介護職の職務経歴書|例文・見本つきで書き方のポイントを解説!
執筆者
ささえるラボ編集部
https://mynavi-kaigo.jp/media/users/3
職務経歴書ってなに?履歴書との違いは?
介護業界の転職活動では、必ず職務経歴書の提出が必要になるわけではありませんが、提出を求められた際には自分の職歴や業務内容を分かりやすく簡潔にまとめる必要があります。
また提出が特別求められない場合でも、職務経歴書を用意しておくと、採用担当者とのコミュニケーションが円滑に進み、相互理解がしやすくなり、転職活動のしやすさに繋がるでしょう。
初めて職務経歴書を作成する人は不安に思うかもしれませんが、書くべきことはある程度決まっているので、コツさえ押さえれば比較的簡単に書くことができます。経歴を振り返ることは、自己分析にも繋がり将来の働き方を考えるきっかけや転職活動の面接対策にもなります。
今回は、職務経歴書のポイントや書き方、困ったときの対処法を見本や例文とともに紹介します。これを機に、これまでの職務をしっかりまとめご自身のキャリアと向き合ってみてはいかがでしょうか。
職務経歴書は「今までの経歴や職歴を一覧にまとめたもの」
■職務経歴書イメージ図
※イメージ図のため職務経歴2・3は省略
職務経歴書とは、上のサンプルのように、求職者のこれまでの経歴や職務を一覧できるように記載した書類のことです。採用担当者は職務経歴書を、求職者の経験レベルや能力の判断材料の1つとするのです。
職務経歴書にはこの形式でなくてはならない、という決まりはありません。しかし、だからといって、伝えたい内容を思いつくままに並べればよいというものでもありません。多くの応募書類を見る採用担当者にとっては、論理的な構成で簡潔に書かれた職務経歴書が好印象です。
また、採用試験を受けている業種や職種や業務内容に活かせる経験やスキルを優先的に記載すると、面接で有利になる場合があります。
履歴書との違いは?
履歴書では、職歴としてどこで何年間働いたということや保有資格はわかりますが、具体的にどのような職場で、どのような業務内容をしていたのかまではわかりません。
またその業務がどの程度のレベルなのかやその成果なども履歴書からは読み取れないでしょう。
いわば、履歴書は求職者のプロフィール・自己紹介で、職務経歴書はいままでの業務経験やスキルを確認するための書類と捉えるといいでしょう。
職務経歴書の主な2つの書式
職務経歴書には主に以下2つの書式があります。
【1.編年体式】
職務経歴を時系列に記入します。直近の経歴を強調したいときは、時系列を逆に記入する方法もあります。これを逆編年体式といいます。
【2.キャリア式】
業務や職種ごとにまとめるのがキャリア式です。
勤務先の名称や規模、職員数、勤務期間などを正確に記入します。業務内容はわかりやすく箇条書きで書くのがポイントです。配属先、配属期間、実際の業務内容をまとめ、自分は何ができるのかをアピールします。複数の業種で職務経験を積んだ人にはアピールしやすい書式です。
それぞれの特徴を理解して、自分に合った書式で作成しましょう。より一般的なのは、サンプルのような編年体式(時系列)の職務経歴書です。
職務経歴書作成時のポイント
では、採用担当者から見てわかりやすく好印象な職務経歴書を作成するためには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。介護職に転職する場合の職務経歴書作成のポイントを紹介します。
主なポイントは以下の通りです。
*職務経歴書作成時のポイント*
1.A4判の用紙2枚以内におさめるのが基本
2.PCで作成したほうが修正等が行いやすい
3.応募先に合わせて内容を工夫する
4.資格や免許の情報は正確に書く
5.業務内容は具体的に記述する
6.人柄・コミュニケーション能力をアピールする
7.苦労したことなどは前向きな表現で記す
1.A4判の用紙2枚以内におさめるのが基本
職務経歴書は、A4の用紙1枚か、職歴が長くても2枚におさまるようにまとめましょう。
3枚以上になると余計な情報が増えて読みづらくなり、採用担当者に負担がかかります。
また、要点をまとめる能力が欠けていると見られ、マイナスな印象を与える可能性があるでしょう。必要な情報を吟味して作成することが大切です。
2.PCで作成したほうが修正等が行いやすい
応募先の事業所から特に指定がなければ、職務経歴書は手書きでもパソコン入力でも、どちらでもかまいません。
ただし、パソコンで作成しておくと加筆や修正がしやすく、後から何度でもプリントできて便利です。近年は、介護職でも介護記録や報告書の作成にパソコンを使うことがあるため、パソコンの操作スキルのアピールにもなります。
3.応募先に合わせて内容を工夫する
職務経歴書は、ただ職務を事実通りに並べる書類ではなく、自分のスキルをアピールして採用につなげるための書類です。一度パソコンで作っておけば使い回しできますが、その場合は応募する事業所に合わせて内容をアレンジすることが大切です。
たとえば同じサービス形態の介護事業所でも、チームの一員としての介護職を求めているのか、チームリーダーを求めているのかでは、アピールすべき内容が変わってきます。事業所案内や募集要項をしっかり読み込み、応募先の事業所がどのような状況でどのような人材を求めているかを想像して、よりマッチする内容にしましょう。
4.資格や免許の情報は正確に書く
資格の名称は省略せず、正式名称で書きましょう。法律の改正で名称が変わっているものは、取得時の名称を書くようにします。取得見込みや勉強中のものがあれば、それらも記入します。資格があることで採用時に有利になるうえ、事業所によっては、入職後に資格手当が支払われる場合もあります。
5.業務内容は具体的に記述する
採用担当者は、応募者がこれまでどのような環境でどのような仕事に従事し、どのような成果をあげたのかを詳細に知るために職務経歴書を見ます。担当者の頭のなかにイメージが浮かぶように、できる限り具体的な情報を書くことが大切です。
以前も介護事業所に勤務していた場合は、その事業所の利用者数や従業員数、利用者の要介護度、イベントの企画を担当した回数などの数字を盛り込むと、担当者が応募者の経験や能力レベルを判断しやすくなります。
6.人柄・コミュニケーション能力をアピールする
介護職は、現場で高齢者を直接ケアする仕事であり、医療や福祉のさまざまな専門職とチームになってケアにあたります。利用者とのコミュニケーションはもちろん、スタッフ間の円滑な意思疎通や情報共有も大切です。
そのため採用時は、実務経験やスキル以上に、人柄やコミュニケーション能力を重視される傾向があります。これまでの経歴のなかで、顧客や利用者に喜ばれたエピソードやコミュニケーションの取り方で工夫した経験があれば、実績欄や自己PR欄などに記載しましょう。
たとえば入所当初は無口で誰とも話そうとしなかった利用者さんが少しずつ会話を楽しむようになり、家族からも「利用者さんが活き活きしているので安心している」と声をかけられたといったエピソードは、1つの成果といえます。介護業界が未経験の人は、前職での経験をコミュニケーション能力の向上という切り口で整理して書くこともできます。
7.苦労したことなどは前向きな表現で記す
これまでの業務で苦労したことや大変だった経験に触れる場合は、単なる前職の悪口と受け取られないように、表現に注意しましょう。
たとえば、自分が困難をどう乗り越えたか、その経験がどのように次のステップへの動機につながったのかを述べて、自分のやる気や人柄をアピールする方向につなげるとよいでしょう。
職務経歴書の書き方(編年体式の場合)
ポイントをおさえたところで、ここからは最も一般的な編年体式の職務経歴書の書き方について、項目別に詳しく見ていきましょう。
タイトル・日付・氏名
タイトルは「職務経歴書」とし、記載した年月日と氏名を記入します。西暦、元号のどちらでもOKですが、職務経歴書内ではどちらかに統一しましょう。
氏名は必ず戸籍に登録されている名前を書きます。旧漢字で登録されている場合は登録されているまま旧漢字で氏名を書くのが基本です。また、仕事で旧姓を使いたい場合は、履歴書や職務経歴書には戸籍に登録されている名前を書いて、面接の際に担当者に希望を伝えるか、履歴書の備考欄に書いておきましょう。
職務要約
最初に、これまでの経歴を短く略して記します。採用担当者がこの部分を読むだけであなたの大まかな経歴とスキルを把握できるよう、4~5行ほどでわかりやすく簡潔にまとめましょう。
職務経歴
上記、見本のように職務経歴は詳細に書いていきましょう。
また、同じ会社内で異動などがあり、複数の店舗や役職を経験している場合は、以下のように経験ごとに分けて表を作成するとよいでしょう。
保有資格欄
介護関連の資格や免許がある場合は、正式名称と取得時期を記入します。
介護以外の資格でも、入職後に役立ちそうなものは記入しましょう。
たとえば通所介護施設(デイサービス)では、利用者を車で送迎するので、普通自動車免許の有無が採用に影響する可能性があります。
自己PR欄
これまでの経験を振り返り、自分の強みをアピールします。
そのアピールポイントから、自分がどのように転職先でも貢献できるのかを伝えるようにしましょう。またスペースがあれば少し長めでもかまいませんが、10行程度にまとめるとよいでしょう。
自己PRでは、経験やスキルはもちろん、人柄や意欲もアピールできます。職務経歴欄に書けなかったアピール要素があれば、自己PRに盛り込みましょう。
自己PRでは、どの事業所でも通用するような有能さや人柄の良さに加えて、特に応募先の事業所にマッチした人材だというアピールができると理想的です。
たとえば募集要項に「明るく前向きな人柄の方を歓迎します」という言葉があれば、明るく前向きな人柄であることを示すエピソード(経験談)を盛り込むのもよいでしょう。
「経歴に自信がない」などこんなときどうする?
職務経歴書を作成する際、ご自身の経歴に自信がない、上手くまとめられないなど内容に困る方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここからは、そのようなよくある事例について、解決方法を解説します!
履歴書と同じような内容になってしまう
履歴書では表現できない詳しい業務内容を書くのが職務経歴書です。
どのような業務を経験したのかを具体的に伝え、その経験を通して何を学び、何ができるようになったのかをしっかり明記しましょう。
市販の職務経歴書用紙は履歴書と同じような項目で構成されているものがほとんどなので、履歴書と似た内容になりがちです。パソコンで自作して、「実績」「業務を通して学んだこと」といった履歴書にはない項目を立てると、自然に履歴書との違いが明確になります。
業務内容が多岐にわたる
業務内容が多岐にわたり簡潔に書ききれない場合は、すべてを記入するのではなく、応募する職種に関連するものや重要度の高い業務を中心に書きます。
そうすることで読みやすくなり、印象にも残りやすくなります。
転職回数が多い
■回数が多くても正社員としての職歴は必ず書きましょう
日本では転職回数が多いと、採用担当者に「一つの業務での習熟度が足りない」「採用してもすぐ辞めるのではないか」などマイナスなイメージを持たれがちです。
そのことを理解したうえで、マイナスイメージを払拭する内容にする必要があります。
1か月~2か月程度のごく短期のアルバイトやパート経験は省いてもかまいませんが、正社員としての職歴は漏らさず全て記載するのが基本です。職歴の全てを同じボリュームで羅列するのではなく、応募する職種と関連のある職歴をより詳しく書くようにしましょう。
■職歴には退職理由も明記しましょう
職歴欄に退職理由を付記することも大切です。退職理由が何も書かれていないと、意味もなく転職を重ねているように見えるためです。倒産などの雇用側の都合によるケース以外は、キャリアアップやキャリアチェンジのために前向きに退職したことを伝えましょう。さらに自己PR欄では、幅広い職場や業務を経験してきたことを強みとしてアピールするとよいでしょう。
職務経歴書の書式で見せ方を工夫するのも一つの方法です。一般的な編年体式は、時系列で経験してきたことは明白に伝わりますが、転職回数の多さが目立ちます。一方のキャリア式は、時系列で経験したことを把握しにくくなる代わりに、どのような経験を積み、何を身につけてきたのかが強調できます。転職回数の多い人は、キャリア式を利用すると、転職回数の多さよりも経験の豊富さ、身につけたスキルの多さに注目を集めることができます。
前職から3ヶ月以上のブランクがある
職歴に3ヶ月以上のブランクがあるにもかかわらず説明が全くないと、何をしていたのかと気になる採用担当者もいるでしょう。採用担当者に不安感を抱かせないよう、ブランク期間に何をしていたのかを簡潔に書いておく必要があります。
介護職への転職のためにスクールに通っていた場合は、そのことをちゃんと書いておけば、やる気があるとみなされ、プラス要素になります。
介護職の場合、ブランクの理由が出産や子育て、家族の介護であれば、転職のハードルはそれほど高くありません。ブランク中の経験を業務に活かせること、経験を通して介護職への意欲が高まったことを前向きにアピールすれば、好意的に受け止められるでしょう。病気やケガといった健康上の理由でのブランクの場合は、現在は回復していて勤務には支障がないことを明確に伝えるとよいでしょう。
正社員の経験がない
正社員経験がなく、アルバイトの経験しかない場合は、アルバイト経験を職歴として書きます。アルバイトであっても、応募する職種に活かせる経験やスキルがあれば、十分にアピール要素になります。
なぜ正規で就職せずにアルバイトをしていたのかを気にする担当者もいるので、理由・目的についてもきちんと伝えましょう。「希望職種につくことを優先したら結果的にアルバイトになった」「新卒時に正社員としての就職ができなかったが、アルバイトで経験を積んできた」などと正直に説明すれば、理解してもらえるはずです。
【コラム】採用担当者の視点を専門家が解説!
ここまで、職務経歴書の書き方やポイントについて解説をしました。では、実際に現場の採用担当者は職務経歴書をどのような視点で見ているのでしょうか。
専門家の大庭先生に解説いただきます!
執筆者/専門家
大庭 欣二
https://mynavi-kaigo.jp/media/users/11
職務経歴書の提出を求められた場合は、どんな事情があっても必ず提出しましょう
私自身が経験したケースで、応募書類にて「職務経歴書」を求めたにも関わらず、持参をされない方がいらっしゃいました。
「忘れていた」「書き方がわからない」「書くべき経歴がない」などと理由はあるかもしれませんが、求められている場合は必ず提出をしましょう。それだけで、採用選考においては、大きなマイナス材料となります。
多くの求人企業は中途採用者に対しては、職務経歴書を求めていると思います。
必要書類が「履歴書」だけの場合でも「職務経歴書」は持参しましょう
「応募書類に職務経歴書持参の記載がない場合」や「採用担当者に『履歴書を持ってきてください』とだけ言われた場合」はどうすればよいでしょうか。
私は、その場合でも職務経歴書は持参した方がよいと思います。
理由としては、採用側から見れば、職務経歴書には採用担当者が知りたい情報が記載されていると同時に、求職者側から見れば「求職者が自分自身の経歴をアピールできる武器」になるからです。
「応募した法人に対して、自分自身はどのような貢献ができるか」が綴ってある職務経歴書は、採用するか否かにおいて、採用への後押しをしてくれる存在です。
これを出さない手はありません。ぜひとも、職務経歴書は提出してください。
短期離職は書き方を工夫しましょう
「私は誇るべき職務経歴がない」「転職回数が多くて、かえってマイナス印象を与えるのでは」と心配な方もいると思います。
仮にそのような心配があっても、書き方を工夫をしてみてはいかがでしょうか。
■工夫の例1:介護に関係ない経験やスキルでも書いてみましょう
介護と関係ない仕事をしてきた場合でも、接客・運転・営業などこれまでの仕事を通じて、何を学び、何を身に着けたか。そしてそれを、介護にどう活かすかは記せると思います。
「管理職の経験がある」「パソコンのスキルがある」なども、求人企業によっては、喜ばれるかもしれません。
■工夫の例2:正社員の経験だけ記載するのは可!空白期間について説明できるようにしましょう
転職が多い場合は「正職員」だけに絞るのは良いと思います。
その場合、アルバイトの期間などが空白の期間になるわけですが、事前にその理由を自分自身で整理をしておきましょう。「この間は何をしていたのですか」と問われたときに、しっかりと答えることができればよいと思います。
■注意!:職務経歴書を偽ると、後々トラブルになることも
正職員を短期間で退職したケースもあると思います。それも含め、職務経歴書は正しく書かなければいけません。
虚偽記載や故意の不記載は、のちにそれが発覚し、職場とのトラブルに発展しないとも限りません。取り返しのつかないことにならないように、職務経歴書は正直に書きましょう。
書き方次第で、武器にも足かせにもなるのが職務経歴書
ここまで記してきたように、職務経歴書は書き方次第で、武器にも足かせにもなります。
採用担当者を意識して、丁寧かつ分かりやすい表現を心がけ、「職務経歴書」を自分自身の最強の武器として、フル活用してください。ご健闘をお祈り申し上げます。
まとめ:自分をアピールする職務経歴書を作ろう
ここまで職務経歴書について説明をしてきました。
職務経歴書の書き方のポイントをおさえて、しっかりと作成することで採用担当者に「この人と働きたい」と思わせることが可能です。
一度書いたら、具体的に書けているか、内容が独りよがりでないかを意識しながら読み返してみましょう。心配な場合は、友人など第三者に添削してもらうと、客観的な意見がわかります。
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