「飽きっぽい」「集中できない…」子どものやる気を引き出す環境づくりと親の関わり方【専門家監修】子育ての悩み(14)
「すぐに飽きたり、集中してくれなかったり…。子どものやる気の引き出し方が知りたい!」という3歳と4歳のママからのお悩みです。
村上涼さん 江戸川大学 メディアコミュニケーション学部こどもコミュニケーション学科 教授公認心理師・臨床発達心理士として、保育者や保護者からの子どもの発達に関わる相談業務に携わる他、「心に寄り添う」保護者支援のあり方も研究。
大人の前向きな関わりが子どもの「やる気」の土台になる
「やる気」とは、例えば友達がブロックで家を作る姿を見て「自分も作りたい」と思い、試行錯誤しながら組み立てていく、そんな過程の心の働きを指し、心理学では「動機づけ」と言います。
動機づけには二つあって、大人の励ましやごほうびなど、やりたい気持ちを外から促す「外発的動機づけ」と、子ども自身が望んで自発的に取り組む「内発的動機づけ」があります。今回のご相談にある3歳、4歳は、外発的動機づけ、つまり大人の「褒める・認める」という行動にやる気が左右されやすい年齢です。
大人のポジティブな関わりを通して、子どもの自己肯定感は高まり、成長するとともに自力で好きなことを探し出し、集中して取り組めるようになります。幼児期のこの体験が、小学校以降の学習にもつながっていくので、とても大事です。
子どもの気持ちに寄り添い前向きに、おおらかに見守る
やる気を引き出し、集中した状態を維持する上で大切なのは、子どもの話をよく聞いて、その子の興味関心に沿う体験を用意すること。また、子どもの気をそらすおもちゃやデジタル機器などが視界に入らないようにしたり、室温を調整するなど、集中しやすい環境を整えることも重要です。
子どもが何かに取り組んでいる時は、結果よりも「過程」に着目し、小さなことでも「今日は○○を頑張ったね」と褒めてあげましょう。「結果」について話す時は、成功や失敗を環境や運のせいにせず、「ここはできたね、次は○○を頑張ろう」というように子ども自身の努力の結果という解釈ができると、さらなる挑戦意欲に結び付いていきます。
「飽きる・集中できない」状態は、いろいろな遊びを試し、自分のやりたいことを探している時間とも言えますので、早急に「やる気をもって集中する」姿勢を求めず、前向きな声掛けをしながら年齢に応じた発達面の成長を見守っていけるといいですね。