「ありがとう」と笑顔で100歳 盛トセさん 長寿を囲み 釜石の特養ホームで祝う会
釜石市甲子町の特別養護老人ホーム仙人の里(千葉敬施設長、長期利用66人、短期利用14人)で暮らす盛トセさんが15日、満100歳を迎えた。誕生日に合わせ、同施設では「百歳を祝う会」を開催。施設に入居する仲間や職員らから「すごいね」との感嘆の声と拍手を受けた盛さんは手を合わせて「ありがとう」と思いを返した。
祝う会には、盛さんの長男久男さん(75)が滝沢市から駆け付けた。市保健福祉部の鈴木伸二部長も出席し、盛さんに特別敬老祝い金や羽毛肌掛け布団などを贈った。同施設を運営する社会福祉法人陽風会の清野信雄理事長は「これからも健康で楽しく毎日を過ごして」と花を手渡した。
盛さんの生い立ちや生き方について、清野理事長が紹介した。1925(大正14)年4月15日、遠野市上郷町生まれ。子どもの頃は、子守奉公に出て働き手となったため、小学校にはほとんど通えなかったという。時を経て、20代前半に釜石鉱山で働いていた才太郎さん(故人)と結婚。ヤクルトの販売や学研の教材の配達などをしながら、2男を育てた。
甲子町内の自宅前の畑で野菜を育て近所の人に配ったり、漬物にしてお茶飲みに誘ったりもしたそう。性格は穏やかで、人の悪口は言わない。思いやりがあり、近所づきあいを大切に生活。認知症になった知り合いの様子を毎日のように見にいっていたことなど、人柄が分かるエピソードを披露した。
同施設の利用は2002年から。始まりはデイサービス、21年から短期滞在も利用し、25年2月から長期入居となった。最近は車いすでの移動がほとんど。耳も遠くなったが、近くで大きめの声でゆっくり話せば、笑顔を返す。施設職員や入居する仲間とお茶飲みしながら雑談するのが日課だという。
長い付き合いとなったデイサービスの担当職員らもプレゼントを用意。思い出を切り取った数枚の写真が貼り付けられたメッセージカードには「明るい笑顔のかわいらしい盛さんにたくさんの幸せが訪れますように」と願いがつづられた。
祝福されるたびに手を合わせて、頭を下げる盛さん。そばに寄り添った久男さんは「こんな素晴らしいお祝いをしてもらい、ありがたい」と感謝する。「働き者」の母に、子どもの頃はよく怒られていたというが、施設では心穏やかに過ごしていると実感。「何十年もお世話になり、かわいがってもらっている。元気になって、(母も)満足しているだろう」と肩の力を抜いた。
同施設には100歳以上が3人おり、盛さんは4人目。「長寿の先輩にあやかって、みんなで長生きしましょう」。昼食には赤飯が用意され、入居者で味わった。
釜石市の高齢化率(65歳以上)は3月末現在で40.9%。100歳以上は盛さんを含め32人(男性2人、女性30人)いる。最高齢は105歳の女性(市外施設に入所中)。