持ち帰り寿司の先駆者「小僧寿し」と「スシロー」の寿司を比較してみたら、無慈悲な現実を垣間見た……
「寿司」といえば、スシロー・くら寿司・はま寿司に代表される回転寿司が現在の主流だ。仕事柄、それらチェーンに関心を持たざるを得ないのだが、実のところ私(佐藤)は「隠れ 小僧寿しファン」なのである。全盛期に比べてお店が少なくなり過ぎてしまって、大っぴらにファンであることを公言することがはばかられるのだが、本当はもっと応援したいのです……。
そんな小僧寿しの実力は、やはり大手3社に劣るのだろうか? 一時といえども天下を獲ったブランドである。今でも実力は通用するはず。ってことで、小僧寿しとスシローの持ち帰り寿司を比較して、どこに違いがあるのかをたしかめてみたいと思う。
・全盛期は全国2000店舗以上
若い方は知らないかもしれないが、昔は寿司といえば小僧寿しだった。回転寿司が台頭し始める前の1980~90年代には直営店とフランチャイズで全国に2000店舗以上あったと言われている。
それが2000年代に回転寿司チェーンが徐々に勢力をつけ、さらにライバルとなる持ち帰り寿司のブランドが続々と誕生し、競争が激化すると次第に店舗は減っていき、現在は約130店舗という状況だ。
私の郷里島根は1軒もなくなってしまっている。子どもの頃、町の体育館で空手を習った帰りに食べたエビマヨの手巻き寿司が美味かったことを良く覚えているのに。あの店もなくなったのか……。
・スシローの持ち帰り専門店
店舗が少なくなったとはいえ、今でもがんばっている。積極的にフェアを実施して、時にはアニメとのコラボなどを実施して、前向きな宣伝活動を続けているのである。久しく小僧寿しを食べていなかったので、改めてその味に触れてみたい。でもただ食べるだけでなく、業界最大手スシローと味を比べて、2社の違いを独断と偏見で分析したいと思う。
ということで、まずはスシローへ。コロナ禍の持ち帰り需要に応えて誕生したのが、ここJR高円寺駅の「スシローToGo」だ。ここで手頃な商品を1品購入する。
公式サイトのメニューを見ると、にぎりの盛り合わせはおおむね1000円以下となっていた。けど、実際にお店で商品を見ると、モノによって価格が異なっている。仕入れ状況や盛り合わせの内容によって、値段が変わるようだ。
・小僧寿しの店舗独自メニュー
続いて、東京メトロ新高円寺駅から徒歩約10分の小僧寿し松ノ木店へ。私は最近までここにお店があることを知らなかった。ポールダンスの練習スタジオがすぐ近くにあるというのに……。駅を出て五日市街道を歩いていると……、見えた! あれは公式キャラの「鉢巻太助」だ。
このキャラはずっと変わらないなあ。お辞儀しながら目だけがこっちを見てるのが怖かったんだよなあ。昔とちっとも変わってねえ……。
小僧寿しチェーン松ノ木店。「sushi 花館」と書かれているのは、小僧寿しがオシャレに持ち帰り寿司を売り込むためにつけた、いわばサブタイトルのようなもの。しかしそこまで浸透せずに現在に至る。古いお店ではその名前がいまだに残っているというわけ。
公式のメニューを見ると、スシローと比べると品数が多い。1人前メニューは8貫税込599円から特上12貫税込2073円まで、価格幅を広く持たせている。さすが持ち帰り専門店だけあってバリエーション豊富だ。
加えて、ここのお店は独自メニューの提供も行っているのだ。その点も、小僧寿しの魅力のひとつである。
・いざ、食べ比べ
さて、それぞれ寿司の盛り合わせを買って来ました。できるだけ近い価格帯で、ネタ数の多いものをと思い、この2つを購入している。
スシロー 「はなび」税込1090円 12貫
マグロ・タイ・エビ・ホタテ・甘エビ・ネギトロ軍艦・イカ・サーモン・炙りサーモン・穴子・玉子・イクラ軍艦
小僧寿し 「キングスペシャル」税込860円 14貫
エンガワ・トビコ軍艦・エビマヨ軍艦・ネギトロ軍艦・玉子・ゲソ・小肌・タイ・タコ・炙りサーモン・紋甲イカ・サーモン・イカ・マグロ
まずはコストパフォーマンスで小僧寿しに軍配。お店オリジナルのキングスペシャルは、14貫で1000円以下という目玉商品。これを選んだ時点で、価格ではスシローに勝ち目はなかったかも。価格は良しとして気になるのは味。
並べた寿司の左がスシロー、右が小僧寿しである。マグロを比べてみると、見た目からしてスシローの方が美味そうだ。食べてみると、肉質はそれほど変わらないが、厚みの違いがひと口の満足度に出てしまう。もちろんスシローの方が満足度が高い。
イカも同様だ。スシローの方が鮮度が高い印象を受けた。大手だけあって、冷凍技術・加工技術においても小僧寿しを上回っているのかも。
タイにおいても違いは顕著。比べるのが申し訳ないほどスシローが秀でている。見た目通りに味はスシローが上だ。
同様に玉子も並べて置いた段階で決着している。小僧寿しがダメなのではなくて、スシローの加工技術が高いのだろう。考えてみれば、回転寿司チェーンでトップであるだけでなく、持ち帰り寿司「京樽」を傘下に持っていることから京樽のノウハウも生かされているのかもしれない。組織力の高さがうかがえる。
味ではスシローの方に分があった。価格だけ見るなら小僧寿しという選択肢もアリだろうが、総じてスシローの強さを感じさせる比較結果となった。やはり業界1位は伊達じゃないな……。
とにかく小僧寿しは持ち帰り寿司のパイオニアであり、その昔、高級料理のひとつだった寿司を持ち帰りで庶民の味にした立役者でもある。全盛期には及ばないまでも、これからも末永く続いてくれることを願っている。私が最初に馴染んだ寿司は小僧寿しなんだよ。がんばってくれ~!
・今回訪問した店舗の情報
店名 スシローToGo JR高円寺駅
住所 東京都杉並区高円寺南4丁目48-2
時間 11:00~20:00 土日祝11:00~19:00
店名 小僧寿し松ノ木店
住所 東京都杉並区松ノ木3丁目22-11
時間 10:00~21:00 土10:00~21:30
参考リンク:スシロー ToGoメニュー(PDF)、小僧寿し
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24