バレーSVリーグ東レ静岡 ソウザ復調でプレーオフ進出へ巻き返し!内定選手の楠本岳(天理大)がラストピースに!
バレーボールSVリーグ男子の東レアローズ静岡は3月1、2日、静岡市の草薙このはなアリーナで行われたヴォレアス北海道との地元戦を連勝で飾った。攻撃の要であるオポジットのアラン・ソウザ選手が復調。内定選手・楠本岳選手(天理大)の加入で守備の安定感が増して攻守がかみ合い、プレーオフ進出へ巻き返しの体勢が整った。
重藤「トーナメント戦のつもり」
レギュラーシーズン残り12試合で8位の東レ静岡は、チャンピオンシップ(プレーオフ)進出圏内の6位・日鉄堺BZとは4勝差。厳しい状況に変わりはないが、次節8、9日は日鉄堺BZとの直接対決があり、重藤トビアス赳主将は「(次節も含め)この4試合はトーナメントのつもりで、全力で勝ちをつかみにいくということを意識してやっている」。本来、派手なパフォーマンスが得意なタイプではないが、アタックが決まるとほえたり、会場を巻き込むような喜びの表現をしたりして、チームを鼓舞している。
ソウザ「コンディション上がってきた」
V北海道との地元戦はアウトサイドヒッターの山田大貴選手とフランチェスコ・レチネ選手がコンディション不良でベンチを外れる苦しい布陣だったが、ソウザ選手と楠本選手が攻守の両輪で機能。重藤選手、難波尭弘選手のサーブも効いて、試合を優位に進めた。2月19日の東京GB戦あたりから、調子が戻りつつあるソウザ選手は「コンディションが上がってきたことで練習量をこなせている。セッターの新(貴裕)選手と会話を重ね、コンビが合うようになってきた」と、勝負どころでの決定力が向上している。
守備の安定感がもたらす影響
ソウザ選手の復調はもちろん大きいが、チームがかみ合ってきた要因について、ミドルブロッカー西本圭吾選手はこう受け止めている。「パスの供給がネット付近に集まりやすくなっているというのが一つの要因。岳(楠本選手)がチームを変えてくれている」
リベロの武田大周選手とともに守備に安定感をもたらしている楠本選手。阿部裕太監督も「サーブレシーブが安定すると、いい状況でアランが打つ本数が増える。今までのように崩されて2段トスが多く上がってくるというよりは、コンビネーションからのボールが増えているので、アランに限らずスパイカーがいいリズムで打てているんじゃないか。新はコンビで光を放つセッター。そういう意味でもいろんないい効果が出ているのかな」と説明する。
新たな可能性示す楠本
SVリーグのアウトサイドヒッターとしては最も小柄な177センチの楠本選手だが、攻撃面での働きも見逃せない。「自分へのトスが周りに比べて速いので(ブロックが)完全には寄れないだろう思って打っています」と、SVでの試合経験を重ねるごとに新たな可能性を示してくれている。
阿部監督は「ボールをたたくという技術だけではないところのスキルが高いから、あの高さ(身長)でも決まる。彼のモーション、目の位置など、打つ前にいくつもフェイクを入れているんです。それにブロックが誘導されて、いわば自分でスペースを空けている。そういう視点で見ていただくと彼のすごさが分かってくると思います」と、巻き返しへの“ラストピース”に期待を寄せた。
(編集局ニュースセンター・結城啓子)
【取材こぼれ話】
V北海道との第1戦後の記者会見ではソウザ選手、楠本選手の好調ぶりに質問が集中しましたが、会見終了後、西本選手が席を離れながら「誰も僕のブロックの調子がいいって聞いてくれなかったですね」と残念そうに切り出し、「まだ調子がいいと思われてないということで、頑張ります」とアピールしていました。身長189センチとミドルブロッカーとしては小柄な西本選手ですが3月2日現在、リーグのブロック決定本数ランキングで2メートル18センチのドミトリー・ムセルスキー選手(サントリー)に次ぐ2位。絶好調の西本選手の活躍に注目です。