琵琶湖で虹色の鱗を持つ<ビワヒガイ>に出会う 変化する美しい体色&美味な魚?
日本でいちばん大きな湖、琵琶湖。そこにはビワコオオナマズ、ビワマスをはじめとする固有種の生物たちが多く生息しています。
今回は、実際に筆者が琵琶湖水系で出会った「ビワヒガイ」という魚についてご紹介します。
ホンモロコ釣りで出会った虹色の魚
先日、琵琶湖周辺の川でホンモロコ釣りを楽しみました。ホンモロコは琵琶湖の名産とも言える小魚で、年中釣ることはできますが、産卵時期である早春にかけてが狙い目です。
しかし、この日は時期が少し遅れていたためか、狙いのホンモロコはあまり釣れませんでした。代わりに、仕掛けにかかったのは見たこともない虹色の鱗をもつ魚だったのです。
水面から上げてみると、体がキラキラ輝いていて、思わず見とれてしまうほど。こんなカラフルな淡水魚がいるなんて驚きです。
結局ホンモロコ釣りはそっちのけで、その虹色の魚にすっかり心を奪われてしまいました。その場では名前も分からなかったのですが、初めて見る魚だったので、「調べてみたい&食べてみたい」ということで持ち帰りました。
帰りながら、車の助手席で琵琶湖にすむ魚を調べてみるも、こんな派手な体色の魚は見当たらず。
ただ、口が下のほうについているのがコイに似ているので、その外見を手掛かりで調べていくうちに「ビワヒガイ」という魚にたどり着きました。
琵琶湖の固有種<ビワヒガイ>ってどんな魚?
ビワヒガイは琵琶湖の固有種、つまり琵琶湖にしかいない魚です。古くから琵琶湖にはビワマスやホンモロコなど様々な固有種が生息しており、淡水魚の宝庫として知られています。
ビワヒガイとよく似た魚に「カワヒガイ」という魚もいますが、口先(吻)がとがり、やや下に向いているのがビワヒガイの特徴だといいます。
肝心の体色ですが、筆者が偶然見たカラフルな色は、この時期だけの“限定カラー”だったのです。
普段は銀色っぽい地味な体色に黒っぽい横筋が入った姿ですが、春の産卵期にだけ見られる婚姻色で体が輝くことが分かりました。
今回釣れた個体はちょうど産卵のシーズンだったようで、オスの体に虹色の光沢が現れていたのです。鱗(うろこ)が角度によって青や緑、ピンク色にも見え、その姿はまるで絵本に出てきそうなほど綺麗でした。
ただ、残念なことに持ち帰っている途中で体色はかなり褪せてしまいました。刻一刻と体色が変化するなんて、自然界は不思議がいっぱいですね。
美しい見た目と意外なおいしさにびっくり
この美しい魚、せっかくなので持ち帰って食べてみることにしました。
古くから人々に食用として好まれてきたビワヒガイは、南蛮漬けや佃煮にすることが多いそうです。今回はシンプルに唐揚げにしてみました。
よく塩で揉んで臭み抜きをしてから、米粉をまぶしてカラリと揚げてみました。ホンモロコと比較すると、やや骨が大きかったのですが、大人には丁度いい歯ごたえでした。
噛めば噛むほどに旨みが出てきて美味しかったです。
川魚というと泥臭いイメージを持っていたのですが、クセもなく食べやすかったです。見た目が綺麗な魚が食べても美味しいなんて、なんだか得をした気分になりました。
琵琶湖の魅力的な生き物たち
この体験を通じて、琵琶湖にはまだまだ自分の知らない魅力的な生き物がいるのだなと実感。ビワヒガイは琵琶湖周辺ではよく見つかる魚で、浅瀬にも多いため、網ですくって捕まえる人もいるようです。
琵琶湖にお立ち寄りの際は、ぜひ変化する美しい体色をその目で体感してください。
(サカナトライター:halハルカ)