【定年後の生き方】ジタバタするのが正解!50代以降は強みを生かして「自分探し」を
「人生100年時代は、まず女性にやってきます」──そう語るのは、女性向け求人誌「とらばーゆ」元編集長で、現在はライフシフト・ジャパンの取締役CMOを務める河野純子さんです。一般的に60歳は定年とされていますが、人生100年時代においては、それは人生の一つの転換点に過ぎません。その後の40年を「楽しく働き、自由に生きる」ことが重要だと河野さんは言います。『60歳の迎え方 定年後の仕事と暮らし』(KADOKAWA)は、60代以降、好きな分野で小さな仕事を立ち上げ、90歳まで続けるために必要な心構えや準備についてまとめられた一冊です。今回は、この本の中から、会社や家族のためではなく、自分の人生を生きるために知っておきたい情報やスキルを抜粋してご紹介します。
※本記事は河野 純子著の書籍「60歳の迎え方 定年後の仕事と暮らし」から一部抜粋・編集しました。
50代は第二の思春期
これからの私たちの人生は思っている以上にたくさんの選択肢があります。せっかく会社という枠組みを離れ、フリーハンドで未来図を描けるのですから、大いに悩んでみていいのではないかと思うのです。
実際に、50代で会社員から「雇われない働き方」へとライフシフトした人は、皆さん、実にジタバタしていました。私も含めて多くの女性たちが「自分探しの旅」を10代後半~30歳ぐらいにかけてやってきてはいますが、そのモヤモヤが再びやってくるのです。頭の中だけで考えていてもわからず、人に会って話を聞いたり、聞いてもらったり、こうして本を読んだり、ワークショップに出てみたり。何かを学び始めてやっぱり違ったと振り出しに戻ることもあります。
心理学者のダニエル・レビンソンは、40代~50代を「ミッドライフ・クライシス」(中年の危機)と言っています。アイデンティティが揺らぐ時期という意味です。組織コンサルタントであるウィリアム・ブリッジズは、人生の転機は、「何かが終わり、ニュートラルゾーンを通って、新しく始まる」と説いており、ニュートラルゾーンは不確実性や混乱が生じる苦しい時期といっています。会社員が終わり、雇われない働き方へと移行(トランジション)するときも、「自分探し」というニュートラルゾーンを通るのです。それはしばしば苦しい時間でもあります。
ですから悩んで当たり前、むしろ50代の10年間は60歳以降の「ありたい自分」を見つける「第二の思春期」ぐらいにかまえて、じっくり取り組んでみましょう。何かが早く見つかって準備ができたら、60歳まで待つ必要はありません。というより、何かが見つかると、やりたくなってしまうのです。会社を辞めないまでも副業でその何かを始めてみるのもよいアイデアです。なかなか見つからなくても焦らずに。動いているうちに、必ず見つかります。なぜならば答えはすでに自分の中にあるからです。いまはまだ見えていなくても、私たちはこれまでの人生の中でたくさんの経験をしてきています。そこが「第一の思春期」とは違う、私たちの強みです。