三溪園 ふるさと納税で寄付募る 外国人や子ども連れにも快適に
横浜市は、中区本牧にある国指定名勝「三溪園」を次世代に継承していくため、ふるさと納税制度を活用したクラウドファンディングを10月1日から開始した。市内外から寄付を募り、より快適に園内を楽しんでもらえるよう環境改善に活用する予定。募集期間は12月31日まで。
クラウドファンディング型ふるさと納税は、地方自治体が課題解決を目指して実施する特定のプロジェクトに対し寄付を募る仕組み。横浜市は2022年度に初めて消防音楽隊のパレード服更新の寄付募集を行った。今後も「効果を実感しやすい事業」「テーマ性やインパクトがあり市内外にアピールできる事業」を対象に活用していくとしている。市内、市外在住のいずれの人も参加でき、ふるさと納税同様の税控除を受けることができる。今回の目標金額は400万円。
三溪園は、明治末から大正末にかけて原三溪によって本牧に造園された。園内にある歴史的建造物17棟のうち、10棟が重要文化財に、3棟が横浜市指定有形文化財に指定されている。また、2007年には学術上・芸術上、観賞上すぐれている点を評価され、庭園全域が国の名勝に指定されるなど、日本文化を堪能できる観光資源としても貴重な施設だ。
一方で、こうした多くの文化財を抱えるため、歴史的建造物や庭園の維持管理等に膨大な費用がかかり、その他の設備の整備が十分に行き届いていないのが現状だ。
そこで今回のクラウドファンディングでは、かねてから課題の一つであった洋式トイレとベビーベッドの設置を計画。増加する訪日外国人や子ども連れの来園者など幅広い客層が快適に過ごすことができるよう、環境整備に活用される。
今回、ふるさと納税を活用した背景には、三溪園のもつ歴史的・文化的価値を横浜市内の人だけでなく広く知ってもらう意図もある。市担当者は、「三溪園の魅力をより多くの方々に知ってもらい、一度行ってみたいと思っていただきたい」と話す。横浜市外在住の人には返礼品として、学芸員による「臨春閣」のガイドツアーや「鶴翔閣」で坐禅体験×豪華食事プランなどが用意されている。