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収穫時期は“秋だけ”なのに、なぜ季節を問わず食べられるの?意外と知らないキウイの秘密【現地取材】

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収穫時期は“秋だけ”なのに、なぜ季節を問わず食べられるの?意外と知らないキウイの秘密【現地取材】

さくらんぼ、桃、梨……これらの果物には“旬の季節”があります。店頭に並ぶのはごく限られた数か月だけで、旬が過ぎると手に入りにくくなるのが一般的です。それに対して、キウイフルーツは季節を問わず安定的に楽しめる、数少ない果物のひとつです。その理由は、世界的な生産・流通の仕組みにあります。今回saita編集部は、ニュージーランド北島、タウランガ近郊に位置するテプケ(Te Puke)に現地取材に行ってきました。ここは世界でも屈指の「キウイフルーツの産地」として知られています。

オーチャード(キウイ園地)を訪問

キウイフルーツの収穫が行われるニュージーランドの秋(日本の春)に、現地取材のためニュージーランドを訪れました。

今回訪問したのは、15年前からキウイフルーツを栽培しているティムさんとリンダさんご夫妻のオーチャードです。
旦那さんのティムさんは大学で植物や野菜を育てる園芸の勉強をされて、そのときに学んだ知識を、キウイ栽培にも活かしています。

収穫時期は年に一度「秋」

ニュージーランドは、日照時間が長く、適度な降水量もあるためキウイフルーツ栽培に最適な環境です。この自然条件のもと、毎年安定して高品質なキウイが育てられています。

日本の市場でも春から冬まで季節問わずキウイフルーツを楽しむことができますが、実はニュージーランド産のキウイの収穫時期は年に一度、3月〜5月頃の秋だけ。この短い期間に集中して収穫された果実は、厳密な保存技術によって鮮度を保ち、日本をはじめ世界中へ届けられます。

収穫時期以外の冬には枝を剪定して弦を縛るなど、天候による被害を防ぐ作業を行い、木の健康を保ちます。
春になると、つぼみがふくらみ、小さな白い花が開花。ミツバチたちが果樹園を飛び回り、受粉作業を助けます。受粉が終わると、花はやがて小さなキウイの実へと育っていきます。

そして収穫前の夏は、果実がしっかり育つように作業が行われます。日光が果実にしっかり当たるように、枝や葉、実が多すぎるところを間引いて、風通しや日当たりをよくします。

こうして手間ひまをかけて育てられたキウイフルーツは、ニュージーランドの自然と人の技が結晶した、まさに“恵み”の果実。私たちのもとに届くまでに、1年分の想いが詰まっているのです。

意外と知らないキウイのこと

キウイの収穫は、収穫時期の秋が来ると一気にスタートします! サイズや収穫時期に適した熟れ具合を見極めて、農園のスタッフ総出で一斉にピッキングします。タイミングが命なので、手早く丁寧な作業が求められるんです。

収穫後すぐ食べられる状態だと思われている方も多いかもしれませんが、じつは、キウイフルーツは収穫直後はまだ硬く、食べ頃ではありません。そのため、収穫後は品質を保つために−1℃から1℃の低温で厳密に管理されながら保存されます。

品質を保ったまま温度管理された状態で日本まで船で運ばれ、日本に届いてから、エチレンガスを使って追熟させることで、食べ頃の状態になるのです!

オーチャードでは、受粉の役割を果たすオスの木に対して、果実を実らせるメスの木が圧倒的に多く栽培されています。なんとオスの木1本に対して7~8本のメスの木に囲われているそうです。

そして、キウイの栽培には苦労もあったと話すティムさんご夫婦。
例えば、2010年には“かいよう病(PSA)”というキウイフルーツの木に感染する病気が原因で、ゴールドキウイの多くが被害を受け、一時はほぼ消滅してしまったそうです。被害を受けた木は切り倒し、健康な苗木を接ぎ木して再生させるなどの対策が行われたそうです。
同様の被害が出ないように、ニュージーランドでは、外から持ち込まれる植物や種などによって病気や害虫が入ってこないようにするため、空港での荷物検査がとても厳しく行われています。

私たちのもとに届く甘くてみずみずしいキウイフルーツ。その一つひとつには、ニュージーランドの大地で丹精こめて育てるティムさん・リンダさんご夫婦のような栽培者の方の日々の努力と真心が込められていることに心を打たれます。

ニュージーランドではキウイの食べ方がいろいろ

日本ではキウイフルーツの皮を剥いてそのまま食べることが多いと思いますが、ニュージーランドではどのように食事に取り入れられているのでしょうか?

その1.サラダやデザートに添えて楽しむ

キウイフルーツをそのままサラダに入れてもおいしいそうですが、写真のようにドライフルーツにして楽しむこともあるそうです! おいしさだけでなく見た目も工夫して食卓を彩ります。

2.お肉料理のソースとして

グリーンキウイを細かくカットして、お肉料理のソースとして楽しむこともできます。グリーンキウイに含まれるたんぱく質分解酵素(アクチニジン)の働きにより、お肉が柔らかくなり、消化も助けてくれます。その観点からも肉料理とグリーンキウイの相性は抜群です! 

その3.手作りジャム

写真のジャムは、ティムさん・リンダさんご夫妻が紹介してくれたオリジナルの手作りジャム。ジャムの大会で受賞されたという絶品ジャムです! 甘酸っぱい味でとても食べやすかったですよ。パンやヨーグルトにのせて食べるのもおいしそうです!

その4.皮ごと食べる

stock.adobe.com

ニュージーランドでは「皮つき」でキウイフルーツを食べる人もいるそうです。日本ではまだ定着していませんが、皮には栄養がたっぷり含まれているのでおすすめの食べ方なんだそうですよ。

その他、ホットオートミールと一緒に食べたり、スナック感覚でおやつとして食べるなど、日本とは違う習慣があるようでした。

皮を剥いてそのまま食べるだけでなく、さまざまなレシピに取り入れて、日常の食卓をもっと彩ってみてはいかがでしょうか? スムージーやサラダ、デザートなど、キウイの魅力を引き出す工夫次第で、毎日の食事がぐっと豊かになります。

saita編集部

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