【河原町】京都最古の飴屋「今西製菓」の技術と 洋菓子のプロの感性で生まれた「クロッシェ」の京あめ
色に込められた思いや物語を、美しく繊細な京あめで表現する専門店「Crochet(クロッシェ)」。ヨーロッパの感性と日本の伝統と技術を融合させた京あめには、一粒一粒物語があります。
和と洋のプロが生み出した「クロッシェ」
阪急京都線「京都河原町駅」の11番出口より徒歩2分、京都市下京区綾小路富小路に建つスタイリッシュな白い建物が、京あめ「クロッシェ」の本店です。
コンクリートのように見える外壁は、姫路城にも使用されている白漆喰。店内に入って正面の壁は茶室壁、左手の壁は唐紙のように、全て異なる白色が使用されています。
よく見ると唐紙には、茶道で用いられる三千家の替え紋(家紋)「つぼつぼ」が。「クロッシェ」の飴のようで、かわいい!
カウンターは岐阜県の神社のご神木を使用していて、日本の技術が詰まった空間になっています。
2013年2月に誕生した「クロッシェ」は、1876年創業の京都最古の京あめやドロップの製造販売を行う「今西製菓」と、ヨーロッパで洋菓子の商品企画やマーケティングをしていた“洋菓子のプロ”がプロデュースしています。
ヨーロッパの飴の美しさを表現する技術と、日本で培われた味の技術を融合させたいという思いから生まれました。
創業約150年の老舗京あめ・ドロップの製造販売所
飴作りを担う「今西製菓」は、京あめやドロップの製造販売を行い、駄菓子屋の瓶をミニチュアにしたような「まっかどん瓶」に入ったあめや、聖護院大根、九条ねぎ、金時にんじんなど京野菜を使用した「京野菜のどあめ」などを製造しています。
京あめは全て手作りです。厳選した砂糖と水あめを160度の高温で炊き上げ、冷却板の上で冷やし、香料や色、酸味料等を入れて混ぜ、引っ張ります。
引っ張ることで空気が入り、輝きが増すのですが、伸ばしすぎると脆くなることも。
引っ張った飴を挟んで小さな筋を作り、巻き寿司のように巻き、カットしたらできあがりです。
季節や気温、湿度によって飴の固まり具合が異なるため、職人だけがわかる僅かな調整や配合を行い、バランスを整え、口どけよく優しい甘さを生み出しています。
一粒一粒に物語がある「クロッシェ」の京あめ
「クロッシェ」の特徴は、やはり色の美しさです。十二単の襲(かさね)の色目、芸妓の襟元など伝統的な着物の柄や色の配色、源氏物語、屏風の柄、フランス映画、世界最高峰の自転車レース「マイヨ・ジョーヌ」など、それぞれモチーフとなった名前から連想される300種類の色と味で表現しています。
飴の形は「角(かく)」、「小粒」、「手鞠」の3種類あり、「角」は他の2つと比べると大きく、艶やかに映えるため、キラキラした色が似合います。
色の差が大きい組み合わせには「小粒」が。
同系のグラデーションは「手鞠」がよく合います。
着物がデザインされた箱には、着物の襟合わせをモチーフに、さまざまな色の栞が入っています。
栞には色の名前や物語が記してあり、色の物語を想像しながら食べると、物語の世界に入ったかのように、情景が浮かび上がりました。
季節限定や京都本店限定の京あめも合わせると、その数なんと100種類!日本は色の種類が多いと言いますが、美しい京あめの中から自分や大切な方へ選ぶ時間は、日本の伝統文化に触れる時間でもあると思います。
※全て税込み価格
今回をもって、「伝統が息づく京都で出会った夢のような一箱」の連載が終了します。毎月、息を呑むような“夢のような一箱”に出会えたことは幸せでした。来月からは新しい企画が始まりますので、ぜひ楽しみにしていてください。
■スポット情報
店舗名:Crochet(クロッシェ)
住所:京都市下京区綾小路富小路東入塩屋町69
電話番号:075-744-0840
営業時間:10:30~18:00
定休日:不定休
交通:阪急「京都河原町駅」より徒歩2分