国宝「山鳥毛」鑑賞のコツなど紹介 8月の里帰り前に上越市の市民団体がフォーラム
新潟県上越市の市立歴史博物館(本城町)で2025年8月13〜24日に上杉謙信の愛刀、国宝「太刀無銘一文字(号 山鳥毛)」が展示されることを記念した市民団体主催のフォーラムが6月21日、同市下門前のリージョンプラザ上越で開かれた。約150人が参加し、上杉家が会津に移封された1598年以来、約430年ぶりの里帰りとされる展示に向けて気運を高めた。
《画像:市民団体「謙信公義の心の会」が主催した山鳥毛フォーラム》
「山鳥毛を10倍楽しむフォーラム」と銘打ち、市民団体「謙信公義の心の会」(石田明義会長)が開催した。開会のあいさつで石田会長は、山鳥毛を所有する岡山県瀬戸内市の市民団体が展示に合わせて上越を訪れることに触れ、「山鳥毛を機に上越市と瀬戸内市が交流していければ素晴らしい。今回の一時帰還を盛り上げ、上越市の観光活性化にも心を配ってほしい」と参加者に呼び掛けた。
《画像:山鳥毛や上越市での展示の経緯などを紹介する石田会長》
フォーラムでは日本刀刀剣講師の渡辺奈央子さん、前市立歴史博物館館長の宮崎俊英さん、オンラインゲーム「刀剣乱舞」ファンの水野貴子さんが登壇し、山鳥毛の魅力や刀剣ブームを生かした地域活性化の事例などを紹介した。
かつて上越市が山鳥毛購入を目指した際に携わった宮崎さんは「実際に山鳥毛を手に持った時は、本当に謙信公もこの刀を持たれたんだなという感動があった」と振り返り、鑑賞のコツについて「目の高さを変えながら刀紋が一番よく見える位置を探してほしい」とアドバイスした。渡辺さんは「刀は難しい用語もあるが、刀を持っていた名将の人生を思い浮かべてほしい。どういう人が持って生涯を終え、次の人に渡ったかを考えながら見ると楽しくなる」と話した。
《画像:山鳥毛の鑑賞のコツを解説する宮崎さん(右)》
水野さんはオンラインゲームから派生した女性を中心とした刀剣ブームについて語り、クラウドファンディングで重要文化財の刀を購入した栃木県足利市では、展示会と関連事業を含めた経済波及効果は8億6000万円と試算されたことなどを紹介。「山鳥毛の展示には“推し活”を楽しむ人がたくさん上越市を訪れる。経済効果の恩恵を受けるチャンスで、認知度も上げる機会になる」と期待を込めた。
石田会長は「皆さんの目で山鳥毛を見ていただき、苛烈(かれつ)な戦国時代に山鳥毛の波紋を見て義の心を強くした謙信公に思いをはせてほしい」と話していた。
山鳥毛の鑑賞券は上越市民枠7200人の申し込みはすでに締め切られ、7月6日から一般向けの先着販売が行われる。詳細はこちら( https://joetsukankonavi.jp/news/detail.php?id=1196 )。