不思議な生き物「ふれる」が人の心を繋ぐ 切なく愛おしい、心が温かくなる「ふれる。」試写会レビュー
「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「心が叫びたがってるんだ。」「空の青さを知る人よ」の青春3部作を手がけた監督・長井龍雪、脚本家・岡田麿里、キャラクターデザイン・田中将賀が再結集し、不思議な生き物"ふれる"の力で心がつながっている3人の青年の友情を描いたオリジナル長編アニメーション。10月4日の公開に先駆け試写会に参加したSASARU movie編集部が映画の見どころをレビューします。
物語の主人公、幼馴染の20歳の青年三人を演じるのは、King & Princeの永瀬廉、若手実力派俳優の坂東龍汰と前田拳太郎。不思議な生き物"ふれる"がつなぐ3人の友情。人と人との本当のつながりとは…切なくも温かい気持ちになる「ふれる。」をぜひチェックしてみてくださいね。
「ふれる。」の気になるストーリー
同じ島で育った幼なじみの小野田 秋と祖父江 諒と井ノ原 優太。20歳になり、親友同士の彼らは、東京の高田馬場で共同生活を始める。口下手な秋はバーでアルバイト、体育会系の諒は不動産会社の営業職、コンプレックスの多い優太は服飾デザインの専門学校生と趣味も個性もばらばらだったが、島から連れてきた不思議な生き物「ふれる」がテレパシーのような謎の力で彼らを結びつけていた。お互いの身体に触れあえば心の声が聞こえる…それは誰にも知られていない3人だけの秘密。3人の心はいつもつながっており、そんな関係がずっと続くはずだった。しかしある事件がきっかけとなり秋、諒、優太は、"ふれる"の力を通じて伝えたはずの心の声が聴こえないことに気づく。"ふれる"に隠されたもうひとつの力が徐々に明らかになり、3人の友情は大きく揺れ動く…。
人と人の本当のつながりとは 改めて考えるきっかけを与えてくれる映画
3人の友情は幸せそうで平和な空気感に見えるが、実は本当に思っていることをしっかり口では伝えられていない。"ふれる"が間にいないと、本心が伝えられない、伝わらない。そんな状況は、確実に私たち現実世界にもあるはず。他人の気持ちが分かりづらくていつのまにか傷つけてしまっていたり、本当に思っていることを心の中に閉じ込めてしまってついつい我慢をしてしまったり、友達や仕事の同僚、家族でも、人と付き合うことは実はすごく難しいこと。相手によって、自分を偽り見せ方を変えてしまうこともしばしばあるのでは。
心の内を全く伝えないとどうなるのか、逆に人の心の内が分かってしまうとどうなるのか、その両方の視点から描かれている「ふれる。」。人の内面にふれることにより、人とのつながり方、人間関係の構築の仕方について、改めて考えたくなるきっかけを生む作品でした。
人間関係を構築することは決して楽ではない、人とぶつかり合うことが怖くて想っていることを一切伝えず現実逃避してしまう、そんな葛藤がまさに現実世界の人間らしさを表しているので、ぜひ自分と重ね合わせて観ることをおすすめします。
キュンと心が奪われる「ふれる」の存在
この作品で、何よりも心を奪われるのが、不思議な生き物"ふれる"の存在です。
ふれたくても触ることができない、言葉も発せない"ふれる"。ちょっとした仕草や、きゅるっとした瞳がとにかく「かわいい」にあふれていました。その反面、人間と違い言葉を発したりできない"ふれる"を見ると「今、何を思っているんだろう」「何を伝えたいんだろう」と心がぎゅっと、はかない気持ちになってしまいます。
本当は3人に伝えたいことを"ふれる"なりに必死に伝えていて、人とのつながりの本質の部分を教えてくれていたのかな、と自分なりの感情を、"ふれる"にのせながら観てみるのも良いかもしれません。
様々な環境でコミュニケーションの仕方が変化し、人との関わり合いで悩むことが多い現代社会。"ふれる"の存在がそっと背中を押してくれる気がします。観たあとは、大切な人に会いたくなって、想いを伝えたくなる、そんな作品でした。
「ふれる。」の基本情報
・作品名:『ふれる。』
・出演:永瀬廉 坂東龍汰 前田拳太郎 白石晴香 石見舞菜香 皆川猿時 津田健次郎
・監督:長井龍雪
・脚本:岡田麿里
・キャラクターデザイン・総作画監督:田中将賀
・音楽:横山克 TeddyLoid
・主題歌:YOASOBI「モノトーン」(Echoes / Sony Music Entertainment (Japan) Inc.)
・配給:東宝 アニプレックス
・製作:「ふれる。」製作委員会
・公開日:2024年 10 月 4 日(金) 全国公開
・公式サイト: https://fureru-movie.com/