子ども3人で会社から200万円!今注目の福利厚生 最大支給は6600万円に
“第3の賃上げ”とも言われる「福利厚生」の充実。
企業の人材確保が厳しさを増す中、現場では、思い切った取り組みが始まっています。
3人産まれたら200万円
札幌市に本社がある空調設備などを手がけている中小企業「ヤブシタホールディングス」。
社員は全体で164人。
平均年齢は34歳で若い世代が多いことから、福利厚生の「出産祝い金」を大幅に増額しました。
第2子まで、それぞれ50万円。
そして第3子が生まれたら、200万円を社員に支給します。
森忠裕社長は「中小企業はなかなか厳しい金額ですが、まぁ、いいじゃないですか。みんなで頑張って利益を上げて、その利益の一部を社員に還元する、いたって普通です」と話します。
この祝い金制度にことし第一子が誕生した社員の古堂博之さんは「『そんなのあるの』というのが第一声だった」と驚いたといいます。
「特に物価高とか言われてるので、使い道はまだ本当に明確に予想はできてないけど、本当にあるに越したことはないかなという気持ちが強い」
社員の三原結花さんは、7月に3人目の子どもを出産予定で、この200万円が支給される第1号となります。
「まだそんな200万円もらえるかが、ちょっと怪しいのがあって。もらってから何に使おうか悩む感じです。子育てするのに、1人目2人目のときに金銭面で不安な点があったので、その分に関しては、やっぱりほっとして何か育児に専念できるかなというのはあります」## 若い人材を確保したいから
子育て中の社員への支援は、これだけではありません。
執務フロアの一角に設けたのは、託児スペース。
すぐそばで子どもを遊ばせて、安心して仕事に取り組める環境を整え、必要に応じて保育士も常駐します。
4歳の有彩橙くん(4)を預ける横山真央さんは「保育園に入れなかったとかがなく、すごく楽で、ありがたかった」と話します。
「保育士さんも『最近これができるようなっていますよ』と、目の前でやってくれたりとか、そういうのはすごく成長を近くに感じられたのかなと思っています」
ヤブシタホールディングスの森社長は人材確保が厳しさを増すなかでも、こうした福利厚生の充実によって、有能な若い人材を確保していきたいと話しています。
「できる限り社員に還元する。社員を大切にする。会社が社員が大切だと感じなければ、パフォーマンスなどで返そうとしないでしょう。社員ひとりひとりの力が、そのような会社の業績に直結する。先の先を見据えて、とにかく雇用し続けていく、若い集団であり続けたいというのが私の願いです」
第9子までを想定?合計は6600万円に
今はキャリアアップでどんどん転職という時代だけれども「この会社で長く働きたい」と思う一つの理由になるかもしれません。
こちらの会社の出産祝い金ですが、第1子で50万円、第2子も50万円、第3子は200万円ということで合わせて300万円になります。
ちなみに、200万円でも「怪しい」という声が社員からありましたが…さらに第9子まで設定しているそうなんです。
社長の計画では、第4子以降も増額していき、第9子は、なんと2000万円、合計すると6600万円になる計算です。
全国には「猫手当」「旅行代金負担」
特徴的な福利厚生を打ち出している企業は全国にもまだまだあります。
ネコを飼育する「猫手当」を支給する企業や、社員の旅行代金を全額負担してくれる企業もあるんです。
「猫手当」が出るのは、システム開発を手掛ける東京都内のIT企業。
なんと勤務中も飼い猫と一緒にいることができるんです。
給与明細には「猫手当」がしっかり記され、毎月5000円が支給されます。
オフィスでは1日2食のエサも出ます。
富山県にある空調設備の施工やメンテナンスなどを手掛けている企業では、社員の旅行代金を毎年負担。
旅行先は、海外4か所・国内5か所から選ぶことができ、海外の場合は社員本人のみ。
国内なら家族4人分までを含めなんと、全額を負担してくれるんです。
ちなみに若者に人気なのは、インドネシアのバリ島だそうです。
社員のニーズを満たして満足度を高める
さまざまな福利厚生の充実について、人事管理に詳しい学習院大学経済学部の守島基博教授は、次のように話しています。
・企業の人材不足、離職者
・労働者のニーズの多様化
単に賃金だけじゃない、いろんなニーズがあるなかで、福利厚生はいろいろなメニューを提供しやすいということなんです。
賃上げをするとなると、大企業は比較的やりやすいかもしれませんが、中小企業はなかなか難しい現実があるので、そういった会社でも社員のニーズを満たして満足度を高めることができるというのが大きいようです。
中には「推し活」やフェスのための休暇を設けたり、一部手当を負担したりする企業もあるということです。
「自分が大事にしているものを、会社も大事にしてくれる」、そういった姿勢を会社が見せてくれているということが、回り回って人材の確保・定着につながるということです。
従業員の確保が大変な今の時代だからこそ、それぞれの会社が個性を出し始めているということかもしれませんね。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年5月15日)の情報に基づきます。