箱根観光情報新聞 編集長はタクシー乗務員 まちの魅力を独自に取材
一歩踏み込んだ観光情報を発信――。
箱根でタクシー乗務員として働く美馬哲さん(66)が自身で集めた情報を編集して、季刊紙「箱根観光情報新聞」を発行している。2019年12月に創刊し、今年3月には「春号第一版」の発行を迎えた。
主に、昼間に楽しめる食事処やカフェ、観光スポットを取材して、カラーの写真付きで紹介する紙面。「良いと思ったものを厳選して載せている」との言葉通り、自身の体験を踏まえたリアリティーのある文章で箱根の魅力を発信している。
箱根で始めたセカンドキャリア
京都で生まれた美馬さん。上京して就職をするころ、世の中はインターネット黎明期だった。通信販売業の会社などを渡り歩き、着実にサラリーマンとしてのキャリアを積んだ。管理職として現場を立て直すなど多くの実績を作ったが、定年が近づくと将来がちらついたという。「このままいくと再雇用で給料が下がり、元部下が上司になる。そうなるくらいなら好きなことをしよう」と、思い切って58歳のときに勤めていた企業を早期退職した。
かねてから観光業に関心があったことから、第二の人生は箱根で送ることに。2016年に箱根に移住した。タクシーの乗務員を始めたのはその2年後。「元箱根の地蔵菩薩やビジターセンターなど魅力的なスポットにもっと目を向けてほしい。乗客をただでは帰さない」という思いが高じて、観光客に向けた新聞の発行を始めた。町の変化を見つけては、休日などにその場に出向く日々。「手間をかけ過ぎず、継続させたい。75歳までは続けるつもり」と朗らかに笑う。
発行紙面は箱根町内の観光案内所や旅館など約15カ所に700部ほど配架。バックナンバーは「箱根観光情報新聞」のHPで閲覧できる。