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【不登校・自殺】子どものS0S「4つの対応」新学期・夏休み明けに親がやるべきこと〔子どものストレスの専門家〕が解説

コクリコ

9月1日は子どもの自殺が最も多い日。「夏休み明け・新学期」に知っておきたい親の対応と、家庭でできる「ストレス対処法」について、子どものストレスマネジメントの専門家が解説

【画像】不登校・心の悩み「相談先」リスト いざという時に知っておきたい相談窓口

夏休み明けにあたることが多い9月1日は、子どもの自殺が最も多い日(※)とされています。(※文部科学省「18歳以下の日別自殺者数」より)

子どもは、「助けて」とは言えず、「登校を渋る」「暴言を吐く」などの行動で苦しさを表すケースも少なくありません。

しかしその背後には、子どもの深い孤独や絶望が隠れているかもしれないのです。

だからこそ、親である私たちは不安なのではないでしょうか。

子どものストレスマネジメントの専門家である小関俊祐先生に、「不登校を防ぐ親の対応」を解説していただいた前編に続き、この後編では「夏休み明け・新学期」の前に知っておきたい親の対応と、家庭で取り組めるストレス対処法についてお聞きします。

4つの状況別 親の対応

小関先生は、「子どもへの声かけに、初めから正解・不正解が決まっているわけではありません。家庭の雰囲気や子どもの状況によっても違ってきます」と言います。

ケースバイケースであることを踏まえた上で、起こりがちな状況と対応の例を見ていきましょう。

状況1 「学校に行きたくない」と言い出した

子どもが登校を嫌がったときには、まず受け止めることが大切。

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【NG対応】・𠮟ったり、突き放したりする

・「学校に行かないなら、○○は禁止」と楽しみを奪う

・「休んで好きに過ごせば?」と放任し、問題から目をそらす

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𠮟ったり、子どもの要求をすべて受け入れたりしても、問題解決にはつながりません。それよりも、一緒に考える姿勢を大切にしましょう。

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【OK対応】・子どもと一緒に、学校生活を振り返り、「絶対イヤなこと」「ちょっとイヤだけど我慢できること」「まだマシなこと」に整理する

・話し合って解決策を出し、選択させる
(例:「1時間目だけ行ってみて、そのあとどうするかまた考えるのはどう?」など)

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小関先生は他に、「ちょいウキ」(自分にとってポジティブな気持ちをもたらす活動)を見つける習慣も勧めています。

たとえば学校の好きな授業や給食、友達との時間。家で楽しむゲームも「ちょいウキ」に含まれます。家族でお互いのちょいウキを話題にできるといいですね。

小関先生……「今日だけ学校に行かせることよりも、長い目で将来自立できる力を養うほうが大事ではないでしょうか。親の理想と子どものペースには違いがあります。焦らず小さなステップを重ねていけると良いですね」

状況2 イライラして暴言を吐き暴力をふるう

子どもが「うるせえ!」と怒鳴る、壁を殴るなど、暴言や暴力に訴えるケースもあるでしょう。

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【NG対応】・子どもの感情を受け止めず、「ほらまたイライラして!」と頭ごなしに否定する

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小関先生……「イライラしない人はいません。イヤなことがあったときに怒りを感じるのは、誰にとっても普通の反応であり、その後の行動が大切なのです」

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【OK対応】・イライラをより適切に発散できるような行動の選択肢を持てるよう、サポートする

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家族でストレス発散方法を話し合ったり、親自身のストレス対処法を伝えたりしてみましょう。

実際に物を壊してしまったり、家族の気持ちを傷つけたりしてしまった子どもには、どう対応すればよいのでしょうか。

小関先生は「やってしまったことは戻らない。今後、繰り返さないことが大切。子どもが落ち着いているときにこそ話し合い、『まだマシな他のやり方』を一緒に探してみて」とアドバイス。

例えば、壁などの代わりにぬいぐるみを殴る、一人になって漫画を読む、音楽を聴く、甘いものを食べる、ゲームをするなどが考えられます。

小関先生……「友達との喧嘩や宿題でイライラする場合も同じ。具体的な対処法を考え、試してみて、うまくいかなければ別の方法を試すというプロセスが大切です」

状況3 スマホ・ゲーム・推し活に依存し生活リズムが乱れる

夜遅くまでスマホを握りしめる我が子の姿に、「このままでは昼夜逆転になってしまうのでは」と心配になることもあるでしょう。

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【NG対応】・スマホやゲームなど、子どもの楽しみを完全に禁止する

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禁じれば、子どもは隠れて使うようになるだけ。

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【OK対応】・ルールや条件を子どもと話し合って決める

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「宿題が終わったらOK」といった条件や、「何時から何時まで」という時間制限を設けるなど、条件を家族で決め、共有しましょう。

小関先生……「『リビングはOKだけれど、自室には持っていかない』など、使っても良い場所を明確にすることも有効です。子どもと相談しながら、『週末はいつもより1時間遅くてもOK』といった柔軟なルール設定も考えられます」

思春期の子どもでも、親から認められるのは嬉しいもの。設定した条件やルールを守れたときには、「できたね」とポジティブなメッセージを伝えましょう。

また、ハマりがちな推し活も、学校生活にストレスを感じている子どもにとっては大きなチャンスです。

不登校の場合「学校を休んでいるのに、遊びになんて連れていけない」と考える親もいますが、家の外に出るきっかけとしては有効。

動画を見るなど部屋の中だけで完結する活動より、ライブに行く、グッズを買いに行くなど、「外に出る活動」を取り入れてみてはどうでしょうか。

小関先生……「例えば、『好きなイベントのために7時に起きる』といった目標を設定してみましょう。達成後に『疲れたから今日は早く寝て、明日からもこのリズムをキープしよう』と、生活リズムを整えるきっかけとして活用できます」

状況4 布団や部屋から出てこず、何も話してくれない

この状況は、子どもが抱えているストレスがかなり重いと考えられます。

とくに、表情や言動に活力がなく、興味を示していたことにも無関心な状態は危険サインです。

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【NG対応】・親が責任を感じ、家庭だけで何とか対処しようとする

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小関先生……「親がすべてを受け止める必要はありません。ヘルプを出しやすいところはどこか、考えてみましょう」

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【OK対応】・まず、どれくらいその状態が続いているか観察する

・「宿題が原因?」「勉強についていけない?」「友達関係の悩み?」など、子どもが何を避けているのか、を探る

・学校(担任、スクールカウンセラー、養護教諭など)に相談し、休み前の様子を聞く

・家族や親族、友人など周りの人やかかりつけの病院などに相談する。内科や小児科でもOK

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ストレスとの付き合い方を親子で考えよう

思春期の子どもは、辛いことがあっても親に隠そうとする場合があります。

だからこそ、気になることはためらわず言葉にして確認しましょう。

小関先生……「明かりのついたお化け屋敷は怖くないですよね。子どもの悩みも同じ。見えないから、親として不安になるのです。でも、問題は放っておいてもいずれ表面化するもの。率直に聞いてみるのもアプローチのひとつです」

暑さや寒さ、空腹なども含め、私たちは生きている限りストレスから逃れられません。

小関先生は、ストレスをゼロにするのではなく、上手く付き合いながら、自分で自分の気持ちや行動をコントロールすることを目指そう、と提案します。

小関先生……「そのためには、早い段階から、自分に合ったストレス対処法の選択肢をたくさん持つことが重要。大人になってからも役立ちます」

深刻な悩み 相談先の例

小関先生が作成に携わった「子どもとのかかわりを通して育む 保護者と子どものこころの健康」に掲載されている、困ったときの相談先を紹介します。

◎市町村の児童家庭相談窓口
子どもや子育ての心配や悩みの相談、アドバイスの提供などが得られる。「自治体名+子育て相談」などで検索。

◎児童相談所虐待対応ダイヤル
子育てが辛いと感じるときなどに相談できる全国共通ダイヤル。TEL:189(いちはやく)。

◎こどもの心の診療機関マップ(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター)
子どもの心の診療ネットワーク事業による、子どもの心のケアを行っている病院やクリニック等の検索マップ。「こどもの心の診療機関マップ」で検索。

◎こころの健康相談統一ダイヤル
電話をかけた所在地の都道府県や政令指定都市が実施している「こころの健康電話相談」等の公的な相談機関に接続。TEL:0570-064-556(ナビダイヤル)

引用:特定非営利活動法人 日本医療政策機構(Health and Global Policy Institute; HGPI)
「子どもとのかかわりを通して育む 保護者と子どものこころの健康」

────◆────◆────

子どものストレスマネジメントをテーマに、小関俊祐先生にお話を伺う連載は前後編。

思春期特有のSOSに気づくヒントや言葉かけについてお聞きした前編に続き、今回の後編では「夏休み明け・新学期」の前に知っておきたい親の対応と、家庭で取り組めるストレス対処のコツについて伺いました。

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