魚の名前の由来はどこから? <見た目・柄>が理由と言われている魚3選
水族館で魚を眺めたり、市場でどの魚を買おうかなと悩んでいたりするとき、ふと魚の名前が気になることはありませんか?
見た目や仕草の特徴から名づけられるものも多く、納得できる名前も多いでしょう。しかし、時には「なぜこんな名前?」と疑問を抱くような名前をしている魚もいます。
この記事では、トラウツボ、ブダイ、スズキを例にあげて、魚の名前の由来を紹介します。
トラウツボはなぜ虎?
「トラウツボ」という名前は、陸上では猛獣と知られているトラ、海のギャングとも言われることの多いウツボが組み合わさり、強そうな印象があります。
しかし、実際はどう猛な魚だから……というわけではなく、色合いにちなんだネーミングという説があります。
体には黒地に黄色っぽい斑点が広がっていて、それが“虎柄”のように見えるんです。見た目だけでなく、ウツボらしい鋭い歯と、洞穴からぬっと顔を出すスタイルも、どこか猛獣のよう。
ただし性格はそこまで荒っぽくなく、人間を積極的に襲うことはまずありません。釣りやダイビングで見かけても、そっとしておくのが吉です。
ブダイは少し可哀想な由来?
日本の南部海域、熱帯魚として生息している「ブダイ」。横顔が丸くてちょっとお間抜けな顔をしており、黒と赤っぽい色合いが特徴です。性転換をする魚という特徴を持ち、食用として流通している魚でもあります。
食べてもおいしいブダイの名前の由来について、いくつか説があります。そのうちのひとつがなんと「ブサイクな鯛」であることからブダイと呼ばれるようになった、というものです。これは少し可哀想な由来ですね。
ほかにも、ウロコが鎧のように見えることから「武鯛」、泳ぐ姿が舞うように見えることから「舞鯛」と呼ばれていたという説もあります。
スズキは鈴木さんから?
大型で食用として市場などでも流通している、馴染みのある魚「スズキ」。某ゲーム内でもよく見かける魚の一つです。
ブリと同じように出世魚で生育過程での呼び方が異なり、1歳魚で「セイゴ」、2~3歳魚「フッコ」または「ハネ」と呼ばれ、成魚で「スズキ」と呼ばれます。
そんなスズキですが、日本人の苗字に多い「鈴木さん」とは関係がありません。
その由来は、スズキの身がすすぎ洗いしたようにきれいなことから、「すすぎ」→「すずき」になったといわれています。
ちなみに幼魚の「ハネ」はよく跳ねることから、「セイゴ」は中国の名産品である「松江之鱸」(ヤマノカミというカジカ科の魚)と勘違いして「松江」を「セイコウ」と読んだことが音韻変化したもの──という説があるようです。
魚の由来を調べてみよう!
魚には、論文などで正式に扱われる標準和名のほかに、特定の地域内で使われる地方名というのもあります。旅行にいくと、普段食べている魚が聞き慣れない地方名で呼ばれていることもありますよね。
特に地方名ついては、市場や漁業関係者の間で呼ばれていた名称が多く、由来も諸説あることが多いです。
魚の名前の由来を調べると、新たな一面に気付けることもあります。皆さんもぜひ、好きな魚や出会った魚の由来を調べてみてください。
(サカナトライター:せんば千波)
参考文献
Kobe University Repository-近世本草書類における鱸魚について