小さい家づくりで活用したい工夫とは?実例を交えてご紹介!
土地面積や予算など、さまざまな事情から小さい家づくりを計画している方もいるでしょう。小さい家といっても、工夫次第で広く見せることも可能です。また、小さい家での暮らしにもメリットがあり、シンプルかつ快適な生活の実現も目指せるでしょう。
【実例】小さい家づくりで活用したい工夫点
小さな家を建てる場合、工夫次第では理想的な住まいに近づけることもできます。具体的にどういった工夫点があるのでしょうか?ここでは、実際に小さい家を建てる際に活用されている工夫点についてご紹介します。
引き込み戸を活用してスペースをつくる
引き込み戸とは、壁に扉を収納できる戸袋をつくり、その中に扉をしまえるようにしたものです。昔ながらの日本家屋で取り入れられている収納できる雨戸は、引き込み戸の代表例ともいえます。
扉を完全に壁の中へ収納できるため、両側に家具やインテリアなどを置きやすい点がメリットです。特に小さい家では面積が限られているため、少しでも使えるスペースを増やせる引き込み戸を採用するのもよいでしょう。
土間とLDKをつなげて広く見せる
一般的に玄関(土間)とLDKまでの間は廊下などを設けることもありますが、小さい家に廊下を設けてしまうと1部屋あたりのスペースが狭くなってしまいます。生活空間をより広くしたい場合は、廊下を設けずに玄関の土間とLDKをつなげてしまうのがおすすめです。
土間とLDKがつながっていると来客時にリビングまで見られてしまうという心配がありますが、来客数が多くなければそこまで気にする必要はありません。来客よりも自身や家族のライフスタイルを重視しましょう。
リビングからほかの部屋へ移動できる間取りに
上記でもご紹介したように、小さい家に廊下を設けてしまうとその分スペースも限られてしまうものです。画像のお家ではリビングが通路の代わりにもなっており、それぞれの部屋につながるよう設計されています。
廊下をなくすことで部屋と部屋を直接行き来できるようになり、動線が短くなって移動しやすい点もメリットです。また、各部屋へ移動する際には必ずリビングを通ることになるため、家族とコミュニケーションが取りやすい点も廊下のない家のメリットといえます。
家事動線を工夫してコンパクトでも快適に
小さい家であっても家事動線を意識して間取りを設計することは大切です。たとえば画像のお家では主寝室にウォークインクローゼットが設けられており、そこから脱衣室にもつながっています。脱衣室で洗濯と乾燥をして、終わったら直接ウォークインクローゼットに収納できるように設計されているのです。
さらに脱衣室はダイニングキッチンにもつながっており、回遊性の高い間取りとなっています。行き止まりをつくらず、回遊性のある間取りにすることでストレスの少ない家事動線にすることが可能です。
中2階を設置して収納スペースもつくる
画像のお家ではリビングに小上がりのような中2階が設置されています。中2階はロフトほどの高さはなく、子どもがいる家庭でも安心して使えるでしょう。
また、中2階の下側には深めの引き出しを設け、収納スペースとして活用することも可能です。たとえばこたつ布団やクリスマスツリーなど、季節もののグッズを収納しておくのもよいでしょう。
小さい家で暮らすメリット
小さい家であっても、暮らしの中にさまざまなメリットがあります。大きい家と違ってどのようなメリットがあるのかご紹介しましょう。
コストを抑えられる
単純に、大きい家を建築するよりも小さい家にしたほうが価格を抑えられます。特に平屋は2階建てよりも建築コストがかかりやすいですが、小さい家なら平屋でも1000万円以下に抑えることが可能です。
また、家の面積が小さければ、その分メンテナンスの費用も削減できます。固定資産税なども安くなり、ほかの生活費などにお金をかけられるようになるでしょう。
さらに小さい家なら冷暖房効率も高く、照明の数も抑えることが可能です。その結果、光熱費も抑えやすくなります。
土地の選択肢を増やせる
最初から小さい家づくりを計画している場合、土地選びでもメリットがあります。それは土地の選択肢が増やせることです。
大きい家にしたい場合、それなりに広い土地を見つける必要があります。しかし、都心部では広い土地が見つかりにくく、予算的にもオーバーしてしまう可能性が高くなるでしょう。
一方、初めから小さい家づくりを考えている場合、土地面積が狭くても実現できます。たとえば多少狭いものの、交通の利便性が高い土地を選ぶこともできるでしょう。
掃除・メンテナンスがラクになる
大きくて広い家の場合、日々の掃除だけでもすべて完了するまで時間がかかってしまいます。今はまだ動き回れる人であれば、多少掃除が大変でも問題ないかもしれません。
しかし、老後の生活を考えると、掃除の手間が大きな負担になってくる場合もあります。小さい家を建てると床面積が小さくなり、その分掃除の手間もかかりません。特に2LDKのように部屋数を少なくすることで、部屋の行き来も少なくなり掃除がラクになります。
コミュニケーションが取りやすい
小さい家では家族との距離感が近づき、会話をする機会も増えます。たとえばほかの部屋へ行くために必ずリビングを通らなくてはいけない場合や、リビングに階段を設けている場合などは家族でのコミュニケーションも容易です。
いくら家族であってもプライバシーの配慮が必要なときもあります。そのような場合は間仕切り戸を設けておき、必要に応じて仕切れるようにしておくとよいでしょう。
防犯がしやすい
戸建ては空き巣の被害に遭いやすいとされています。そのため、小さい家・大きい家に限らず防犯は必須です。
大きい家の場合、すべての窓に補助錠を設置したり、防犯カメラをつけたりすると、かなりのコストがかかってしまいます。小さい家ならそれぞれのコストを抑えられ、その分で別の防犯を取り入れることも可能です。
小さい家づくりで気をつけたいこと
小さい家を建てる前に、注意すべきポイントも把握しておきましょう。ここでは5つの注意点をピックアップしてご紹介します。
一般的な広さの住宅より設計難易度が高い
小さい家の間取りを考えたとき、住む人のライフスタイルに合わせて削れるところは削り、広げたいスペースを広げるなどの工夫が必要です。そのため、一般的な広さの住宅よりも設計難易度が高くなる傾向にあります。
相談したハウスメーカーや工務店が小さい家づくりの実績・ノウハウを持っていなかった場合、使い勝手の悪い家が完成してしまう可能性もあるでしょう。このような事態を回避するためにも、設計難易度が高い点を理解し、これまで小さい家づくりを手掛けてきた実績のあるハウスメーカーや工務店に相談してみてください。
生活音が伝わりやすい
実例を交えた工夫点の際もご紹介したように、小さい家を建てる場合は部屋同士が直接つながるような設計を考えている人もいるでしょう。しかし、廊下をつくらない間取りで注意したいのが生活音の伝わりやすさです。たとえばリビングのとなりに寝室がある場合、家族の中で生活する時間帯がズレていると眠りを妨害されてしまう可能性があります。
小さい家でもできるだけ生活音が伝わりにくい環境にするには、高気密・高断熱の家にすることや、遮音性の高い壁・床を採用するのがおすすめです。また、間取りを決める時点で家具・家電の配置も考えておき、生活音が気になりにくい寝室環境を検討しておくとよいでしょう。
圧迫感が出やすい
一般的な広さの家と比べて、1つの部屋がコンパクトになるため圧迫感が生まれることもあります。特にリビングは家族が集まる空間でもあり、暮らしている中で狭く感じてしまうこともあるでしょう。
圧迫感を出さずに開放的な空間をつくるためには、大きめの窓を設置して視線抜けをよくする、壁や天井など内装の色を白系に統一する、大きな吹き抜けをつくるなどの工夫を取り入れることも大切です。
収納スペースが確保しにくい
居住空間を広く取り過ぎてしまうと、その分収納スペースが確保しにくくなってしまいます。必要なものを置きたくても置けない状況を生み出してしまう可能性もあるため、間取りを考える際には居住空間とのバランスも考えて収納スペースを確保しておきましょう。
たとえば天井と屋根の間にある空間を活用した小屋裏収納や、水回りなどでよく見られる床下収納は居住空間を減らさずに収納スペースがつくれます。また、階段下の空間や小上がりでできた段差など、デッドスペースを活用した収納をつくるのもおすすめです。
プライベート空間が少ない
部屋が近くなることで、家族のプライベート空間が確保しにくい点にも注意が必要です。小さい家の場合、たとえば夫婦別々に寝室を設けたり、書斎をつくって仕事ができる空間を設けたりするのが難しくなります。
家族一人ひとりのプライベート空間をつくることは難しいかもしれませんが、共有スペースでもそれぞれが好きに過ごせるような空間づくりを意識してみましょう。たとえば収納家具や段差などで空間を分けたり、間仕切り壁をつくってちょっとしたワークスペースを設けたりできます。
まとめ:小さい家でも工夫次第でゆとりある快適空間がつくれる!
今回は小さい家でも快適に過ごせるための工夫点やメリット、家づくりにおける注意点についてご紹介してきました。小さい家を建てることで価格を抑えたり、掃除・メンテナンスがしやすくなったりするなど、さまざまなメリットを得られます。
「小さい家だから恥ずかしい」と考えるよりも、家族にとって暮らしやすい空間をつくるためにどうすればいいか考えてみましょう。その際にはぜひ今回ご紹介した工夫点も取り入れてみてください。
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