Amazon、最先端の配達用ドローン「MK30」を解説。航続距離は2倍、騒音は半分に
Amazon Prime Airは、アリゾナ州のウェストバレー・フェニックス都市圏とテキサス州カレッジステーションで、最先端の配達用ドローン「MK30」の運用している
この新型ドローンは、従来モデルに比べて航続距離が2倍に延び、静音性も大幅に向上している。
例えば、アリゾナ州トレッソンにあるAmazonの配送センターの近隣住民が、約2.3kg以下の対象商品を購入した場合、このドローンは指定された配達エリアで60分以内に商品を届けることができる。
ゼロから設計されたドローン
MK30は、Prime Airチームのエンジニアや航空宇宙の専門家によって、約2年の歳月をかけてゼロから設計された。この開発では、安全性と信頼性が最優先され、障害物を検知・回避する高度なシステム、大幅な騒音削減、飛行に必須のシステムの冗長化を実現した。これにより、どんな単一の障害が発生してもドローンの制御が失われることはない。
開発段階では、基本的な飛行機能の試験から始まり、8か月をかけて空力モデルや飛行制御モデルを検証した。その後、製品版のハードウェアとソフトウェアを組み込んだ機体を完成させ、規制当局の承認を得るプロセスに進んだ。
MK30は軽い雨の中でも安全に運用できるよう設計されている。開発チームは、スピン中のモーターを水に沈めたり、さまざまな角度や圧力でドローンに水を噴射したりして、雨天飛行に耐えられるかを試験した。
騒音削減も重要な課題だった。チームはさまざまなプロペラ設計を試行し、その結果、MK30の騒音を従来モデルの約半分に低減することに成功した。
ウェルズ氏:ドローンが離陸して移動するとき、その動作はシームレスで、音が周囲の環境に溶け込むように設計しています。この点が、ドローンが人々の庭に受け入れられるための鍵になります。
最先端の認識技術と安全性
MK30は配達中にトランポリンや洗濯物干しロープなど、衛星画像に映っていない障害物を検知し、それを回避する能力を持つ。また、ドローンに搭載されたカメラは飛行中に周囲を監視し、近隣に侵入した他の航空機を避けるべきかどうかを判断する。この認識システムは、高度な機械学習アルゴリズムによって、人間や動物、障害物、他の航空機を正確に識別するよう訓練されている。
安全機能のすべてに完全な冗長性を持たせるため、Prime Airチームは別個のモニタリングコンピューターを開発し、これが主要な飛行制御アルゴリズムを監視する。このシステムは、飛行中に異常を検知すると、即座にバックアップの制御装置に切り替え、安全に帰還させるシーケンスを作動させる。
ウェルズ氏:認識システムに使用される機械学習とアルゴリズムは最先端のものだが、安全性目標を達成するには全体として統合されたシステムが必要です。冗長化された航法および制御システムや、健康監視システムは業界の中でも群を抜いています。
MK30は、1,070時間以上の飛行試験と6,300回を超える飛行を経て、FAA(アメリカ連邦航空局)の認証を取得した。試験は、まず係留状態での飛行から始まり、続いて囲いの中での飛行、最後に屋外での自由飛行へと進んだ。
最終段階では、オレゴン州ペンドルトンにあるAmazonのドローン試験施設で、FAAによる監視のもと、360時間に及ぶ認証試験飛行が行われた。この試験を通じて、FAA認証を取得し、新しい運用地域での初日からBVLOS(目視外飛行)を実現する業界初のシステムを構築した。
MK30の運用認証は、今後10年間で世界中に5億個のパッケージをドローンで配達するというAmazonの目標に向けた大きな一歩だとしている。
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