ドイツの大手スーパー「REWE」が100%ヴィーガン専門店をオープン
商品数は2700点以上 食料品から日用品・雑貨まで
2024年4月、ドイツの大手スーパーマーケットチェーン「REWE(レーヴェ)」がベルリンのフリードリヒスハイン区に、初となるヴィーガン専門店「REWE voll pflanzlich」をオープンさせた。“voll pflanzlich(フォル・プランツリッヒ)”とは、ドイツ語で“完全植物性”の意味を持ち、動物性の食材や原料を一切使用していない100%ヴィーガンの食品や製品のみを取り扱うことを表している。
同店が位置する場所は、もともとヴィーガン専門店の先駆け的存在だった「Veganz(ヴェガンツ)」があったが、2023年12月に閉店し、現在は製造のみを行っているという。「Veganz」の跡地を「REWE」が買いとる形となり、それまでの赤いロゴも店内も、植物をイメージしたグリーンを基調としたデザインに変わり、全く新しい店舗が誕生した。
「REWE」はドイツ国内で3700店舗を展開する大手スーパーマーケットチェーンであり、通常の店舗においても最大1400品目のヴィーガン商品を取り揃えている。「REWE Bio + vegan」「REWE Bio」をはじめ、自社ブランドにも力を入れており、オートミールドリンク、燻製豆腐、ファラフェルなどが人気の定番商品だ。
一方、「REWE voll pflanzlich」には、212平方メートルの売り場面積に2700点以上のヴィーガン商品が並び、食品以外にも日用品や雑貨など生活に必要なものが取り揃えられている。
注目すべきは、他のスーパーマーケットチェーンにはない「REWE」だけのサービスで人気も高いサラダバーが設置されていることだ。野菜はすべてオーガニックで、当然ながら肉やチーズは代替え品、ドレッシングに至るまで動物性の原料は一才使用されていない。
他にも、ソフトクリームマシーンを設置し、セルフサービスでつくれる体験型サービスも導入している。通常のアイスクリームショップでもヴィーガンアイスクリームは定番のメニューであり、筆者も何度も食べているが、ここのソフトクリームは動物性の乳製品を使用していないとは思えないほど十分においしく、非常にレベルが高いため、人気商品になり得るだろう。
ヴィーガンやベジタリアン人口がますます増加
ドイツの世論調査研究所「IfD (Institut für Demoskopie Allensbach)」の2022年の発表によると、ドイツで「肉を食べない人」は790万人、その中でヴィーガンは約160万人とのこと。
菜食主義者が増加傾向にある理由としては、インターネットの普及により、劣悪な環境で飼育されている畜産動物のことが広く知られるようになったことが挙げられている。また、「REWE」独自の調査では、菜食主義者以外の人がヴィーガン商品を買う理由として「試してみたかった」という好奇心がもっとも多かったという。
同店では、ヴィーガン食品について特別に訓練を受けた12人の従業員が在籍しており、顧客に最適なアドバイスを提供できるという。店頭で正しい知識を得れることにより、ヴィーガンへの関心が深まる可能性もあるのではないだろうか。
1号店となったベルリンの店舗のオープンは、ヴィーガン専門店が価値あるものかどうかテストするためだという。パイロットプロジェクトとして、1年後、もしくはそれ以降に評価を行う。
「REWE」はオーストリアのスーパーマーケットチェーン「Billa(ビラ)」を傘下に持っているが、系列店にはヴィーガン専門の「Billa Pflanzilla」がある。ドイツ国内においては初出店となったが、オーストリアではすでに実績があり、「Billa Pflanzilla」からインスピレーションを得ていることも強みのひとつになり得るだろう。
すでにミュンヘンからは関心が寄せられており、近い将来、ドイツ国内のさまざまな都市で「REWE voll pflanzlich」を見かける日がやってくるかもしれない。また、すでに認知度も人気度も高いオーガニック専門店の競合となり得るのか、今後の動向に注目したい。
※参考
REWE
Industry Snapshot: FoodTech