『アルドノア・ゼロ(Re+)』公開記念舞台挨拶レポート|あおきえい監督、花江夏樹さん、小野賢章さん、雨宮天さんがTVシリーズ当時を踏まえて新作映像『雨の断章』についてトーク
2014年から2015年にかけてTVシリーズが放送されたアニメ『アルドノア・ゼロ』。その総集編に新作映像『雨の断章』を加えた『アルドノア・ゼロ(Re+)』が、先日2025年2月28日(金)より全国の劇場で上映中です。
先日3月5日(水)には新宿バルト9で公開記念舞台挨拶が行われ、あおきえい監督、花江夏樹さん(界塚伊奈帆役)、小野賢章さん(スレイン・トロイヤード役)、雨宮天さん(アセイラム・ヴァース・アリューシア役)が登壇。10年ぶりの新展開となった本作について様々な裏話を披露してくれました。
本稿ではこのイベントの模様をお届けします。なお上映後に実施されたためネタバレありのトークのため、まだ本作を劇場で鑑賞されていない方はご注意ください。
【写真】『アルドノア・ゼロ』新作映像『雨の断章』についてスタッフ・キャスト陣がトーク
あおき監督は総集編パートにはまさかのノータッチ!?
登壇者が会場入りしご挨拶を済ませたオープニングトークへ。あおき監督は『アルドノア』のイベントが久しぶりだと話すと、この会場と全国のライブビューイング会場に集まったファンへ感謝と喜びを語っていました。
花江さんと小野さんは3月1日(土)に実施された公開記念舞台挨拶にも登壇されていましたが、今回は登壇者が揃っていることから心強いと話していました。イベント前の舞台裏では、土曜日に話したことは新鮮味が無いからとお互いを牽制し合ってたそうです。
雨宮さんも本作のイベントでファンの前に立つのは10年ぶりだそうで、緊張していると一言。また、当日のお衣装がアセイラムを意識したものとなっており、MCを務めた松澤ネキさんからその点を尋ねられると「姫です……!」と述べて会場を盛り上げてくれました。
最初の話題は「10年ぶりの展開となったTVシリーズ総集編について」。雨宮さんはよく24話の膨大な内容を詰め込んでいて凄いとコメント。名シーンばかりなので、ファンのみなさんには総集編だけでなくTVシリーズ本編も見返して欲しいとも話していました。
あおき監督は総集編パートにはノータッチだったことを暴露。当時の宣伝担当さんから話を聞いた段階ではイベント上映を1回しかやらないと勘違いしてしまったそうで、1ヶ月間もイベント上映をやるなら少しは関わっておきたかった様子。ですが自身が携わっていない『アルドノア』はこれが初めてだったことから、新鮮な気持ちで作品を楽しめた部分もあるとも。
新作パート『雨の断章』ではスレインにも救いが……!?
新作パート『雨の断章』へと話題が移ると、花江さんは小野さんから聞いて本作の存在を知ったことを明かしてくれました。最初はTVシリーズだと思っていたそうですがそれでも嬉しかったのだとか。また、『雨の断章』自体は以前イベントで披露された朗読劇だそうですが、久しぶりに演じたもののしっかり台詞を覚えていたそうです。
小野さんは、『アルドノア』の新作をやると聴いたその現場が終わってすぐ花江さんに連絡を取ったそうです。それくらい本作への思い入れは強いそうです。また、『雨の断章』収録は花江さんと一緒にできたそうですが、普段から仲良くしている分だけ当時とは関係性が変わっており、その雰囲気をすぐ作れるか不安があった様子。しかし、収録が始まったらすぐに空気が変わり、本当にあの狭い空間が再現されたように感じられたそうです。
ここで、TVシリーズの収録当時に雨宮さんがもやしのナムルを持参して持ってきたことがあるというエピソードが飛び出す一幕も。とはいえ雨宮さんご本人は覚えておらず、花江さん&小野さんのほうがよく覚えていたというものでした。
そんな雨宮さんにも『雨の断章』の印象を伺うと救われる一言。10年ぶりに全話見返す機会があったそうですが、スレインのことを想うと感情移入してしまったのだとか。だからこそ『雨の断章』でスレインにも救いが描かれ、感情移入していた自分も救われたような気持ちになれたとのこと。また、エンディングで用いられた「Harmonious(ハルモニアス)」がスレインへの祈りのようにも聞こえたとも。
あおき監督は『雨の断章』に演出として携わっていたのだとか。ただ、自分の中に伊奈帆やスレインの明確なキャラクター像があったものの、10年も時間が経過したことからキャラクターの解釈が変わったかもしれないと最初は疑問を覚えることがあったそうです。制作を続ける内に当時の感覚を取り戻したそうですが、キャラクターたちはあの最終回から数ヶ月しか経っていないので、最初はどこまでお芝居をつけるべきなのか自信を持てず緊張があったそうです。
花江さんはこのお話を受けて、自分も作品への思い入れが深くだからこそ優しい気持ちになってしまったとコメント。その気持ちが反映されたことでもっと淡々とした演技をとのディレクションを受けたそうで、当時の自分との環境の違いや性質の変化から調整には苦労したと述べました。
スレインに関しては全てをやり切って抜け殻のようになっている、自分の筋を通し切った先にある完全燃焼からのスタートだったと話す小野さん。その状態は作りやすかったそうですが、それでも10年前の声質とは変わっているので当時を上手く表現できるか不安はあったそうです。
雨宮さんは10年ぶりのアセイラムについて、TVシリーズでは世間知らずなところから様々な経験を得て女王になっている、その経験は彼女にとってかなり大きいと考えたそう。『雨の断章』はそこから数ヶ月後だったことから、本編よりもどっしりと構えた地に足のついた印象で演じられたとのこと。
そして、あおき監督に細々とした裏話を伺う場面も。あおき監督はキャラクターたちの楽しい部分に集中した物語をやってみたいようで、当時Blu-ray&DVDなどに収録されていた「アルドノア学園」を挙げていました。
また、アセイラムの腹違いの妹であるレムリナ・ヴァース・エンヴァースが話題に上り、雨宮さんが彼女も報われて幸せになってほしいと話すと、あおき監督は総集編を改めて見て「超可哀想だと思った」「(※作った人は)本当に酷いですよね」とコメント。
この反応を受けた会場から笑い声が漏れると、実は地球軍のアッキネンという将軍に拾われるカットを入れようと考えていたことを明かしてくれました。このシーンを入れることで助かったことはわかるものの、また利用されてしまうのではないかと考え入れないことにした模様。そして、レムリナにも幸せになって欲しいからこそ、彼女のその後も描いてみたいと語ってくれました。
Blu-rayボックスの商品情報やイベント情報を告知し、そろそろイベント終了の時間に。最後に登壇者からメッセージがありました。雨宮さんは10年経っても変わらず愛されている作品に関わることができて嬉しいと一言。小野さんはこれからも応援していただけたらエデルリッゾの花嫁修業の新作が見られるかもしれないと、もしかしたらあるかもしれない作品の今後へ希望を託しました。
そして花江さんは、10年前を振り返り当時はがむしゃらに一生懸命やっていたと話すと、当時の自分が誇らしくなったと作品や演じるキャラクターへの自信を露わに。そして自分の代表作だと胸を張って言えるとコメントを結びました。
現在全国の映画館で公開中の本作。10年来のファンはもちろん、これから『アルドノア・ゼロ』を知るという方もTVシリーズの総集編から見られますのでぜひ劇場へ足を運んでみてください!
[取材・胃の上心臓]