さらなる高みを目指して 2025年もレノファ山口FCとともに!
「勝ち点55、失点45」を目標に掲げた昨季(2024年シーズン)、レノファ山口FCのJ2リーグでの戦績は、15勝8分15敗、勝ち点53で、20チーム中11位。J1昇格のプレーオフ進出圏内に入ったり、天皇杯全日本選手権大会では初のベスト8入りを決めたりするなど、成長と躍進が見られたシーズンだった。この特集では、J2昇格から9年目の昨季を10試合ごとに振り返るとともに、選手の個人成績、志垣良監督へのインタビュー、末永透瑛選手と山本駿亮選手のコメントをお届けする。
1~10節(2月24日~4月14日)
ホームでの開幕戦は、第2節のブラウブリッツ秋田戦。雪と雨の混じる悪天候だったが、2019年以来のホーム開幕戦入場者数1万人を目指した「総力1万人プロジェクト」を展開し、スタジアムにはコロナ禍後では最多の8906人が集まった。試合は2-0で勝利。勝ち点3、初勝利をもぎ取った。
2連敗を挟んだ第5節(徳島ヴォルティス戦)では、試合運びの上手さが際立った。前半から果敢に攻め、CKなど決定機も作りだしペースをつかむと、後半6分に#68野寄和哉選手が先制。5分後には#3ヘナン選手が追加点を決め2-0に。オウンゴールで1点を失ったが、2-1で3試合ぶりに勝利を引き寄せた。
第10節、ホームで迎えたザスパ群馬戦。前半4分、#20河野孝汰選手が先制し、1-0で折り返す。後半10分、再び#20河野選手が連続ゴールで2点目を奪うと、レノファの猛攻が始まった。同21分には#24梅木翼選手が、アディショナルタイムにはこの日が誕生日だった#55五十嵐太陽選手がゴールを決め、今季最多得点の4得点。勝ち点15で順位は6位に浮上した。
11~20節(4月21日~6月16日)
アウェーで迎えた第12節(鹿児島ユナイテッド戦)は、「薩長ダービー」。前半37分、ゴール前のこぼれ玉を#24梅木選手が押し込み先制。GKの#21関憲太郎選手の好セーブもあり、大事な1点を全員で守り切り、1-0で勝利。順位は6位のまま。
逆転負けの後、2019年以来の3連勝をあげたレノファ。J2で初の4連勝を目指して戦った第17節の相手は大分トリニータ。開始早々からチャンスを作るが決定力に欠け、ネットを揺らせない。最後まで相手の固い守りを崩せず、0-0でドロー。
後半戦の最初の対戦相手はザスパ群馬。雨の中スタートした試合だったが、前半26分、#9若月大和選手がミドルシュートで先制。1-0で折り返した後半は相手に攻め込まれる時間が多かったが、1点を死守し、勝ち点3を得て、順位は4位まで浮上した。
21~30節(6月22日~9月7日)
第21節(いわきFC戦)は前半序盤から双方譲らない厳しい戦いになった。後半11分、ついに相手の先制を許してしまう。その3分後には追加点を与え、20分にはPKも決められ0-3で完敗。勝ち点34、順位は6位に後退。
プレーオフ圏内に残るためにも負けられないレノファの第23節の対戦相手は鹿児島ユナイテッドFC。双方、序盤から攻め込むが0-0で前半を終える。チャンスを生かせずにいた後半36分、ついに試合が動く。#20河野選手のシュートは、一度は相手に阻まれたが再度右足で振り抜きシュート! 相手の猛攻もしのぎ、1-0で辛勝。3試合ぶりの白星で勝ち点38、順位を5位に戻した。
約3週間の中断期間中も含め、メンバーの移籍や加入もあった。2023年のチーム得点王だった#24梅木選手ほか3人が移籍。一方で、タイ代表としての実績があるサーラット・ユーイェン選手ら4人が加入。天皇杯全日本選手権大会では、7月17日にはJAPANサッカーカレッジ(新潟)に3-0で完勝し、クラブ初の4回戦進出も決めた。
シーズン最多の11,575人の観客がスタジアムに集まった第29節(ファジアーノ岡山戦)。スコアレスで折り返すが、後半に入ると徐々に攻め込まれる時間が増え、手痛い2失点。0-2で勝ち点を献上し、順位は6位に後退。そして、ここからレノファは長いトンネルに入ってしまう。
31~38節(9月14日~11月10日)
第31節(清水エスパルス戦)では、開始早々から相手に攻め込まれ苦しい展開に。先制を許し1点を追う後半20分、#9若月選手がゴールを決め同点に。しかし、同27分、41分、44分と3失点。チャンスを作り出せず、1-4で今季初の3連敗を喫した。
その後も3連敗と、トンネルから抜け出せない中の第35節、プレーオフ進出の望みをつなぐ一戦の相手はロアッソ熊本。前半14分に#9若月選手が先制ゴール。しかし、直後の20分に相手にゴールを許し同点に。「あと1点」のために果敢に攻め、シュートを放つも引き分けでタイムアップ。7連敗は避けたが、プレ―オフ進出の可能性はなくなった。
シーズン当初に掲げた「勝ち点55、失点45」の達成を目指し臨んだ最終節。対戦相手は、開幕戦と同じカードで、引き分け以上でJ1自動昇格が決まる横浜FC。開始から双方の堅守でスコアは動かず後半へ。セットプレーからチャンスを作るも相手の守備を崩せず、開幕戦同様に引き分け。勝ち点は53、最終順位は11位でシーズンを終えた。
◇ ◇ ◇ ◇
一時はプレーオフ圏内に入り、「J1昇格も夢ではない」と思わせてくれた昨季。目標に掲げた「勝ち点55、失点45」の勝ち点は53と惜しくも達成できなかったが、失点は44と目標を達成。最終順位、勝ち点、失点ともに昨季から大きく成績を伸ばした。ただ、惜しいところで決めきれない、決定力不足が否めない試合も多数あった。
今季(2025シーズン)も引き続き、志垣良監督が指揮を執る。昨季は停滞した時期もあったが、終盤戦では攻守ともに「アグレッシブなレノファ」も垣間見えた。経験を糧に2期目の「志垣レノファ」の飛躍に期待しよう。
勝利・結果・数字に貪欲に 志垣監督に聞く
―昨季の総括を。
志垣 クラブとしてより結果にこだわるために、攻守バランスよく、いかに勝ち点3のためにサッカーを構築していくか、という土台をしっかり作れた1年だったかなと思う。
―良かった点と課題は?
志垣 他チームと比べて予算規模が少ないチームでも、上位に対して戦えたというところは良かった点。課題はゴール前の守備や攻撃。攻守において、「最後の部分の質」をもっと高めていかなければいけない。
―目指すチーム像は?
志垣 勝利に対して貪欲に、結果に対して貪欲に、数字に対して貪欲に。そのためには日々のトレーニングから細部にこだわっていくこと。そして要求レベルを高めていくというところは突き詰めていかなくてはいけないかなと感じている。
―今季の目標は?
志垣 昨季以上の成績を求めてやっていく、ということは変わりない。レノファはJ2 に上がってから得失差がプラスになっていない。そこがプラスになれば、今以上の成績になっていくと思う。失点数は昨年よりは抑え、攻撃では得点数を高めていければ、得失点がプラスになる。そうすると、より高みの新たな景色が見られると思うので、そこを目指していきたいと思っている。
―サポーターに一言
志垣 非常に熱量が高く、温かく見守ってくれているサポーターが多い印象。レノファが地域を盛り上げる一つのツールとなり、さらに、レノファを通じて人と人とがつながる文化が根付けば、地域創生の一端を担えることができるのかなと感じている。昨季もサポーターの皆様のおかげで、ピッチの上で躍動することができたと思っています。今季もより多くの歓喜の瞬間を皆様と一緒に共有できるように戦っていきたいと思っています。よろしくお願いします。
山口県出身、期待の2選手 山本選手、末永選手にインタビュー
終盤に失速したものの、J1昇格のプレーオフ圏内を争った昨季(2024シーズン)を終えての心境や、自身が掲げていた目標と課題、印象に残った試合、来季(2025シーズン)の目標やサポーター・ファンへのメッセージを、攻撃の最前線を担うFWの山本駿亮選手と、昨季ユースから加入した末永透瑛選手に聞いた。
「目に見える数字を残す」 山本駿亮選手
背番号:19 ポジション:FW
1999年3月山口県萩市出身。高川学園高、徳山大、鹿児島ユナイテッドFCを経て2024年からレノファ山口FCに所属。自身の「武器」や「見てほしい」ところは「足元の技術」。
2024シーズンは「5ゴール5アシスト」の目標に全く届かないほど、個人として結果を残せなかったのが現実でした。ゴールやアシストなど「目に見える数字を残す」ことがFWとしての評価と思っているので、FWとしての評価は0点。ただ、一年間ケガなくリーグ戦、天皇杯などほとんどの公式戦に出場できたことは良かった点と思うので、総合的に見て50点というのが自己評価です。
印象に残っている試合は、ホーム開幕戦(ブラウブリッツ秋田戦)。みらスタでレノファのエンブレムを背負ってプレーするのは子どもの頃からの憧れだったので、特別な瞬間でした。また、アウェーでのヴァンフォーレ甲府戦(第7節)のJ2初ゴールです。やっぱりゴールは嬉しい!
2025シーズンは、ゴール前に入っていくスピードや、点を取れるポジションを狙い続けることを改善していき、自分が言葉にした目標を達成できるよう努力を続けます。
良い時も悪い時も、サポーターの声援をもらって1年間戦い抜くことができます。今季こそ良い成績が残せるよう、皆さんと共にチーム一丸となって頑張ります!
「どんな場面・体勢でもゴールへねじ込む」 末永透瑛選手
背番号:38 ポジション:FW
2005年10月山口県山口市出身。レノファ山口FC U-12→U-15→U-18を経て、2024年からレノファ山口FCに所属。尊敬している選手は、同ポジションの河野孝汰選手。
「1試合でも多く試合に出ること」「5ゴール5アシスト」を昨季の目標として臨みましたが、3ゴール1アシストという結果に終わりました。ただ、プロ1年目で多くの試合に絡めたことで、失敗したこと、成功したこと、さまざまな経験ができたのは成長につながるので良かったと思っています。
2024シーズンで印象に残っている試合は藤枝MYFC戦(第16節)です。プロ初ゴールが決勝弾になった試合で、チームの5年ぶりの3連勝にも貢献できたのは嬉しかったです。
自身の課題は「得点力」という認識です。どんな体勢でも、どんな場面でもゴールにねじ込むため、武器でもあるドリブルで前へ前へ推進していくことを磨いていきます。
サポーターの皆さん、2024シーズン応援ありがとうございました。声援で後押ししてくださる皆さんの存在というものは大きかったです。まだまだ“この先の景色”を見せてあげられるように、日々の練習から頑張っていきます! 今シーズンも応援よろしくお願いします!