「どう見ても長ネギの化石で笑う」 博物館の展示に16万人驚がく→学芸員「天然無加工です」
「どう見ても長ネギの化石で笑う」
そんな呟きと共に投稿された写真が、X上で大きな注目を浴びた。
神奈川県在住のXユーザー・green101(@green_vrc)さんが2025年4月13日に投稿したのは......確かに、どう見ても長ネギの化石だ。
しかし、手前にあるプレートには「リチア電気石」と書かれている。どうやらこれは鉱物らしい。
そうは言われても長ネギにしか見えない石に、X上で16万件以上のいいね(25日昼時点)のほか、こんな声が寄せられている。
「蕎麦に乗っけたい」 「原始人がスーパーで買った長ネギを落としちゃって、化石化したんだな」 「古代のミクの遺物か...」 「丸ごとネギ入り野菜かき揚げ...なんかお腹減ってきた...」
で、これって結局、どういうものなの? 投稿者・green101さんと、この石を展示する博物館に聞いてみることにした。
石を見てたら長ネギが!?
15日、Jタウンネット記者の取材に応じたgreen101さん。「長ネギの化石」を見つけたのは神奈川県立生命の星・地球博物館(小田原市・以下、地球博物館)でのことだった。
「様々な種類の鉱石が展示されている中、急に長ネギが目に飛び込んできてびっくりしました。どう見ても長ネギにしか見えないのに天然の鉱石というのが信じられなくて笑ってしまいました」(green101さん)
実はこの〝長ネギの化石〟――こと、リチア電気石は、2020年7月末にも〝地球博物館が所蔵する長ネギ〟として話題になったことがある。
Jタウンネットの当時の取材によると、約6億年前に地球の南半球に存在したとされる巨大大陸「ゴンドワナ」ができた時に一緒にできたと考えられる、天然の結晶。ブラジルの有名な鉱物の産地・ミナスジェライス州で発掘されたものだという。
今回、同館の学芸員・夏目樹さんに改めて取材したところ、リチア電気石の特徴について教えてくれた。
「リチア電気石は電気石と呼ばれる鉱物の一種で、主成分の一つにリチウム(Li)を含むことが特徴です。含まれる微量成分によって赤、青、緑といった様々な色合いを呈します」(夏目さん)
つまり、すべての「リチア電気石」が長ネギのような姿をしているわけではない。たまたま長ネギに見える姿になり、そして、長ネギを愛する日本にやってきたのである。
話題性アリアリのネギ、期間限定展示から常設へ
2020年に話題になった際は、期間限定展示だった〝長ネギの化石〟。しかし、その後の2023年2月15日、同館公式アカウントは常設展示が決定したと発表。以降は現在に至るまでずっと展示されている。
「バズった後に、国立科学博物館および名古屋市科学館で開催された特別展『宝石 地球がうみだすキセキ』(2022年)や、ミュージアムパーク茨城県自然博物館で開催された企画展『ときめく石 --色と形が奏でる世界--』(2022年)などでも展示されました。こういった話題性から、当館へ返却されたのを機に常設展示することに決めました」(夏目さん)
常設展示になってからもその話題性は健在で、夏目さんによれば、現在でも〝長ネギの化石〟を見に来る人は「たくさんいると思います」。
「当館の『ネギ』は天然の鉱物そのままで加工はしていません。鉱物標本からは美しい色彩や整った形状といった自然が作り出す芸術性が感じられます。 自然史を扱う博物館では様々な鉱物標本を見ることができるので、ぜひ足を運んでいただき、その造形美を楽しんでみてください」(夏目樹さん)
今回、再び話題になったことで、さらに多くの人が〝長ネギの化石〟を見てみたくなったはず。生命の星・地球博物館にはほかの鉱石はもちろん、巨大な恐竜や隕石、昆虫などの実物標本もたくさん展示されているので、お休みの日に遊びに行ってみると楽しそうだ。
神奈川県立生命の星・地球博物館
所在地:〒250-0031 神奈川県小田原市入生田499 アクセス:箱根登山鉄道 入生田(いりうだ)駅から徒歩3分 公式サイト:https://nh.kanagawa-museum.jp/