「難病と向き合う」リハビリ兼ね患者ら交流、遺伝子治療など研究も続く、パーキンソンみえ
パーキンソン病は、三重県では難病医療費の受給者数が約2000人と、患者数が最も多い指定難病のひとつだ。動作が遅くなったり、手足が震えたりするほか、病気が進むと、転倒しやすくなったり、自律神経の障害による症状が現れる。
患者や家族が集う「パーキンソンみえ」の活動は多彩だ。カラオケ、卓球、ソフトエアロビクスを対面で、おしゃべりカフェ、音楽療法を津市の県難病相談支援センターでの対面と、zoomを使うオンラインの両方で行っている。治療に関する医療講演会を年2回開き、年数回のリハビリ講習は、会員同士の交流を兼ね、心と体の負担を和らげている。
会の正式名は一般社団法人全国パーキンソン病友の会三重県支部。現在、約110人の会員がいる。三重大学大学院特定教授・済生会明和病院の冨本秀和院長、同大学院医学系研究科神経病態内科学の新堂晃大教授、ますずがわ神経内科クリニック(鈴鹿市)の真鈴川聡院長の顧問3人から指導を受けている。
〇ホットラインで不安や悩みに対応
会員の不安や悩みに対応するホットラインを開設し、役員が電話相談に応じている。県内は桑員、四日市、鈴鹿、津、松阪南紀、伊勢志摩、伊賀名張の7ブロック。コロナ禍が落ち着いてきたため、対面での交流会などが戻りつつある。県難病相談支援センターで7月にあったおしゃべりカフェには12人ほどが参加し、手指のリハビリになる折り紙細工などで交流した。のど周辺の筋肉の機能を高めるため、おしゃべりはリハビリとしても大切だ。
〇ゆっくりだが症状が進む闘病の難しさ
支部長の前川昭さん(81)は、妻が今年1月に亡くなった。発病から約25年、パーキンソン病と闘った。54歳の時、手のふるえと指に力が入らないことに気づいた。やがて、脳神経内科医からパーキンソン病と診断された。症状が進んでくると、体のバランスをとるなどの姿勢反射障害による転倒や、自律神経の障害による嚥下障害にも苦労した。「ゆっくりだが症状が進む。この病気の酷なところです」と前川さんは話す。
闘病の大変さや会の活動などを語る支部長の前川昭さん
パーキンソン病は診断が難しく、特定までに数年かかることもあるという。神経内のタンパク質の変性が原因ではないかとされているが、現時点では特効薬はないという。神経伝達物質のドーパミンをつくる薬は開発されているが、効果が長く続かず、動ける時間を長くするために薬を1日に数回飲み続ける必要があるという。
〇遺伝子治験研究所の研究が再び動き出す
病気の原因物質を取り除くためのタンパク質の研究、ips細胞を治療に利用する治験や研究も進められている。特に、国も注目している遺伝子治験研究所での研究が、心配された研究資金不足の解消で再び動き出すことが決まったのは明るいニュースになっている。
来年は2005年8月の三重県支部設立から20周年の記念の年。2025年3月には、全国的に活躍しているパーキンソン病の夫と、その妻の二人の音楽ユニット「げんきなこ」を広島県から招いてトーク&ライブコンサートを開く計画だ。
(三重県難病相談支援センターの疾患別相談予定)
10日 心臓病▽12日 多発性硬化症▽17日 乾癬▽19日 マルファン症候群▽24日 脊髄小脳変性症・多系統萎縮症▽26日 間脳下垂体疾患(10時~16時、電話059・223・5063、相談無料、面接相談は予約制)