1日1分からでひざ痛解消! 「さぼり筋」を鍛える簡単おうちトレーニング
さぼっている筋肉を鍛えて痛みを解消。変形の改善にも
深刻なひざの痛みは、ひざ関節周辺の『さぼり筋』が起こします。
「ひざに関わる重要な筋肉は『内転筋』と『内側ハムストリングス』の2つ。これらがきちんと機能していない、つまりさぼっている状態の『さぼり筋』(上記参照)になると、徐々にひざの関節にねじれが起こり、痛みの他、O脚や腰の曲がりなども引き起こします」と、笹川先生は話します。
「さぼり筋」を鍛えてひざの痛みを解消するには、道具不要で簡単にできるトレーニングが効果的。65歳以上の女性の約半数が罹患するという変形性膝関節症の術後にも行うことができ、「『さぼり筋』を鍛えれば、人工関節でもスムーズに歩けるようになります」ひざが痛いと歩くのがおっくうになり、次第に運動量が減り、全身の老化が進んでしまいます。「そうなる前に何をするかが大切。『さぼり筋』を少しずつ鍛えて、人生100年を元気に歩きましょう」
1日1分から
さぼり筋を鍛えてひざの痛みを解消
【ひざのこんな悩みを解消】
□ 上り坂や階段でぐらつく
□ ひざの周りを押すと痛い
□ ひざがはれている
□ ひざを曲げるのがつらい
□ まっすぐひざが伸びない
など
【さぼり筋とは...?】
私たちの体には500以上の筋肉があり、骨や体を動かしています。ですが、全てがきちんと働いているわけではなく、こっそり〝さぼっている〞筋肉「さぼり筋」があります。その主な原因は、体の動かし方のくせ、加齢、けがなどによる筋力の低下など。ある筋肉がさぼっている分、周囲の筋肉ががんばって働くようになりますが、やがて筋力のバランスが崩れ、関節にねじれが発生。これが炎症や痛みの要因となります。
鍛えるべきさぼり筋はひざの関節を守る2つの筋肉
1)太ももの内側の筋肉 「内転筋」を鍛えるトレーニング
股関節から内ももを支える「内転筋」は、ももを内側に動かす筋肉。衰えると足の外側に負担がかかりやすくなる他、女性は尿漏れの原因になることも。
(1)仰向けに寝て、両足を腰の幅に広げる。左ひじを床について軽く曲げ、手のひらを上に
(2)左足のひざを軽く曲げ、つま先を内側に向ける
(3)ひじとかかとを支点にしながら、左側のお尻を持ち上げる
内ももに力を込めて10秒間
(4)左右逆にして右側のお尻を持ち上げる
同じく10秒間・これで1セット
<こんなポーズはNGです>
ひざが曲がり過ぎている
足全体でお尻を持ち上げてしまい、内ももに力が入らなくなります。
つま先が内側を向いていない
足首が伸びていると、ももの外側に力が入りやすくなってしまいます。
胸が浮いている
背中と床に隙間があると、腰が上がりにくくなってしまいます。
ひじが伸び過ぎ、曲がり過ぎ
伸び過ぎると腰で、曲がり過ぎると上半身の力でお尻が上がることに。
2)太もも後ろの内側の筋肉 「内側ハムストリングス」を鍛えるトレーニング
「内側ハムストリングス」は、歩くときにひざが受ける地面からの衝撃を吸収し、和らげる働きを持ちます。この筋肉群が衰えると、ひざへのダメージが大きくなります。
(1)左のひざを軽く立てて座り、手を後ろについて支える
(2)左のつま先を内側に入れる
(3)曲げた左足のかかとをまっすぐ床に押しつける
内ももに力を込めて10秒間
(4)反対の右足も同様に行う
同じく10秒間 これで1セット
<こんなポーズはNGです>
ひざが左右に倒れ過ぎる
ひざはできるだけまっすぐのままで。内側や外側に向き過ぎると、太もも裏の筋肉にしっかり力が入りません。
ひざを立て過ぎる
ひざが高過ぎると、太ももの裏でなく前面に力が入ってしまいます。
つま先が内側に入っていない
太ももの裏でなく、ふくらはぎなどによけいな力が入ってしまいます。
「さぼり筋」をうまく鍛えるコツ
筋肉は一つずつ鍛える
一つのトレーニングで鍛える筋肉は、それぞれ記載した一つだけ。漫然と行うと、他の筋肉を動かしてしまい、「さぼり筋」は怠けたままに。自分がいま鍛えているのはどの筋肉か、それにきちんと力が入っているか、常に意識しながら行うと効果的です。
最大限の力を込める
トレーニングする「さぼり筋」一つ一つを意識しながら、10秒間最大限の力を込めましょう。筋力は、脳から出る「動け!」という指令によっても高まるためです。ただし、この指令は一時的なもの。筋力を強くするには、やはり継続して行うことが大切です。
起床後、朝食後...朝のうちに行う
筋肉は、鍛えるとその場で筋力が上がり、活動する割合も増えます。このことから朝に「さぼり筋」のトレーニングを行うと、筋力が向上して歩き方や姿勢が改善され、一日をラクに過ごせるように。起床後でも朝食後でも、早い時間に行うのがおすすめです。
正しいポーズで行う
「さぼり筋」をピンポイントで動かすには、正しいポーズで行うことが重要です。このトレーニングは1回でも効果が見られるので、1週間続けても効果がない場合は、ポーズを間違えている可能性も。足の角度や向きなどを再度確認しながら行いましょう。
まずは1週間続けてみる
「さぼり筋」がかなり衰えている人は、トレーニングしても効き目を実感しにくいことも。これは、脳から出る「動け!」という指令が届きにくくなっているためです。正しいポーズで行っていれば筋肉には効いています。体の変化を見ながら続けましょう。
ゆっくり呼吸をしながら行う
最大限の力を込めて10 秒間ポーズを保つとき、ゆっくり息を吐くとよいでしょう。思わず息を止めてしまう人も多いですが、これはNG。血圧が上がり、心臓に負担がかかります。呼吸しながら酸素を取り込むことにより、筋肉もしなやかに収縮します。
※この記事は紙&WEBマガジン『毎日が発見』2025年5月号に掲載の情報です。
構成・取材・文/岡田知子(BLOOM) 撮影/西山輝彦 イラスト/堀江篤史 モデル/氷川よし子(SPLASH)