60代夫婦の《リアル貯金額》。贅沢できない……。年金だけでどうやって暮らせばいい?【FPが解説】
読者から寄せられたリアルな総資産額を大公開。質問内容から、改善できるポイントがあるのか、ファイナンシャルプランナーが解説します。【69歳 男性】
【貯金額】69歳、男性の場合
プロフィール
69歳、男性
年金生活者、年収270万円
妻(65歳、年金生活者)と子(36歳、会社員)の3人暮らし
【相談内容】旅行にも行けない……。今からでも投資をやるべき?
「息子と同居していますが、家計は別です。夫婦で年金を受給していますが、物価高もあり生活するのがやっとの状態です。年1回の旅行すらできなくなりました。節約をして出費を減らすしかないでしょうか。投資などで対策できますか?」
現在の資産額の水準は?
質問者さんと同年代である60代2人以上世帯の貯金額は、平均が2,026万円・中央値が700万円*です。
*……参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和5年」
質問者さんの貯金額は、平均を上回っているといえますね。
家計を見直して年金で快適な生活を送る方法
質問者さんは夫婦で年金生活をされており、今後に不安を感じていらっしゃるとのこと。
できる限り快適な生活を送る方法をお伝えします。
支出を見直して家計を安定させる
総務省の調査によると、老後夫婦で必要な1か月の平均生活費は約28.2万円となっています。
質問者さんご夫婦の年金額は月30.8万円なので、平均的な老後生活費よりも多い水準です。
*……参考:総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)結果の概要」
年金の範囲内で生活できるように支出を調整するだけで、未来の不安をぐっと減らせます。
以下の項目を確認し、支出が減らせないかをチェックしてみてください。
・ 保険の見直し:お子さんは成人しているため大きな保障は不要
・ 携帯料金の削減:格安SIMを活用すると月数千円の節約に
・ 光熱費の見直し:今よりも割安な電気・ガス会社があれば乗り換えを検討
・ 車所有の見直し:公共交通機関やカーシェアサービスを検討し、可能であれば車を手放す選択も
お金を使って楽しむことも大切
年金で生活できるようになれば、旅行も再開しましょう。
日々の生活が安定していれば「お金を使って楽しむ」ことも人生の大切な一部になります。
例えば、80歳までに毎年1回、30万円の旅行を楽しむと仮定すると、費用は約330万円。
貯金からこの費用を確保しておくことで、安心して旅行を楽しめますよ。
投資は慎重に考えましょう
投資は資産を増やす手段ではありますが、初心者の場合、安定して利益を得るには15年以上の長期運用が必要といわれています。
質問者さんが投資の利益を得られるのは80代半ば。
投資で老後生活を支えるには時間がかかりすぎと考えられます。
さらに投資には元本割れリスクも伴うため、老後の大切な資産をリスクにさらすことはあまりおすすめできません。
まとめ
・質問者さんと同年代の貯金額は、平均が2,026万円・中央値が700万円です。
・年金の範囲内で生活できるよう支出を調整することで、年に1度の旅行も楽しめます。
・定年後からの投資スタートはおすすめできません。
※この記事では媒体で募集した情報を掲載しています。
◆sino
ファイナンシャル・プランニング技能検定3級 日商簿記検定3級
資産形成や節約に関するアドバイスを得意とし、普段はライターとして活動しています。