【伝説の駅そば】GoogleのAIに聞いた北陸四大立ち食いそば! 福井「今庄そば」に行ってみた / 立ち食いそば放浪記351
現在、伝説の駅そば『常盤軒』が期間限定で復活していることが話題である。「日本一ウマイ」と言われた北海道音威子府駅にある駅そばで、私(中澤)も通常営業していた時代に旭川から半日かけて食べに行ったものだが、当時音威子府駅のノートには駅そばを食べに来た人の足跡が残されていた。
旅の風情も風の噂も味となるのが駅そばの良いところ。そんなわけで、今回も伝説の駅そばを訪問したい。訪れたのは福井。JR福井駅にある駅そば『今庄そば』は、人呼んで「北陸四大立ち食いそば」の1つである。
・伝説
人呼んでと言ったが、誰が呼んでるのかは分からない。常盤軒の「日本一ウマイ駅そば」というのも含めて、少なくとも私の周りで知っている人は皆無なので、「北陸四大立ち食いそば」がどれくらい浸透している噂なのか不明である。
しかし、Googleで「北陸四大立ち食いそば」と検索するとAIは『今庄そば』の名前を挙げてきたので、とりあえずGoogleは呼んでいると言って差し支えないだろう。この不確かさが噂であり伝説っぽい。現代立ち食いそばの街談巷説。はたして、その正体はいかに。
・衝撃
伝説の知名度はさて置き、福井県のそばの知名度は説明するまでもないだろう。まずもって、日本屈指のそば処。その上で、福井のおろしそばは昭和天皇もお気に入りの一品だったという。福井県公式観光サイト・ふくいドットコムによると、なんなら「越前そば」という呼び名も昭和天皇由来らしい。
ゆえに、立ち食いそばと言えど期待せずにはいられなかった。なんなら着く前から「おろしそば注文するしかねえ」とメニューを心に決めていたのだが、実際着いてメニューを確認してみると……
おろしそばがないッ!!!
マジかよ。このパターンは想定してなかった。価格はかけそばが350円と安め。このかけそばに鰹節が乗っているので、ワンチャン、トッピングでおろしそばを作れないかとも考えたが、トッピングメニューにも大根おろしは存在しない。
・動揺
特徴的なメニューを挙げると、「鰊(にしん)そば(530円)」や「梅昆布そば(450円)」「昆布そば(430円)」がある。昆布はとろろこんぶでそばつゆに深みを足してくれそう。
だが、私が注文したのは「山かけ玉子そば(550円)」だった。少しでも見かけがおろしそばに似ているものを注文した方が良いのではないかという謎の使命感に駆られたのである。多分、動揺していた。
・つゆに見る文化
食べてみると、麺はふにゃっとしたソフトさがあるタイプ。特徴的なのはつゆで、口当たりは甘めなんだけど、出汁がかなり強い。つゆの味のバランス的には関西っぽいんだけど、かつお出汁なところに関東つゆっぽさがある。出汁メインな上にかつお出汁なので、鰹の風味がツンと来た。
福井は鯖街道で京都と繋がってるため、おそらくつゆ文化は関西の影響だろう。かつお出汁については「福井→関東」であったとしても不思議ではないけど。福井の人がどう感じるかは分からないが、立ち食いそば屋としてはなかなか珍しいつゆの味であるように思う。
私が行ったのはお昼前だったんだけど、店を出る頃には満員などころか行列が店外にはみ出していて地元民に親しまれていることが窺えた。並んでいる人も高校生、サラリーマン、老夫婦など老若男女幅広い。福井プライドの越前おろしそばとは違うけど、気楽に味わえる一杯がある雰囲気だ。
・実は創業95年
なお、福井駅の『今庄そば』は60年余り営業しているらしい。さらに、福井駅に移動する前、今庄駅で立ち食いの『今庄そば』が開設されたのが昭和5年(1930年)頃と言われているので、2025年で創業95年ということになる。
外観から古さは感じられなかったけど歴史あり。そういうところに北陸の息遣いを感じた。誰が呼んだか「北陸四大立ち食いそば」。町そばメインだから立ち食いそばが少ないだけかとも思っていたけど、『今庄そば』の正体には確かにそう呼ばれるだけの重みを見たのでした。
・今回紹介した店舗の情報
店名 今庄そば 福井駅改札外店
住所 福井県福井市中央1-1-1
営業時間 6:00~22:00
定休日 無休
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.