舞台はポーランドとベラルーシの国境 西京シネクラブが「人間の境界」を3月29日に上映
「山口でなかなか上映される機会のない良質な単館系新作映画を、自分たちの手で上映・観賞する」ことを目的に活動している「西京シネクラブ」(大久保雅子代表)は、3月29日(土)に「人間の境界」(2023年、ポーランド・フランス・チェコ・ベルギー)を上映する。会場は山口市民会館小ホール(山口市中央2)で、上映時間は午前10時半、午後2時、6時半からの3回。
「ベラルーシを経由してポーランド国境を渡れば、安全にヨーロッパに入ることができる」という情報を信じて祖国を脱出した、幼い子どもを連れたシリア人家族。しかし、亡命を求め国境の森までたどり着いた彼らを待ち受けていたのは、武装した国境警備隊だった…。
3度のオスカーノミネート歴を持ち「ソハの地下水道」「太陽と月に背いて」など、数々の名作を世に送り出してきたポーランドの巨匠、アグニエシュカ・ホランド監督作品。ベラルーシ政府がEUに混乱を引き起こす狙いで大勢の難民をポーランド国境へと移送する「人間兵器」とよばれる策略に翻弄(ほんろう)された人々の過酷な運命を、シリア人難民家族、支援活動家、国境警備隊の青年など、複数の視点から描き出した群像劇だ。友人のカメラマングループと国境の写真を撮影するなど、難民をめぐる問題を追っていた彼女は、政府が国境を閉鎖したことで情報が遮断された2021年に「国境に行くことができなくても、私は映画を作ることができる。政府が隠そうとしたものを、映画で明かそう」と本作の制作を決意。妨害を受けないよう、スケジュールや撮影場所は極秘裏に、24日間という驚異のスピードで撮影を敢行。隠蔽(いんぺい)されかけた国境の真実を、大量のインタビューや資料に基づき、心を揺さぶる人間ドラマとして映像化を果たした。
2023年のヴェネチア映画祭コンペティション部門でお披露目され、審査員特別賞に輝いた。その後も、2024年のロッテルダム国際映画祭観客賞など全部で18の賞を受け、世界各国で高い評価を獲得している。
チケットは、当日会場で販売。料金は、一般1800円、19歳から25歳まで1000円、18歳以下800円。電話予約(TEL083-928-2688)すれば、一般料金のみ1500円に割り引きされる。
大久保代表は「実話が元になっている作品。いま世界で戦争が続いているなかで、改めて人間の尊厳について考えたい」と話している。