『ウルフズ』続編中止、「もうAppleは信用できない」と監督が怒り
ジョージー・クルーニーとブラッド・ピットの二大スター共演作として注目を集めながら、直前に劇場公開規模が大幅縮小(日本では公開中止)されて物議を醸していた映画『ウルフズ』の続編計画が消滅したことがわかった。ここには、製作Appleスタジオに対するジョン・ワッツ監督の不信があったようだ。
もともと『ウルフズ』は2024年9月20日より劇場公開されるはずだったが、前月になってAppleは1週間限定上映とし、翌週からApple TV+でストリーミング配信する方針に。この影響を受け、日本ではソニー・ピクチャーズ エンタテインメントによる劇場公開が。シネアド展開も開始された作品の取り下げは前代未聞のことだった。
これを受け、ジョン・ワッツ監督はAppleと事前に交わしていた本作続編の契約を放棄した形。ワッツが米を通じて発表したコメントによれば、スタジオの約束不履行に不信感を募らせたことが背景となったようだ。
「今年の初めに『ウルフズ』の最終版をAppleに見せました。彼らは非常に熱狂してくれて、すぐに私に続編執筆を依頼してくれました。しかし、約束されていた劇場公開からストリーミング配信への土壇場での変更は全くの驚きであり、何の説明も議論もなく行われました。私ですら、世界に向けて発表する1週間前まで知りませんでした。
私は完全にショックを受け、続編を書くというニュースは出さないでくれと頼みました。彼ら私のリクエストを無視して、おそらくストリーミングへの方向転換にポジティブな効果をもたらすためか、とにかくプレスリリースにそのことを含めたのです。だから私は、続編のギャラをこそっと返金しました。
私はこの映画に誇りを持っていたし、余計なネガティブ報道を作りたくなかったので、本件を話したくなかったのです。ブラッドやジョージ(そしてエイミー、オースティン、プールナとズラトコ)との仕事は大好きでしたし、またやりたいと思っていました。
しかし本当のところは、Appleが続編を中止したのではありません。私が中止したのです。なぜなら、もうクリエイティブ・パートナーとして彼らを信用できないからです。」
ワッツ監督は寝耳の水となったことについて、縮小発表直後のインタビューでも「常に劇場映画だと意識していました。映画館で観てもらうために作ったし、それが最善の鑑賞方法だと思う」と無念を。ジョージ・クルーニーはヴェネツィア国際映画祭でのプレミア上映時、「残念です。もちろん、残念に思っています」「数百館で上映はされる。でもやっぱり、大規模リリースになっていればよかったのに、と思います」と複雑な思いを。
悪評がフィルムメーカーの間に広まれば、Appleは今後の企画や権利獲得に苦労することになってしまうだろう。待機作も多く、中でも『トップガン マーヴェリック』(2022)のジョセフ・コシンスキが同作同様の臨場感でF1レースを描く『F1』は大きな期待作。こちらも『ウルフズ』のブラッド・ピットが主演しており、ワーナー・ブラザース配給で2025年6月25日よりUS劇場公開した後、Apple TV+に登場させる予定となっている。
ワッツが『ウルフズ』続編を手掛けることはおそらくあり得ないと見られるが、Deadlineによれば、Appleは今も続編実現を望んでいるという。仮にも実行するのであれば監督やメインキャストを入れ替えての続行となりうるが、それは最早『ウルフズ』の続編と呼べるのか、という指摘は必至だろう。
Source:Deadline(,)