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モネが見た光を没入体験 ― 角川武蔵野ミュージアム「モネ イマーシブ・ジャーニー」(レポート)

アイエム[インターネットミュージアム]

印象派を代表する画家、クロード・モネ(1840-1926)。様々な景色や人物を柔らかな色遣いでキャンパスに書き留め、数多くの作品を残したモネの人生や作品世界を音楽とともに追体験できる没入型の展覧会「モネ イマーシブ・ジャーニー」が、角川武蔵野ミュージアムではじまりました。


角川武蔵野ミュージアム 会場入口


角川武蔵野ミュージアムで体感型デジタルアート劇場を開催されるのは、今回で4回目。「モネ」展は、第2回目「ファン・ゴッホ」展、第3回目「サルバドール・ダリ」展でクリエイティブディレクターを務めたジャンフランコ氏と角川武蔵野ミュージアムによる完全新作として制作されたもので、ワールドプレミア作品として日本で初上映し、今後世界に向けて発信されます。

会場入口のホワイエには、無料のフォトスポットが設置されています。モネの庭「睡蓮の池」をイメージした空間に太鼓橋を再現したこのスペースでは、ジヴェルニーの光を感じながらモネの世界を旅する感覚を味わうことができます。


モネの庭「睡蓮の池」をイメージしたフォトスポット


体感型デジタルアートは、15の章で構成。モネや印象派と関わる様々な作品が、音楽と共に床や壁面360度に映し出されていきます。ここでは、その中からいくつかの場面を紹介します。

最初に映し出されるのは、モネが1975年11月13日のフランス、ル・アーヴルの夜明けを描いた代表作《印象、日の出》。「印象派」という言葉が生まれたこの作品から本編はスタートします。


第1幕「プロローグ 印象日の出」


第2幕では、モネとも交流のあったルノワールの作品を紹介。音楽とにぎやかな喧騒のパリのムーラン・ド・ラ・ギャレットのダンスフロアで踊るカップルたちが踊る姿が投影されます。

続いて第4幕では、エドガー・ドガが描いたバレエダンサーたちが登場。印象派ならではの明るい色彩ながら、戸外の光には興味のなかったドガはダンスというモチーフを通して、人工的な照明と身体的な動きに関心を向けました。


第2幕「ダンスホール」


第4幕「女性ダンサー達」


景色はフランス北部の海、ノルマンディーに移り変わります。壮大な崖と荒れ狂う海の激しさに魅了されたモネは、壮大な絵画表現を生み出していきます。会場に設置されたハンモックに揺られながら没入すると、まるでノルマンディーの風を体感しているようです。


第6幕「ノルマンディー」


舞台は再びパリに。1862年から1863年にエドゥアール・マネによって描かれスキャンダルを引き起こした代表作《草上の昼食》を、モネが同じテーマで描いた作品と比較することができます。セーヌ川の流域で水からインスピレーションを得たモネは、次第に水面に映るイメージに興味を抱きます。


第7幕「セーヌ川の岸辺」


モネが睡蓮を描き出したのは、自宅に庭を作った40代頃から。晩年になるまで描き続けた睡蓮の作品は、約200点が残されています。代表作の《睡蓮》の作品を映し出す第9幕では、水面の様子から質感や色が抽象化していくキャンバスの様子まで堪能することができます。


第9幕「睡蓮」


デジタルアート会場の先の回廊では、印象派展のあゆみを紹介するコーナーが展開されています。モネやルノワールやドガなど、第1回から第8回までの印象派展に出品された名画を実寸大で見ることができます。

その奥のスペースでは、印象派の画家が描いた鮮やかな色彩はどのように生まれたのか。モネがどのように作品を描いたのか、チューブ絵の具の誕生やジャポニスムが創作に与えた影響はどのようなものだったのかを追っていきます。


印象派展のあゆみ


モネと印象派を知る


角川武蔵野ミュージアムは東所沢駅から徒歩10分程度はかかりますが、会場内では360度モネの世界感で一気に涼やかな気持ちになります。鑑賞後は『睡蓮に池をかける橋』に見立てたスイーツなども提供しているダイニング「SACULA DINER」で一休みするのもおすすめです。

[ 取材・撮影・文:坂入 美彩子 2024年7月18日 ]

Design and creative direction: GIANFRANCO IANNUZZI

Multimedia content production: KARMACHINA.

©角川武蔵野ミュージアム

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