神戸市が、山中の樹林を墓標とする『樹林葬墓地』を北区に整備するみたい。50年後に「自然に還る」仕組み
画像:神戸市 市長定例会見資料より
神戸市は、社会情勢の変化などを踏まえた「新しいお墓のかたち」として、2025年度から『樹林葬墓地』の整備に取り組むことを発表しました。
神戸市北区山田町下谷上中一里山
「墓地」を子や孫に残すことに不安を持つ人が増加
画像:神戸市 市長定例会見資料より
神戸市長の定例会見によると、少子高齢化や家族形態の変化などに伴って、子どもや孫への「墓地」の承継や管理に不安を持つ人が増えているんだそう。
神戸市が実施したネットモニター登録者を対象にしたアンケートで「お墓の取得にあたり重視すること」を尋ねたところ、65%が「維持管理にかかる費用」、約52%が「子や孫に負担にならないこと」を挙げたそうです。
神戸市立墓園でも、一般墓地で墓じまいが増加しているそうで、2025年度以降は「許可数」よりも「返還数」が上回っている状況なんだとか。
画像:神戸市 市長定例会見資料より
神戸市では、「子どもや孫への承継を前提としない墓地ニーズ」に対応した取り組みを進めているそうです。
墓じまい・無縁化増加への対応では、「期限付墓地」を整備し2025年度に供用予定。家族などの有無や経済状況にかかわらない、エンディングプランやサポート事業も2024年から始まっています。
画像:神戸市サイトより
ほかの人の遺骨と一緒に納骨する合葬式墓地として、2018年度に「鵯越合葬墓」を整備。いまでも高い需要が続いているそうで、毎年1300~2000体の申し込みがあるそうです。
これらに加えて、「自分で生前に墓を考える時代」がくることへの対応として、自然回帰志向に応える新たな「樹林葬墓地」の整備を決めたそうです。
遺骨をパウダー状にして埋蔵、自然分解を促進
画像:神戸市樹林葬墓地整備基本方針 資料より
墓地を整備する場所は、緑豊かな市有地であることと、公共交通機関や車でのアクセスがある程度確保されていることなどから選定。
園内にアカマツ、コナラ、ヤマモモなどの自然林のほか、シラカシ、ヤマザクラ、ツツジなども植栽されている「ひよどりごえ森林公園」内に整備することになりました。
整備予定地は、駐車場から園路を通じてアクセスでき、住宅地にも近接しない中央部付近に設定されています。
墓域面積約1200㎡に、約1600体を埋蔵する想定。散策路には、墓所を示す案内サインや「東屋」「ベンチ」なども整備するみたいです。
画像:神戸市 市長定例会見資料より
個々の木ではなく、樹林全体を「墓標」とする考え方で、埋蔵時は自然分解を促進させるため、パウダー状にした焼骨(粉骨)を直接、土中に埋める形にするみたい。
管理期間は、埋蔵供用期間を20年、粉骨が分解される期間の30年で、「50年後」には自然山林に還るという仕組みになります。
2025年夏ごろから工事着手、2026年3月から募集へ
今後のスケジュールでは、2025年3月までに「詳細設計」を終えて、2025年夏ごろから整備工事に着手します。ここで使用料を設定するみたい。
そして2026年3月ごろから「樹林葬墓地」の募集が始まり、2026年夏ごろから供用開始となる予定です。
報道によれば、自治体で「樹林葬墓地」を整備するのは、政令指定都市では神戸市が初めてなんだそう。今回の整備により、亡くなった後にどういう埋葬を望むのか、新たな選択肢となりそうです。