クエンティン・タランティーノの次回作は舞台、鋭意執筆中 ─ 映画引退作は「息子が6歳になってから」
長編監督10作目で映画監督引退を公言しているクエンティン・タランティーノが、次回作として演劇作品を準備していることがわかった。2025年1月25日、サンダンス映画祭にてタランティーノ自身が認めた。米、が報じている。
前作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)以来、世界中のファンが新作を待望しているタランティーノだが、第10作となるはずだった『The Movie Critic(原題)』が。1977年のカリフォルニアを舞台に、「ポルノ雑誌に映画批評をよく寄稿していた」実在の男性をモデルとする物語が描かれる予定で、3度目のタッグとなるブラッド・ピットが契約交渉に入っていたが、タランティーノの「気が変わった」ために企画ごと中止されている。
では現在、タランティーノは何をしているのか? 映画祭のトークにて、「今は戯曲を書いていて、それがおそらく次回作になります」と語った。早くも映画化を視野に入れているようで、「(舞台が)失敗したら映画にはしないでしょう。だけど大ヒットしたら、それが最後の映画になるかもしれません」という。
もっとも、第10作への着手は当面先になりそうだ。イスラエル人の歌手ダニエラ・ピックと2018年に結婚し、2児の父親となったタランティーノは、現在アメリカとイスラエルを行き来する生活を続けている。「アメリカでは執筆、イスラエルでは父親」と語るように、子どもの成長を鑑みて映画製作に着手していないのが実際のところらしい。
「今は映画を作ることを急いでいません。30年間この仕事をしてきましたが、来月には息子が5歳になり、2歳半の娘もいます。子供たちが理解できないほど幼いにもかかわらず、自分が冒険に出ることに魅力を感じないんです。どんな映画にであれ、少なくとも息子が6歳になるまではやりたくない。起きていることを息子が理解し、そこにいることができれば、一生の思い出になると思うので。」
そのかわりにタランティーノが全力を注ぐのが、次回作となる舞台作品だ。「成功させるのはとても大変で、本当にできるのかさえわからない。まさに挑戦です」と抱負を口にするが、その裏側には現在の映画業界に対する苛立ちもあった。
「つまり、“映画って何なんだ?”と。映画館でたった4週間、形だけ公開して、その翌週にはテレビで観られるものなのか? 僕は見返りを求めて映画を作っているわけじゃなく、(業界は)97年の時点で十分ひどかった。2019年も本当にひどくて、あれが映画最後の年だった。気になるのは(状況が)劇的に悪化していることです。」
映画界の直面する問題から自由になれるのが、今のタランティーノにとっては舞台というフィールドなのだ。「“劇場公開して、2週間後にはこのサイトで観られて…”なんてことはありえない。舞台は最後のフロンティア」だと言い切る。「彼らは客席に座るために大金を払い、録画も携帯電話もなく、その時間は観客のものになる。単なる芸術をやるのではなく、観客を驚かせ、最高の夜を提供するわけです。僕にとっては、これこそが存在することです」。
クエンティン・タランティーノによる新作舞台(タイトル未定)の詳細は不明。正式発表が待たれる。
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