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「寂しさ」を力に変える!人生100年時代の人間関係のヒント【大学教授・齋藤孝さん解説】

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「寂しさ」を力に変える!人生100年時代の人間関係のヒント【大学教授・齋藤孝さん解説】



人生100年時代、60代は新たなスタートラインです! そんな大切な時期をいきいきと過ごすための、頭と心のコンディショニング法を紹介しているのが大学教授・齋藤孝さんの著書『60代からの知力の保ち方』(KADOKAWA)。本書は日々のちょっとした習慣を通して、60代からの知力を無理なく、そして楽しく保つ方法を優しく解説します。「まだまだこれから!」という意欲を応援し、後半生をより豊かにするためのヒントが満載です。60代は、これまでの役割が変わり、自分を見つめ直す時期。脳と心と体をバランス良く整え、知的な活力を高めていきませんか?


※本記事は齋藤孝著の書籍「60代からの知力の保ち方」から一部抜粋・編集しました。


将来への不安から自由になる


もう一つ心を蝕むのは、「将来」への不安です。


定年が近づいてきて、あと何年だなと一抹の寂しさを感じるのは、後悔とは違います。「寂しさ」という感情は本来はしみじみした情感であり、心を蝕むものではなく、変化への正常な反応なのです。


この気持ちをきっかけに、新たな関係性を結んでいくプロセスの一部だと考えましょう。


『星の王子さま』で知られるフランスの作家、サン=テグジュペリは、人生の宝というべきものについて、こう言っています。

「真の贅沢というものは、ただ一つしかない、それは人間関係の贅沢だ」


(サン=テグジュペリ『人間の土地』堀口大學訳 新潮文庫)

人生が百年となってゆくと、私たちを支えるのは組織を離れたところにある人間関係です。すでに身近に麻雀仲間とかゴルフ仲間、カラオケ仲間がいれば、それだけでも幸いです。


会社を離れた人間関係を考えた時、一番の近道は、昔の関係性を掘り起こすことです。学生時代の友達とは何十年会っていなくとも、驚くほど距離を感じないものです。


出会いは、古ければ古いほど、通じ合うところがります。


先日、あるテレビ番組で倉田真由美さんと二十年ぶりくらいにご一緒しました。


『だめんず・うぉ~か~』を描いた漫画家さんで、二十年前に、『喫茶店で2時間もたない男とはつきあうな!』(集英社)という著書を共著で出し、楽しくお酒を飲んだりしたので、二十年たってもどこか気安く、あっさり打ち解けました。歴史を共有することは大事だな、と感じた瞬間でした。


還暦というのはとてもいい年頃で、誰が勉強できたかとか、誰が地位やお金を得たか、社会的能力に優れていたかなどといった世間的な尺度が一度、無意味化するタイミングです。フラットな関係が生まれるチャンスですから、そこにマウントを持ち込まない自制心があれば、きっと新しい関係が生まれるはずです。


老いを自覚し始めたら、注意しなければならないポイントは、社会的な肩書を引きずらないことです。


私は二十代後半から三十歳ごろ、市民大学で教えていたことがあります。地方公共団体が市民のために開設した講座で、受講者にはさまざまな年齢の方がいましたが、浮いてしまうのは、会社で元重役だった方とか、結構な役職についていた方でした。講座の目的に肩書は一切必要ありません。


嫌われていることを薄々感じ始めると、徐々にその武器が全く通用しないことに気づき、肩書自慢は鳴りを潜めていきます。


男性は、肩書なしのつき合いに安心できないメンタルの方が多いようです。そこには弱さも感じます。同じことは、社会進出が進んでいる女性にも今後起こりうることかもしれません。


学習の場は平等です。翻訳サークル、楽器の演奏、スポーツなど、六十代の自分が見えてきたあたりから、スイッチを切り変える準備を始めましょう。


先ほど述べた、定年を前にしたしみじみとした寂しさは、新しい生活と価値観へのスイッチなのです。


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