【山火事に注意!】静岡県内の状況や発見時の対応について静岡市消防局に聞きました!
「乾燥した日」こそ要注意!遭難したらどうすればいい?
令和7年(2025)年1月7日に発生したロサンゼルスの山火事では、建物1万2千棟以上が焼けるなど大きな被害が出ています。(2025年1月23日時点)アメリカでの出来事ではありますが、静岡県も山に囲まれていてアウトドアが盛んな地域です。静岡での山火事の状況や万が一遭遇した時の避難、対策について、SBSアナウンサー松下晴輝が静岡市消防局警防部警防課企画係の根本啓吾さんに聞きました。
<目次>
・山火事が起こる原因
・静岡の山火事の件数
・飛び火で拡大。山火事の特徴
・万が一、山火事に遭遇した時は...。
・山火事を起こさないために一人ひとりができること
山火事が起こる原因
松下:山火事は何が原因で起こるのでしょうか。
根本:「伐採した樹木を焼却する際の火の不始末」「たばこのポイ捨て」「建物火災が延焼拡大して燃え移る」などさまざまな理由があります。多くは人為的な原因で発生しています。近年の全国的な発生件数は年間約1300件です。
松下:年間約1300件というと、1日に数件は起きている計算になりとても多い印象を受けます。ロサンゼルスでは大規模な火災が発生しましたが、日本の山火事との違いはありますか。
根本:気候区分が違います。ロサンゼルスは、地中海性気候で温帯の中でも乾燥しやすいのが特徴です。山火事が非常に大きくなった原因として、雨がほとんど降らず、とても乾燥していたことや気温の上昇に加えて風が強かったことが考えられます。
一方日本は、温暖湿潤気候でロサンゼルスと同じ温帯に属していますが湿度が高いのが特徴です。そのためロサンゼルスに比べて山火事が大規模になりにくいと考えられますが、乾燥した日が長期間続いた場合は大規模になる可能性があります。
松下:「乾燥」がキーワードになってくるんですね。
静岡の山火事の件数
松下:実際、静岡で山火事はどのくらい起きていますか。
根本:静岡市消防局は静岡市と島田市、牧之原市、吉田町、川根本町を管轄しています。管内での林野火災は、令和6(2024)年は1件、令和5(2023)年は5件発生しています。枯れ草などを燃やした火が拡大して山火事になったケースが多く、空気が乾燥する冬から春先にかけて発生しやすくなっています。
そのほかにも令和3(2021)年2月の栃木県足利市で発生した林野火災では、市有林約167ヘクタールが焼け、多くの応援部隊が県内外から出動しました。
松下:ロサンゼルスでは「鎮火の見通しがたっていない」ことに恐怖を感じますが...。
根本:見た目は消火できても枯れ草の下でくすぶりがあったりするので、鎮火と判断するのに時間を要することもあると思います。
飛び火で拡大。山火事の特徴
松下:一般の建物が燃えてしまう火災と比べて、山火事特有の怖さはありますか。
根本:建物火災は段階的に隣の建物に燃え移り、拡大していきます。しかし山火事は、地面にある枯れ葉などを伝って面で広がっていきます。特に風の影響が強く、燃えている箇所から風で火種が飛ばされ、まったく燃えていなかった所からも燃え始める「飛び火」といった現象でも拡大の恐れがあります。
よって、ロサンゼルスの山火事で住宅などが燃えているのは、この飛び火の影響があると考えられます。さらに強風下では急速に燃え広がるので、大量の煙で視界が遮られ、自分の居る場所や逃げる方向が分からなくなってしまう可能性があります。山頂方向への延焼が横や下に比べて早いため、山頂方向に逃げてしまうと逃げ場を失う可能性もあるので気を付けてください。
万が一、山火事に遭遇した時は...。
松下:山火事の対策はありますか。
根本:消防局の予防対策としては、山火事が発生しやすくなる秋口に山火事予防を啓発する看板を登山口やハイキングコースなどに設置して注意喚起を行っています。また山火事が発生しやすい時期を捉え、消防署と消防団が連携して山火事を想定した消火訓練も実施しています。
松下:ちなみに山火事の消火活動はどのように行われるのですか。
根本:山には消火栓など水源となるものがあまりないので、離れた水源から火災現場まで消防車や持ち運びができる小型のポンプをつなぎ、ホースを伸ばして消火しています。
松下:万が一、山火事に遭遇した時に取るべき行動も教えてください。
根本:まずは自分の身の安全を確保してください。風下を避けて安全な場所に避難し、119番通報をしてください。GPSが備わっているスマートフォンだと通報してくれた場所がかなり正確に分かるので現場の特定に役立ちます。その後、消防隊や消防団が近くに来たら、自分が通報者だと伝え、発見時の状況や場所などの説明をお願いします。
山火事を起こさないために一人ひとりができること
松下:最後にリスナーにメッセージをお願いします。
根本:山火事の多くは人為的な理由で発生しているので、皆さんが「絶対に山火事を起こさない」という意識が大切です。
また「枯れ草などがある場所では焚き火をしない」「火を使っている時は絶対にその場を離れない」「事前に消火用の水などを用意し、最後は完全に消火する」「風が強い時や空気が乾燥している時は焚き火などを行わない」という注意点をきちんと守っていただきたいです。皆さんの心がけで山火事の発生を防ぐことができるので、ぜひお願いします。
※2025年1月23日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。