナナ3割)を100個食べると、アップルが70個くらい、バナナが30本くらい出てくるわけです。
量子フルーツを「食べる」という行為は、「君はバナナなのかアップルなのか」というテストにもなっています。このように正体を顕(あらわ)にする行為を専門用語で「測定」といいます。測定は、それまで「重ね合わせ」という量子の性質を持っていたものから、その性質を奪ってどれか1つに決めてしまう行為なのです。
量子フルーツは、すごくデリケートです。少し でもかじったり触ったりしてその正体を知ろうとすると、すぐに〝量子らしさ〟である重ね合わせを奪ってしまいます。測定とは量子の世界のものを、わたしたちの世界に連れてくるような行為です。ですから、「バナップル」を食べると、どうしてもバナナかアップルかのどちらかになってしまうのです。
「バナップル」を食べるとどうなる?
1個食べると?
バナップルを食べてもアップルとバナナのミックスではなく、どちらか1つのフルーツになる。
100個食べると?
バナップルを100個食べると、ほぼバナナ50本とアップル50個になる。ただし、どちらになるかは規則性がなく、ランダムだ。
量子フルーツを食べる行為とは?
バナナかアップルか、どちらなのかを決める行為を「測定」という。これは「重ね合わせ状態」という量子の性質を奪って、日常の世界に引き戻す行為となる。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 量子の話』著:久富隆佑、やまざき れきしゅう