【は?】77歳の父から「2カ月悩み抜いた相談」を持ちかけられる → 俺「ちょっと何言ってるかわからない」
結局のところ、人間は所詮一人ぽっち。そういう意味で人間とは最後までわかり合えない生き物なのかもしれない。ただその中でも「親子」ならば分かり合えることも少なからずあるのではないだろうか?
つい先日のこと。私は77歳の父からある悩みを打ち明けられた。可能な限り父の力になりたいと思ってはいるが、私はこう言うしかなかったのである。「ちょっと何言ってるかわからない」と──。
・奇襲
あれは月曜日の午前9時頃、父から着信があった。聞けば「ちょっと話したいことがあるから今から会えないか?」という内容。ちょちょ、そういうのはせめて土日にしてくれないだろうか?
ド仕事の平日に連絡を寄越すあたりがいかにも父らしいが、もしかしたら気を使って週末は避けたのかもしれない。ともあれ「なんで今なんだよ」と思いつつ、父の住まいの方面へとUターンすることになった。
・何が言いたいのか
およそ1時間半後、駅で落ち合った父は「ちょっとコーヒーでも飲もう」といつもと変わらない様子。コーヒーを飲みつつ聞いた父の話は、これと言って内容は無い世間話に終始していた。
母が亡くなって以来、千葉県で一人暮らしをしている父。かつては私とも盛大なケンカをしたものだが、今はそんな元気もないのだろう。何を言いたいのかよくわからなかったが、もしかしたら父は寂しかったのかもしれない。
・ん?
コーヒーショップに入って15分ほど、父と私のコーヒーは無くなりかけていた。というか、そろそろ私も会社に向かいたい。終わり際、私は「今度、レイちゃん(娘・父にとっては孫)連れて遊びに行くから」と伝えた。すると……
父「いやいや、いいんだよ! 気にするな!! 本当にそれは気にするな!」
……はて? 現在では孫が生き甲斐である父は、言葉にするのが難しいくらい孫に甘い。かなり厳しめに育てられた私として納得できかねることもあるが、それはイイ。孫を可愛がってくれることは私としても嬉しいことだ。
普段「娘を連れて行く」と告げると、最寄りのバス停で1時間前から待機している父。その父が娘の来訪を拒否するとはどういうことなのだろう?
父「実はさ……ほら、2カ月前の正月にみんなでご飯食べただろ? その時にレイちゃんに嫌われちゃったみたいなんだ。“お母ちゃんのことイジめるからおじいちゃん嫌い”って言われた気がするんだよ」
……は? 確かに私の父と娘の母はよくジャレ合っている。「顔が志村けんじゃないですか(笑)」と言われれば、父が「あんた言っていいことと悪いことがあるぞ!」というような具合にだ。
・長い
だがしかし、娘が「おじいちゃんが嫌い」など言っていたことは1度も無く、むしろ「おじいちゃんは優しい」と言っている。どうやら父は2カ月間「孫に嫌われた」と思い悩んでいたらしい。
父「今は距離が必要な時期なんだ。レイが忘れるまでそっとしておいた方がいいんだ。だから無理に連れてくることは無い。今は距離が必要な時期なんだ」
ごめん、ちょっと何言ってるかわからない。念のため娘に聞き取り調査を行ったところ、やはり「おじいちゃん? 優しいから好きだよ」とのこと。
・ちょっとよくわからない
むしろ娘は「どんなにイヤなことをされても誰かを嫌いと言ったことはない」と、8歳とは思えぬ大人びた意見を口にしていた。そう、こっちは8年間そう教えて来てますから。
結局のところ父は「そうか……良かった」と胸をなで下ろしていたが、何がどうなって孫から嫌われてしまったと思い込んだのか? やはりそこはちょっとよくわからない。
ただ1つ言えることは、祖父母にとって「孫に嫌われたかもしれない」という疑念は、2カ月もウジウジと引っ張るだけの威力があるということ。初恋の乙女じゃあるまいし……とも思ったが、全国のおじいさん & おばあさん、そんなものなのでしょうか?
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.