「40前だけどイケると思う」自称・若見えする39歳妻の“夜職”復帰計画。浮気じゃなければいいでしょ?
男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人差があります。ひとつの出来事への解釈や目的が、男性と女性では異なる場合もしばしば。男性と女性では、夫婦のあり方への認識が大きく異なる場合も少なくありません。
魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様分析を得意とする並木まきが、そんな男女の“冷酷” と“激情”のあいだを垣間見るエピソードをお届けします。
39歳、夜職に戻りたい
【冷酷と激情のあいだ〜女性編~】
優香さん(仮名)は、結婚7年目の39歳。10歳年上である夫のユウジロウさん(仮名)との出会いは、優香さんがアルバイトをしていた夜のお店です。
ユウジロウさんと交際スタートをきっかけに夜のアルバイトは辞めて、それ以来ずっと昼間の仕事をしてきた、優香さん。ところが今になって夜の仕事に復帰したいと考えています。
「その理由は、ズバリお金です。ユウジロウは地元密着型の中小企業で役員をしていて、まあまあのお給料をもらっています。それでも最近の物価高でずっと節約生活をしてきて、もうぶっちゃけ節約には飽きました。
しかもウチには子どももいるから、これからまだ教育費がかかると考えると、気分は暗くなる一方です。それなら私が時給のいい仕事に就いて、世帯収入を上げるしかないんですよ」
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夫は一瞬で却下
優香さんは、実年齢よりも5歳ほど若く見られることが多く、「40歳手前だけど着飾れば、そこそこイケると思います!」と胸を張ります。
しかし、その計画を夫は「夜の仕事だけは、絶対にダメ」と一瞬で却下。
「でもね、今の私の仕事じゃあ稼げる額なんて、タカが知れています。だから暮らしを楽にするためには、高時給の仕事をするしかないんですよ。
夫は夫で頑張っているのはわかっています。だから、夫に休みの日を潰してまで、バイトしてなんて言いたくない。だけど今の収入じゃ、やっぱり限界なんですよ。それなのに、夫は絶対にダメ! の一点張りで…」
困惑している優香さんに対し、夫は子どもへの影響や近所の目、さらにはせっかく良好な両実家との関係が崩れるリスクなどを理由に、首を縦に振りません。
贅沢したいわけじゃないのに
「でももう、節約ばかりの生活は嫌なんです! 別にね、贅沢したいとか、ハイブランド品が欲しいとか。そういうことじゃないんです。
今よりも数万円でも収入が上がれば、子どもと外食するとき、値段を気にせずに好きなものを注文してあげられる。その数万円を、夫は『夜の仕事じゃなくても生み出す方法はいくらでもあるんだから、別の仕事を考えなよ』って…。
結婚してからパートしかしたことのない私に、そんなアイデアが浮かぶわけないですよ。もちろん妻が夜の仕事をするのは、確かに面白くないだろうけれど…、浮気をするワケじゃないし、お酒を飲むだけでしょ?
私は、家計のために働きたいだけなのに。夫はまったく理解してくれないから、本当にストレスです」
今は夫婦でお金の話が出ると必ずそのまま口論へと発展するため、それも優香さんにとっては大きな負担になっています。
どんどん夫婦仲が悪くなるだけなのに
しかし夫は妻の夜の仕事を断固として認めないので、問題は解決しないまま時間ばかり経過しています。
「このまま夫が私の希望を無視するんだったら、夫婦仲はどんどん悪くなるだけ。それに…、夫はそもそも子どもへの影響を気にしているけど、母親が節約生活に我慢している顔を見せるほうが教育上、良くないでしょ。
両方の実家との関係の悪化も理由にしていますが、ウチの実家は多分理解してくれるし、夫の実家だって事情を話せば仕方ないねってなるはずです。
子どもは夜になれば寝るだけだし、私が数時間留守にしたってなんてことないはずなのに、なんで夫が頑なに『夜の仕事はダメ』って言い続けるのか…。本当に謎ですし不愉快です!」
昼間の仕事で収入を増やせれば、理想的だとも話す優香さん。しかし考えうる選択肢を考慮した結果として、今の自分には夜のアルバイトが一番効率的だという結論に達したそうです。
理解を示してくれない夫に対して不満を募らせる優香さん。その一方で、夫は夫で夜の仕事をしたがる妻に対して、複雑な思いを抱えています。
夫婦間の溝が深まる前に、なんとか改善策を見出せれば良いのですが…。
(並木まき/ライター・エディター)