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年長から始めた放デイ探し。理想と現実で悩み…見学して実感した「譲れない条件」

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年長から始めた放デイ探し。理想と現実で悩み…見学して実感した「譲れない条件」

監修:室伏佑香

東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科/名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程

いざ就学相談へ!家族の希望は通る?

知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)と診断されている長男りー。年長になってすぐ、就学先をどうするかについて検討することになりました。夫婦で話し合い、実際に学校を見学した結果、公立の特別支援学校を希望することにしたわが家。家族の希望が決定したあと、いよいよ地域の就学相談に臨みました。

就学相談とは、地域を担当する相談員さんが子どもの状態や成育歴を確認した結果をもとに、教育支援委員会が就学先の判断を行うというもの。私たちが相談員さんと話をしている間、りーは別室に通され、できることなどを確認するテストを受けたようです。私たちは、りーの状態を5段階(できる・補助があるとできる・できるときとできないときがある・ほとんどできない・できない)に分けて、相談員さんの聞き取りに答えていきました。

後日就学相談の結果が届き、私たちが希望した通り、公立特別支援学校への就学が適当とのことで、りーの就学先が決定しました。

就学準備はまだまだ終わらない!理想の「放課後等デイサービス」を探して

こうしてめでたく就学先は決定したのですが……次はりーが小学生になってから通うための放課後等デイサービス探しが始まりました。役所からもらった一覧表にはたくさんの事業所の名前がずらり……。

りーに合っていそうなところや私たち夫婦の希望を話し合い、こういうところがいい!という私たちなりの理想ができました。

・遊びを通して体力づくりができるところ
・季節の行事があるところ
・りーが楽しく過ごせるところ

この3点のポイントをもとに何か所かの事業所を探し出しました。早速連絡を入れて見学の予約をしたのですが、ここからがなかなか大変でした……。

理想通りの施設にはなかなか出合えない…でも求める条件は譲れない!

まずは運動療育を中心に行っている施設に見学に行きました。中に入ると、ダンススタジオのような鏡が一面に広がっていました。自分の姿を見ることが大好きなりー、楽しくすごせるかな?と思ったのですが、りーは体験を拒否。活動は時折見るのですが、参加は嫌だったようです。

続いて見学したのは遊びが充実しているという施設。1か所目と比べると施設内はあまり広くありませんでしたが、りーは見学中も嫌がることなく、本を読んで過ごしていました。その日は発語のない子が通所していたので、見学の間、そちらの様子をそれとなく伺っていた私。その子と一緒に過ごしている先生がいましたが、子どもへの声掛けが少ないことが気になりました。たまたまだったのかもしれませんが、「もしかして、発語のないりーにも、あまり声をかけてもらえないのかな」と感じてしまい、こちらの施設に通っても、りーが楽しく過ごせないかもしれない……という印象を受けました。

このように、2つの施設を見学させてもらいましたが、いずれもピンとこなかった私たち。しかも、私の中で新たな条件ができてしまいました。

それはりーが個別にすごせるスペースがほしいというものでした。というのも、りーは見る力が強く(パズルなど数回見るとすぐに完成させることができます)、それが長所でもある反面、いろいろなものが見えるがゆえに注意力が散漫になりがちです。当時りーが通っていた療育園では、課題を行う際には一人ひとりの間に仕切りがあり、個別の環境で集中して取り組めるようにしていただいていました。それまで見学した施設には個別のスペースがない、もしくは少ない印象を受けたので、りーが集中して活動に参加できないのでは、と考えたのです。

そして3か所目、行事が充実しているという施設を見学しました。こちらは勉強や課題を行う際には机に向かって行い、公園遊びなどの戸外での活動もさかんとのことでした。見学した日は室内遊びをする日だったので、みんなで賑やかにドッヂボールを行っていました。声が大きいところは苦手なりーですが、すっかりなじみ表情も楽しそう。私たち夫婦の理想にも合っているこちらの施設に通うことに決めました。

そして後々、以前りーが通っていた児童発達支援から放課後等デイサービス新設のお知らせが来ました。誘ってくれたのはりーを幼い頃見てくれた先生。そちらも見学したところ、個別スペース、行事や体力づくりなど私たちの理想もかなっていました。そして何より「りーの成長を今後も見させてほしい」という先生の言葉にうれしくなり、こちらの施設にも通うことになりました。

こうして2つの施設を併用することに決めた私たちですが、放課後等デイサービスの先生からあるおすすめを受けました。

相談支援員の方についてもらったほうが良い、と……。

そちらの話はまた別の機会に書いていきたいと思います。

執筆/かしりりあ

(監修:室伏先生より)
りりあさん、就学相談や放課後等デイサービス探しについて詳しく教えていただき、ありがとうございました。就学相談に関しては、見学がとても大切ですが、教育委員会が方針を示してくれるので、進む方向が見えやすいかもしれませんね。一方、放課後等デイサービスの情報収集はご家族のご負担が大きく、活動内容も多岐にわたるため、大変だと感じられているかと思います。実際の体験を通じたこうした情報は、とても参考になりますね。

また、通っている発達支援施設や医療機関のスタッフ、地域の窓口(保健センターや子育て支援センター、発達障害者支援センターなど)に相談してみるのも、一つの方法かもしれません。お子さんの特性やご家庭の希望に合った支援や環境が見つかりますよう、お祈りしています。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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