霞ヶ浦の「アメリカナマズ釣り大会」で約1,000匹が漁獲される 気になる利用法は?
ここ数年開催されている「特定外来生物の釣り大会」。今年の釣果はどうだったのでしょうか?
霞ヶ浦で「特定外来生物の釣り大会」が開催
茨城県にある日本で2番目の広さを誇る湖・霞ヶ浦。ここで今月「アメリカナマズの釣り大会」が実施されました。
この釣り大会はYouTuberが主催しているもので、毎年秋に行われています。ルールは「霞ヶ浦で釣れたアメリカナマズの2尾合計体長を競う」というシンプルなものです。
例年と比べると早い時期の開催となった今年は、数は釣れるものの小型が多く、サイズを伸ばすのに苦戦する人が多かったようです。それでも大きいものでは70cmを超えるものも顔を出しました。
なぜアメリカナマズを対象に?
アメリカナマズは正式名称を「チャネルキャットフィッシュ」という、北アメリカ原産の外来魚です。戦後に霞ヶ浦をはじめとした数ヶ所に導入され養殖が試みられましたが、そこから逸出(故意の放流という説もある)し定着しました。
霞ヶ浦ではシラウオやスジエビなどといった在来魚介類が漁獲されており、名産品となってきました。しかし定着したアメリカナマズがこれらの魚を盛んに捕食したり、またこれらの魚を狙った網に入り込んでしまったりすることで、生態系や漁業に多大な悪影響をもたらしています。
そのため現在では養殖も引き続き行われつつも、種としては「特定外来生物」に指定されて駆除が推奨されています。この釣り大会はそのことを広く知らしめると同時に、みんなで採取しそれを利用するということを目的に開催されています。
釣られたアメリカナマズはどうなるの?
食用に移入されたアメリカナマズは食味の良さが魅力の魚で、フィレにすれば身質がよく、臭みもなくてどんな料理にも合います。そのため釣れたアメリカナマズは持ち帰り、食べてもらうことが主催者によって推奨されています。
今年の大会では霞ヶ浦漁協の協力をうけ、湖岸各地に「アメリカナマズ回収バケツ」が設置されました。釣り人個人が持ち帰れない分はこのバケツに入れておけば回収され、加工業者によって食品加工されます。
鮮度が落ちてしまったものは近隣の水族館によって「飼育魚の資料」として利用されました。結果として1000匹近い数のアメリカナマズが漁獲・利用されたとのことです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>