「葛藤」がキャラ造成を深める理由とは?【プロの小説家が教える クリエイターのための語彙力図鑑】
NO.18 葛藤【かっとう】[英:Conflicted]
【意味】
心のなかに相反する感情が生まれ、どちらを選ぶか迷うこと。
【類語】
苦慮 相克 苦悶 もつれ せめぎ合い 対立 衝突 矛盾 ジレンマなど
体(フィジカル)の反応
まばたきの回数が増える頭をかきむしる唇を触りながら考えこむ視線がさまよう険しい表情じっとしていられない身なりに気を使わない質問に曖昧な返答をする会話のキャッチボールができないよく考えずに謝罪の言葉をいう何か口にしながらもやめる無意識に首を横に振る何度も頬を膨らませたりしぼませたりする貧乏ゆすりをする舌打ちを繰り返す頭が締めつけられるように痛む胃がキリキリと痛む
心(メンタル)の反応
体が重く感じる複雑な心境をすべて口に出したくなる静かで穏やかな環境に身を置きたくなる集中力が低下する視界がぼやける感覚ネガティブ思考自分に自信がなくなる悩み以外のことに関心がなくなるまわりの人の意見を精査しようとする理路整然とした思考ができなくなってしまう
読者は窮地でのひたむきさや前向きさに共感し応援する
かわいい子には旅をさせよ、と昔からいいますが、恋愛小説でも、ファンタジーでも、ミステリーでも、バトルモノでも、とにかく主人公には「葛藤」させてください。
Q:なぜ「葛藤」させたほうがよいのでしょうか?
A:それはキャラ造成が深くなるからです。
昨今の物語の潮流は、ストーリーよりもキャラ造成に重きを置いた創作のほうがウケる傾向にあります。とりわけ小説では、性格や人間性を表す〝内面造成〟が重要視されます。
一方で読者は、ここぞという窮地でのひたむきさや前向きさに共感し、応援したい気持ちになるもの。よって魅力的な性格や人間性を描くには、悩んだり苦悩したりする局面での在り方を利用します。「葛藤」させれば人は切羽詰まりますから、そこでいい人としての言動を印象づければキャラ造成に成功します。SAVE THE CAT の法則に似ていますが「葛藤」からの好転は、まず間違いありません。
今の時代、キャラ造成は外見よりも中身が大切
【出典】『プロの小説家が教える クリエイターのための語彙力図鑑』著:秀島迅