無病息災を願う炎の柱。君津市郡地区の伝統行事「どんど焼き」
「どんど焼き」とは、お正月飾りや書き初めなどを持ち寄っておたき上げをし、厄払いや無病息災を願う日本の伝統行事です。君津市にはどんど焼きを守り、継承する地域が残っています。
どんど焼きの始まりは「櫓建て」から
どんど焼きを小正月(1月15日ごろ)に行う地域もありますが、君津市では節分付近の土日に行う地域が多いです。
君津市郡(こおり)地区では、どんど焼きの約2週間前、行事の主役ともいえるやぐらを作る「櫓建(やぐらた)て」を行います。
自治会の人々などが早朝から、切り出した竹で大小2つのやぐらを組み、それぞれ中に「あんこ(木や竹)」を詰めて形を整えたら完成。
その後、当日までに地域住民が正月飾りやだるまなどをやぐらに納めます。
当日の夕方、地元神社から受けた種火を、たいまつのような棒の先につけて徒歩で運び、やぐらの手前に作られた竹の鳥居をくぐります。
届いた火をやぐらにつけるのは年男と年女。
乾燥したやぐらは天高く燃え上がり、見守る人々の顔を暖かく照らします。
どんど焼きの火で焼いたものを食べると無病息災の御利益があるといわれ、集まった地域住民の中にはお餅を持参する人も。
存続の危機乗り越え地域の力で復活
どんど焼きは現在、小糸川周辺の地区で行われていますが、昔はもっと多くの地域で行われていました。
しかし住宅事情や正月飾りの変化、地域の高齢化やコロナ禍などにより減少傾向に。
郡地区でも継続が困難となり、1994年に中断。
しかし97年、有志により「どんど焼き実行委員会」が設立され、郡、杉谷(すぎやつ)、郡の杜、新御堂(しみどう)自治会協力のもと復活し、現在も行われています。
明るいうちから屋台などを出し、「どんど焼き」を地域のお祭りの場として、人が集まる地域もあります。
郡地区では2024年、郡ダムで水上スキーを行っている慶応義塾大学水上スキー部が、「櫓建て」から当日の屋台運営まで参加し、地域の人々との交流を深めていました。
地域住民の努力で守り継がれる季節の風習。
どんど焼きが終われば、春はもうすぐです。
(取材・執筆/花)
動画で見よう「君津のどんど焼き」
君津市公式YouTubeチャンネル「貞元を知って楽しむ講座~郡地区のどんど焼きをみにいこう~」
https://www.youtube.com/watch?v=jS2wdsoc9ik
【取材協力】君津市生涯学習文化課
出典/君津市中央公民館だより「ひこばゆ」
※地域のお祭りです。地域外からのおたき上げ品の持ち込みはご遠慮ください