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「芸妓って、どうやって生活しているの?」知られざるお金事情やスケジュール管理まで、裏話をご紹介

Sitakke

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札幌で芸妓をしております、「こと代」と申します。 「芸妓」といえば、京都のイメージが強いと思います。
しかし北海道にも開拓期から道内各地に花柳界がございました。
現在は札幌のみになってしまいましたが、「さっぽろ 名妓連」には11名の芸者衆が所属し、毎日お稽古、お座敷などで活動しております。

連載「さっぽろ芸妓日記」では、札幌の花柳界の歴史や 文化などをご紹介していきたいと思います。お付き合いのほど、どうぞ宜しくお願いいたします!

3年間は助成金、そしてその後は…

私がこの世界に入門した際、「さっぽろ芸妓育成振興会」という会に育てていただきました。札幌の花柳界で若手の芸者を育てよう!と集まってくださった会員の皆様の応援のもと、3年間の育成期間中は毎月助成金を出していただき、そちらをお稽古代や生活費に充てて生活していくというシステムです。

私はこの会の一期生で、3年間の育成期間を終えて卒業いたしました。
(いまは入門から丸7年経ちました。時の流れの速さを痛感します・・・)

昨年秋、豊平館で踊らせていただいた時の写真。ここ数年でイベント系のお仕事にも多数呼んでいただけるようになりました

さて、振興会を卒業すると“一本になる、独り立ちする”というような言い方をするのですが、これは「一人前になりました!」という意味では決してなく、精神的にも金銭的にも自立し、これからはひとりでお仕事やお金を管理して生活していく、という意味合いがあります。

以前の記事でもご紹介しましたが、札幌の場合、私たちは個人事業主なのです。

お金の面に関して

まずは、日々のお稽古代。全て自分でお月謝を支払い、芸を身につけます。

基本のお稽古は「日本舞踊」と「小唄」「三味線」ですがそれに加えて他のお稽古をしている方もいらっしゃいます。
(ちなみに私は茶道やお笛もお稽古させていただいてます)

お姐さんからよく言われてきたのは「たくさんお稽古をするのはいいことだけど、お稽古倒れもするのよ」ということです。

“芸を身につける”という面ではとても宜しいことなのですが、その分お金も時間もかかります。初めのうちはどのお稽古が自分に合っているのか、色々と試して見極めることも大切ですが、徐々にいくつかに絞って極めていくようにするのも必要になってきますね。

身なりの部分でいいますと、ヘアセット代や着物のクリーニング代など。
着物に関しては入門した時にある程度は揃えましたが、必要なものが出てくれば自分で誂えないといけません。

白塗りに関しては、お化粧品も自分で揃えないといけないですし、
定期的に日本髪かつらのメンテナンスも必要です。

お気に入りの千社札。芸者の“名刺”なので、こちらも自分で誂えます。季節によってデザインを変えますので、常に何種類か用意しています

お仕事に関して

私達は“さっぽろ名妓連”に所属しています。(芸能プロダクションのようなものと考えていただくと想像しやすいかもしれません。)

お仕事は基本的にさっぽろ名妓連を通していただきますが、最近は、直接お声をかけていただくことも増えてまいりました。

その場合も、ひとりで勝手に話を進めてはいけません。
まずはお母さんやお姐さんにご相談をし、メンバーや演目、お衣装などを話し合って共にひとつのお座敷を作り上げていくのです。

お稽古とお仕事のスケジュール調整や、管理を自分ですることも大事なお仕事のひとつになっていきます。

育成期間中の最初の3年間は、昼間はお稽古に夜はお座敷と、有難いことに忙しい日々を送らせていただきましたが、現在、一本立ちしてからは自分のペースでお仕事させていただいています。

プライベートで小樽に行った際の写真です。自分が住んでいる土地の歴史を知るのもお勉強

他の職業に比べると特徴的な生活スタイルだと思いますが、挑戦してみたい!という若い子が入門してくれるととても嬉しいですね。

***
連載「さっぽろ芸妓日記」

文:さっぽろ名妓連 こと代
編集:Sitakke編集部

<「こと代」プロフィール>
札幌生まれ、札幌育ち。2018年にお披露目して以降、現在も最北の花柳界「さっぽろ 名妓連」で芸妓として活動中。開拓期から続く北海道の花柳界文化をたくさんの方に 知っていただくべく日々奮闘中。飼い猫達と遊ぶことが日々の癒し。

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