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【専門家回答】児童発達支援とは?個別支援計画、施設の併用、小集団のメリットなど【アンケート・保護者の声も紹介】

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【専門家回答】児童発達支援とは?個別支援計画、施設の併用、小集団のメリットなど【アンケート・保護者の声も紹介】

監修:中里哲也

帝京科学大学 准教授

児童発達支援とは?

児童発達支援とは、障害や特性のある未就児を対象とした、児童福祉法に基づく通所支援です。一般的には「児童発達支援」と「療育」はほぼ同じ意味合いで使われることが多くあります。児童福祉法において、「児童発達支援」及び「児童発達支援センター」は、以下のように規定されています。

<児童福祉法>
児童発達支援とは、障害児につき、児童発達支援センターその他の内閣府令で定める施設に通わせ、日常生活における基本的な動作及び知識技能の習得並びに集団生活への適応のための支援その他の内閣府令で定める便宜を供与し、又はこれに併せて児童発達支援センターにおいて治療(上肢、下肢又は体幹の機能の障害(以下「肢体不自由」という。)のある児童に対して行われるものに限る。第二十一条の五の二第一号及び第二十一条の五の二十九第一項において同じ。)を行うことをいう
(第六条の二の二第二項目)。

児童発達支援センターは、地域の障害児の健全な発達において中核的な役割を担う機関として、障害児を日々保護者の下から通わせて、高度の専門的な知識及び技術を必要とする児童発達支援を提供し、あわせて障害児の家族、指定障害児通所支援事業者その他の関係者に対し、相談、専門的な助言その他の必要な援助を行うことを目的とする施設とする(第四十三条)。

引用元:児童福祉法|電子政府の窓口 e-Gov

https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000164

児童発達支援を利用するには「通所受給者証」が必要です。通所受給者証は各自治体で発行しており、発行には医師の診断書や意見書などが必要な場合もあります。自治体によって必要な書類が異なりますので、まずはお住まいの地域の担当窓口に確認をしましょう。

児童発達支援を利用する日数には上限があります。子どもや保護者の状況、環境、利用意向などをふまえ、1ヶ月にサービスを受けられる日数が受給者証の発行時に決まります。

「児童発達支援」アンケート結果発表!みんないつくらいから通ってる?通ってよかったことは?

今回発達ナビでは「児童発達支援」についてのアンケートを実施しました。児童発達支援に通ったことがある方が70%と、多くの方が児童発達支援に通っている(通ったことがある)結果となりました。

ここからはご回答いただいた読者の皆さんの声をいくつか紹介させていただきます。また、帝京科学大学准教授(社会福祉学修士)として教壇に立ち、フリースクール運営も行っている中里哲也先生にもコメントをいただきましたのでぜひご覧ください。

親子で通う児童発達支援に息子が3歳(2歳児)の時から卒園まで通っていました。(ポポポたさん)

https://h-navi.jp/selective_surveys/250

公立の児童発達支援(いわゆる公立療育)に1歳10カ月から小学校入学まで5年間通園しました。(あまだれさん)

https://h-navi.jp/selective_surveys/250

3歳後半から満6歳になる就学前ギリギリまで、2年6ヶ月くらい。ずっとお世話になりました。(キングプロテアさん)

https://h-navi.jp/selective_surveys/250

子供は現在小学生ですが、二歳から年長さんまで通いました。(アラフォーママさん)

https://h-navi.jp/selective_surveys/250

2歳半くらいから年中で保育園に行くまで大変お世話になりました。(hatsuneさん)

https://h-navi.jp/selective_surveys/250

(コメント:中里先生より)
児童発達支援施設は、発達に支援が必要な子ども(0歳から6歳の未就学児)を対象に福祉サービスを提供する施設です。子どもの発達を促進し、将来の社会適応能力を高めることを目的として、日常生活に必要なスキル(日常生活動作)の獲得や、認知発達コミュニケーション、集団生活への適応訓練などの支援を受けることができる場所です。

児童発達支援に通うきっかけはさまざまですが、保護者や子どもに関わる周囲の大人が言葉や運動能力、社会的スキルの遅れに気づくことが一因になることが多いです。一例ではありますが、保育士や幼稚園教諭からの指摘、そして、定期健康診断での発達の遅れに関する助言も通うきっかけとなります。さらに、医療機関で発達障害や発達の遅れの診断を受けた場合も、児童発達支援施設の利用が推奨されます。加えて、保護者自身が日常生活の中で育児の悩みを感じ、地域の育児相談窓口に行き、支援が必要と判断されることもあります。このように、児童を取り巻くさまざまな大人の気づきによってつながることが多いことが特徴です。

先生方が発達に遅れのある子供たちに接する姿を日々近くで見ることができたのが何よりの財産になりました。こういうふうな場合はこんな風に声かけすればいいのだなとかプロの技を色々学べたのがとても貴重な体験になりました。(ポポポたさん)

https://h-navi.jp/selective_surveys/250

5年間、児童発達支援で培ったことは…当時は「何のために通っているんだろう」と思ってはいたのですが、小学生になってから、中学生になってから………何年も経ってから「あ、活きている!」というほどに、本人の「ガッシリした土台」になっていました。
親の私も、「発達障害の基礎」を徹底的に叩き込まれたこともあって、今でも役に立っています。(あまだれさん)

https://h-navi.jp/selective_surveys/250

当時、娘は言葉だけではなく、とにかく。じっとしていられず、椅子には数分と座っていられませんから、他の子のように。同じことをするのはとても難しい状況にもありました。
(略)
今、思うと親も娘も精神的にも、体力的にも。きつく大変でしたけれども、この勉強の時間があったからこそ。現在の穏やかな日々があるんだなあと、お世話になった全ての方々に、感謝!です。(キングプロテアさん)

https://h-navi.jp/selective_surveys/250

(コメント:中里先生より)
児童発達支援施設では、子どもの発達を支援するために、個々のニーズに応じたさまざまなサポートが提供されます。主な支援内容として、個別療育や集団療育、言語・コミュニケーション支援、日常生活動作の支援、遊びを通じた支援、保護者へのサポートなどがあります。これらの支援は、子どもの発達段階や障害の特性に基づき、専門スタッフが適切に対応します。

個別支援計画は子どもの成長に応じて作成されます。まず、初回面談で保護者の希望や子どもの発達状況が詳しく聞き取られ、その後専門スタッフと保護者が協力して支援計画を作成します。支援計画には、子どもが目指すべき目標や、そのために必要な支援内容、家庭でのサポートの方法が含まれます。また、定期的に保護者と進捗を確認し、必要に応じて支援計画を見直します。

お子さん一人ひとりの状況に沿った支援が展開されること、加えて、保護者の方の相談者としての役割も果たすため、保護者の方にとっては強い味方になってくれると思います。

一方ではこのような意見もありました。

支援センターは半年待ち、事業所はどこも一杯で見学すらできず…毎日ネット検索の日々でした。偶然、空きありと記載のあった事業所にすぐに連絡し、見学に漕ぎ着けました。そこで受給者証が必要な事を知り、申請に時間もかかり…開始までに時間がかかりました。保健所でもう少し丁寧な説明があったらな、と思います。(にんじんさん)

https://h-navi.jp/selective_surveys/250

市の子育て相談に行って「療育センター」を紹介されましたが、(略)
バスと電車を乗り継いでいくような場所だったので子連れの移動で時間厳守は無理やねと諦めた。(aoniyoshiさん)

https://h-navi.jp/selective_surveys/250

現在通っている保育園に比べ 登園距離は10倍
ひとりで車に乗れぬころじは 送迎サービスも利用不可
施設の設備も現在のころじには危険な箇所がいくつかある…シングルのわしにとっては働く事が困難になる保育時間や内容で辞退せざるを得ませんでした(ろじさん)

https://h-navi.jp/selective_surveys/250

児童発達支援センターの待機児童数や、地理的な問題などまだまだ課題も多いと言えます。

個別支援計画ってどんなふうに策定するの?自治体と民間の児童発達支援施設の併用、小集団のメリットなど児童発達支援についての疑問に専門家が回答!

Q:個別支援計画は一般的にどんなふうに策定をするのか知りたいです。どのくらい保護者から希望を伝えていいのでしょうか。

A:個別支援計画は、子どもの発達状況や保護者の希望を聞き取り、その情報を基に作成されます。計画には、子どもが将来的に身につけるべきスキルや解決すべき課題に対する具体的な目標と、支援方法が含まれ、家庭で行う支援との連携も考慮されます。支援計画は子どもの発達を支える重要な要素であるので、保護者の方との協議を重ね、見直しや変更等をしつつつくられます。保護者からの希望がある場合には、可能な限り伝えることが大切です。

上記のように、施設と家庭の連携はとても重要であり、保護者は家庭での支援方法のアドバイスを受けたり、施設が提供するワークショップや相談会に参加したりすることで、家庭内でのサポート力を強化します。こうした協力関係を通じて、子どもに最適な支援が施設及び家庭で提供され、より効果的な成長が促されることを目指します。個別支援計画は保護者との密なコミュニケーションを基盤に作成され、子どもの発達を包括的に支えるものです。

Q:自治体がやっている児童発達支援に月に数回通っています。もっと通いたく、民間の施設を併用する場合、どのように活用すると良いでしょうか。

A:自治体運営の施設と民間施設を併用して児童発達支援を受けることは可能です。どちらの施設も子どもに対してそれぞれの特長を活かした支援を提供します。

具体的には、自治体運営の施設は、公的支援を受けながら運営されており、低料金で広く地域住民に利用されることが特長です。発達支援センターなどが代表的で、地域とのつながりや公的なネットワークを通じて一貫したサポートを受けられます。一方、民間施設は、より柔軟な支援や専門的な療育メソッドを提供することが多く、個別のニーズに対応したカスタマイズされたプログラムを受けられる場合があります。これにより、子どもの特性や発達段階に合わせた、より細やかな支援を受けられるのがメリットです。

支援には利用日数等に上限が設けられていますが、併用する際はその範囲内で自治体と民間施設の特長を最大限に活かすことができます。例えば、自治体施設で基本的な支援を受けつつ、民間施設での専門的なアプローチを組み合わせることで、子どもの発達に対して多角的かつ包括的なサポートを得ることが可能です。

また、併用する場合、支援計画の一貫性を保つため、両施設間での情報共有や計画の統合が重要です。子どもに最適な支援環境を整えることができ、支援の効果が高まります。複数施設の併用は、異なる視点から子どもの発達をサポートし、最適な成長を促すための柔軟で有効な手段となります。

Q:小集団での活動でタイプが違うお子さん、発達段階が違うお子さんが多く不安です。小集団の活動にはどんなメリットがあるのでしょうか。

A:小集団で行うプログラムは、児童発達支援においてさまざまなメリットがあります。特に、社会的スキルを学び、協調性やコミュニケーション能力を育むために、集団活動は重要な役割を果たします。

小集団では、他者と関わりながら役割を分担し、ルールを守ることで、子どもたちは社会性を向上させます。また、言語的・非言語的なコミュニケーションを通じてほかの子どもとやり取りし、相手の意図を理解しながら自分の考えを伝える能力を発達させることができます。集団の中で自分の意見や気持ちを表現する機会が増えることで、自己表現力が向上し、自己肯定感を育むことにもつながります。

さらに、小集団での活動では、ほかの子どもを模倣することで新しいスキルを習得する「模倣学習」が自然に行われます。例えば、ほかの子どもが行う遊びや協力的な行動を見習い、社会的なスキルが強化されます。また、集団活動で直面する困難やストレスに対処する経験を通じて、適応力や自己コントロールの力も育てることができます。感情を適切にコントロールし、ほかの子どもたちと協力して活動を進める経験が、子どもたちの発達に良い影響を与えます。

もう一点、小集団のメリットを挙げるとすると、自己肯定感の向上です。何かを成し遂げた際に得られる達成感や喜びを仲間と共有する体験は、自己肯定感の向上につながります。他者との協力を通じて成功体験を味わう経験は非常に大切なものになります。
このように、小集団でのプログラムは、子どもたちにとって社会的スキルを習得する貴重な場であり、個々の発達段階や特性に応じた工夫を加えることで、最適な支援を提供することが可能です。一方で、集団には馴染みにくいお子さんがいることもまた事実です。その際には、専門のスタッフとよく相談し段階を踏むなどして小集団プログラムに徐々に参加できる環境づくりに努めることも大切です。

その他、児童発達支援についてのコラムはこちら

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

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