横須賀の「琉球紅型(びんがた)」知って 戦中の避難民作成の見本品展示
横須賀市若松町の輸入品や古着の販売店「ディッシャーズ」で沖縄の伝統染物「琉球紅型(びんがた)」の展覧会が行われている。同店代表の生武浩一さん(57)によると、戦時中に沖縄から横須賀に避難してきた技術者が仕立て屋などで従事していた際に作られたものだという。今回の展示では、和紙にあしらわれた色鮮やかな琉球紅型42枚を額装している。
琉球紅型は13世紀頃を起源としており、紅型の「びん」は色彩、「がた」は模様を意味するとされる。かつての琉球王朝では王族や貴族の衣装として、また琉球の文化や技術の高さを諸外国に示す交易品として発展してきた。鮮やかな色彩と大胆な配色が特徴で、1984年には国の伝統工芸品指定を受けている。
「お直し屋」から発掘
ことの発端は、かつて横須賀中央で衣服や着物の「お直し屋」を営んでいた建物の解体だった。生武さんはリサイクル業者として立ち合ったところ、和紙に版画された紅型を数十枚発見。用途や価値などを測りかねていたが、近隣の老舗の呉服屋などに聞き込みしたところ、琉球紅型であることが発覚。戦時中に帝国海軍や陸軍のつてを頼りに横須賀に逃れてきた技術者が、着物関係の仕立て屋などで客にデザインを提示した際の見本であったことが分かった。
し烈さを増す戦禍で沖縄本土に残る当時の型紙や道具は多くが焼失したとされる。生武さんは、その貴重さと歴史を周知する狙いで展示に至った。「沖縄と横須賀の融合したスタイルの紅型を知ってもらえる機会になれば」
観覧無料。5月31日(土)まで。平日・土曜は午前11時から午後5時30分。日曜は夕方ごろから開店。不定休。詳細は同店【電話】046・823・7786。額装した紅型の複製品やTシャツも販売している(税込2千円)。