「ガラス張りの選挙カー」が争奪戦!
選挙期間中はおなじみの選挙カーが街を走りますが、今回、候補者の間で奪い合いになった「選挙カー」があるということで取材しました。
ガラス張り選挙カーが候補者
開発した株式会社グリーンオートの若狭 侍郎さんに伺いました。
株式会社グリーンオート・代表取締役 若狭 侍郎さん
全面ガラス張りの選挙カーというものがございまして、運転席、助手席は通常の車なんですけども、後ろの後部座席のところがガラス張りになっていると。
通常の車ですとやはり歩道の方に手をふるような形が基本になるんですけども、移動中は右も左もガラス張りですので、右の歩行者もそうですし、反対側の歩行者、車道まで、全部、本人が中に乗車してるっていうのが確認できるようなクルマになります。
おかげさまで10台しかないんですけども、今回の衆院選の解散が発表された直後に、大体50件以上の問い合わせはいただいておりましたので、もう全国に散らばってますね。
<ガラス張りの選挙カー>
私も街で見かけたのですが、たしかにスケスケ!
グリーンオートは選挙カーのレンタル会社で、候補者にさまざまなタイプのクルマを貸し出していますが、日本で唯一の「ガラス張りの選挙カー」が、政治家に大人気だそうです。
通称「金魚鉢」と永田町の界隈では呼ばれていて、ミニバンを改造。後部座席がガラス張りになっていて、「左右」と「後ろ」がショーケースみたいに丸見え。誰が乗っているのか、すぐにわかります。
(小池都知事がこのクルマで、都知事選で3期、勝っているそうです)
もちろん選挙カーは「公職選挙法」で細かくルールが決まっています。たとえば、オープンカーはNGで、候補者の名前が載る「看板のサイズ」にも決まりがあるそうです。また、そもそも「公道を走っても問題ないですよ」という強度検査などもクリアしないといけません。
限定10台、乗った人は当選したのか?
ただ、冬は寒いし、夏はサンルームのように暑くて、乗り心地は正直よくないそうですが、目立つことはたしか。ではこの限定10台、このクルマに乗ったのは、どこの誰だったのか?再び若狭さんに伺いました。
株式会社グリーンオート・代表取締役 若狭 侍郎さん
与野党問わず。
候補者自身が使っていただいてるっていうのもございますし、10台の中には「政党本部」が直接ご契約いただいておりまして、例えば全国キャラバンのような形で、応援に行く車として使っていただいているということもございます。
今回ならではっていうところでは、いわゆる自民党の裏金問題の「公認」「非公認」の話もあったと思うんですが、兵庫9区の自民党の「西村さん」のところで後任もしていないような戦いになってるんですけども、ここの対抗が立憲で「橋本慧悟」さんが新人でガラス張りの選挙カーをレンタルしてる。
あと神奈川でいうと「三谷さん」って自民党の方がいます。あと立憲民主「中谷さん」がいます。これ両方とも現職です。
3人名前があがりましたが、うち一人は当選、二人は比例当選ということで、一応、皆さん通っています。
激戦区や接戦が予想される地域を優先して貸し出していますが、数が限られているため、同じ選挙区で複数の候補者が「使いたい!」と希望した場合には、候補者同士で協議し、どちらが使うか決めることもあるようです。
ただ、レンタル料が高いのがネックで、グリーンオートの場合、一番安い軽自動車タイプで、1日3万円(車と音響設備や看板を含め)ですが、一方で、ガラス張りのクルマは、1日12万円。選挙戦の10日間で、総額120万円かかります。
ガラス張りの選挙カーで、選挙に興味をもってほしい
誰でも借りられるものではなさそうですが、では実際のところ、若狭さんは選挙の結果をどうみているのでしょうか?
株式会社グリーンオート・代表取締役 若狭 侍郎さん
もちろん気になりますけども。ただですね、これは政治家のために作っているものではないんですよ。というのも、このクルマは、一番の思いは、「投票率が100%になってほしい」っていう思いで作っている。
自分も北海道出身なんですけども、北海道から上京してきたときにですね、選挙に行ってたかって言われると、正直行ってないんですよ、僕も。
これって皆さんそう思うんですけども、上京してきてみんな仕事とか学校が忙しい中で、引っ越してきた先の政治家が誰かなんてみんなわからないんですね。なのでそこを、「お、なんか変なの来たな」でもいいんですけど、そこで振り向いていただいたきっかけになったりですね、それが街頭演説を聞くきっかけになればと思って、今のような選挙カーを思いついて作っている。
まずは普段投票しない人に振り向いてもらって、選挙への興味を引き出せるようなクルマを作りたいとのことでした。
(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』取材:田中ひとみ)